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#ハンドレッドノート
こはく@忙しいね
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炭酸@サイダー🌠💙🎧️
222
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車が止まった。
「降りろ。」
男の声。
千トは小さく頷き、車から降りる。
目の前にあるのは、人気のない古い建物。
「ここは……どこ?」
「お前がこれから暮らす場所だ。」
「……。」
千トは鞄を抱きしめる。
「僕……本当に、ネストを辞めるんですよね。」
「ああ。」
「右手くんと左手くんには……もう会えないんですよね。」
「ああ。」
「……そうですか。」
千トは俯いた。
そして、小さく笑った。
「なら……大丈夫です。」
その笑顔は、あまりにも痛々しかった。
「僕、ちゃんと頑張りますから。」
男は何も言わず、建物の中へ歩いていく。
千トも後を追う。
しかし。
一歩踏み出したところで――
「……っ」
足が止まった。
鞄の中にあるキーホルダーを握り締める。
「……右手くん。」
そして、
「左手くん。」
目を閉じる。
「……大好きだったよ。」
誰にも聞こえないほど小さな声。
「……さようなら。」
その瞬間。
遠く離れた場所で、何かが割れるような音がした。
「……?」
千トが振り返る。
しかし、そこには誰もいない。
ただ、冷たい夜風が吹き抜けているだけだった。
「左手。」
「分かってる。」
二人は走っていた。
左手の端末には、千トの端末から微弱な位置情報が表示されている。
完全な位置ではない。
だが、十分だった。
「あと少しだ。」
「ええ。」
右手は走りながら、静かに呟いた。
「千ト。」
その声には、いつもの穏やかさがなかった。
「……必ず迎えに行きます。」
左手が横目で見る。
「泣かせたままには、しねぇぞ。」
二人の足音が、夜の街に響く。
そして――
その先に。
千トを連れ去った車のテールランプが、一瞬だけ見えた。
「……いた。」
右手が呟く。
左手が口元を僅かに吊り上げる。
「見つけたな。」
二人は、同時に走り出した。
今度こそ。
絶対に。
小さな名探偵を、一人にはしないために。
古びた建物の中。
千トは、男の後ろを黙って歩いていた。
足音だけが、無機質な廊下に響いている。
コツ、コツ、コツ。
その音を聞きながら、千トは小さく息を吐いた。
怖い。
怖くないはずがない。
けれど、それ以上に怖いのは――
右手と左手が、自分のせいで傷つくことだった。
「……。」
千トは鞄の中へ手を入れる。
指先に触れたのは、あのキーホルダー。
右手と左手と、お揃いで買ったもの。
2人ともいやいや言ってたけど、結局受け取ってくれた。
それを握り締める。
温かい。
あの日のことを思い出す。
三人で並んで歩いた帰り道。
くだらないことで笑ったこと。
依頼が終わったあと、三人で食べた食事。
施設へ行くときに、右手が「気をつけて」と言ってくれたこと。
左手がぶっきらぼうに「遅くなるなよ」と言ってくれたこと。
全部。
全部、大切
だった。
「……だから。」
千トは目を伏せる。
「もう、終わりにしなきゃ。」
その時だった。
建物の外から、車の急ブレーキの音が響いた。
キキィッ――!
「……!」
男が振り返る。
「何だ?」
次の瞬間。
入口の扉が勢いよく開いた。
「――千ト!!」
Next ♡250〜
コメント
3件
めっっっちゃ好きです 千トの優しさをすごく理解した作品で…(泣) 続きも楽しみにしてます
うぁ…第4話、胸がぎゅうっとなったわ。千トが「大好きだったよ」「さようなら」って別れを覚悟して笑顔作るところ、マジで切なすぎる。でもそこから右手と左手が「見つけた」って走り出す流れが熱すぎて、震えた。キーホルダーでつながってる描写もいいなあ。次、絶対に三人が再会する展開だよね…!?早く続きが読みたい🔥🔥