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人生最後、君と笑った

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人生最後、君と笑った

1 - 一.そういえば

♥

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2024年03月10日

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「…暑いな」

自然と喉奥から出た呟きは、額の汗が滴るよりも早く蝉の音によってかき消され

その事実は一層体を火照らせた

もうあれから一年だ

今でも現実味がない、あの出来事はもう一生頭忘れはしないないだろう、秋になっても、冬になっても、春になっても

いや、忘れてはいけない

そんな事をぼんやり考えている内にも、汗は止まることを知らず、キンキンに冷えたアイスが食べたくなってくる

「しょーがない、アイス買うか〜」

そう思い、汗でぐじょぐじょした右手で小銭を掴み、歩き出す

確かこっちだった筈だ

歩いているうちにも、考える事は止まらない

あの時は蝉がうるさかった

今もうるさい筈なのだが、何処かそうは思わない

そう頭を悩ませているうちにも目的の場所が見えてくる

「全然変わらないな」

やっと駄菓子屋に着いた

他の店は次々と変わってゆく中で、此処だけはずっと自分の事を思い出させてくれる

懐かしさを感じながら店内に入ると、一気に涼しさを感じ、疲れが溢れ出す

それを感じながら、品物を見ていく

30円のラムネや10円のスクラッチなどだ

見渡していると、一つのアイスが目にとまる

キンキンに冷えた、最後の一つのアイス

運が良かったらしい、最後の一つだとは

そのアイスを小銭を握った手とは反対の手で優しく持ち、早く食べたい思いからか少し早足で買いに行く

会計に行くと60円と言われ、少し驚きながら財布からぎこちなく10円を取り出しもともと握っていた50円と合わせて差し出す

そして店内を出ると同時、店内の涼しさとは違い先程のむし暑さを感じ、そそくさと近くにあった古い木製のベンチに座った

ベンチは日光で完全に熱くなっていたが、それでも疲れの方が大きく気にしない事にした

「いや~にしても値上げされているとは…」

まあ安すぎて心配になるくらいだったから、別に良いのだが

寧ろ、今まで50円だったのが可笑しいくらいじゃないか

そう思っているうちにも汗はポタポタと頬を伝い、アイスの袋にも滴り落ちる

[ベリッ]

袋を開け、すぐにアイスを取り出す

溶けない内に早く食べてしまわないと…

そういえば、昔…あの時もこうだったな

思い出に浸りながら、溶けないようにアイスを食べはじめた

人生最後、君と笑った

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コメント

1

ユーザー

短編小説書いてみたかったんですよね〜 あと、こういう系の書き方もやったことなかったから練習したかった…やっぱり難しい…

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