テラーノベル
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「あばばばば……」
本日黒沢君から、何やらゴッツいケースを受け取った訳だが。
その後お兄ちゃんと買い物を済ませ、家に帰ってから。
緊張しつつも、蓋を開いてみた結果……なんか、凄いのが出て来た。
というか、というか!
思わずスマホに飛びつき、そのまま通話を掛けた。
むしろビデオ通話だ、怒ってますってちゃんと伝えないと、またやりそうで怖い。
そんな訳で、暫く待ってみると。
『も、もしもし……』
物凄く“ヤッベ……”みたいな顔した黒沢君が、画面の中に写り込んだ。
「黒沢君! これは流石に駄目です! 頂けません!」
『そこをなんとか! だってホラ、ゲームではさ、割とすんなり……』
「それはゲームだからです! リアルで“同じ物”を作るって、いったいいくら使ったんですか!? 私でも分かりますよ!? コレ絶対このまま売っている物じゃないですよね!? こういうパーツって、小さい物でも凄く高いの知ってますよ!」
『それくらい感謝してるって事なので! どうか、どうか! お納めください!』
「すぐそうやって! どうして黒沢君はこういうビックリさせる事を平気でやるんですか!」
だって、ケースの中に。
物凄く綺麗な形に収まった、“あのハンドガン”が入っていたのだ。
まるでゲームの世界から飛び出して来たみたいに、まさにあのままの姿で目の前に登場したのだ。
6keyのハンドガンはね、頂いたのは企業様からだし。
お兄ちゃんからもモデルガン貰ったけど、兄はちゃんと社会人なので。
でも私達は、まだ高校生なのだ。
お金だってしっかり稼げるわけじゃないし、普通の学生はバイトしても、それを自分の為に使うのが“普通”だって聞いた。
友達と遊んだり、自分の欲しい物を買ったり。
それがしたいから、頑張ってバイトするものだって兄から聞いたのだ。
なのでガンサバのお給料も、私の好きな物に使えって家賃としても受け取ってくれないのに。
どうして男の人はこう……こうなの!?
何故こういう贈り物に平気で大金を突っ込んでしまうのか。
「私今、怒ってます!」
『でしょうね! 見ただけでも分かる!』
「本当に怒ってるんですからね!」
『はい、すみませんでした! でもいらないとか、返すって言わないで頂けると助かると言うか……それは白川さんの為にって、俺が“作った”ハンドガンなので! 喜んで欲しかったんです!』
そういう所が、凄くズルいと思うんだ。
私達にとっては凄く高価で、とてもじゃないけど頂けない品だったとしても。
そんな事を言われたら……“返す”って言葉にする方が、ずっと申し訳なくなってしまう。
相手が時間もお金も使って、更には知識と技能まで惜しみなくつぎ込み。
“コレ”を、私の為に作ってくれたなんて言われたら。
「私なんかの為に……ここまでしてくれたって言うのは、凄く嬉しいんです。黒沢君の気持ちとか、労力とかを考えたら、とてもじゃないけど“いらない”なんて言えません……返すって言ったら、その方がショックなんだろうなって、想像出来るので……」
『よ、良かった……貰ってくれるって事で、良いんだよね?』
此方は怒っていると言うのに、黒沢君は物凄く安心した様な表情を浮かべている。
なんか、凄く悔しいけど。
一旦スマホを机の端に立てかけ、カメラに私が映る様にしてから。
恐る恐る彼から貰ったハンドガンを、ケースから出してみると。
しるあっと
1,500
柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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「重い……ですね」
『そ、それは重量の話だよね? 俺の行動の話じゃないよね?』
何やら変な所で慌て始めた彼が面白くて、ちょっとだけ笑ってしまった。
行動や性格的な意味で“重い”なんて言ったら、多分私の方がずっとそうなのだろう。
ちょっと優しくされたら、すぐ依存する様な真似をして。
何でもかんでも黒沢君黒沢君って頼って、お礼だなんて言って同級生にお弁当作ったりなんかして。
今更だけど、結構恥ずかしい行動ばかり取っているよね。
「銃が、ですよ。リアルの私は、筋力パラメーターに数字が振ってないみたいで」
『よ、良かった……ドン引きされてたら、このまま夏休みを泣いて過ごす所だった……』
「大袈裟です」
そんな事を言いながらも、銃を少しだけ弄ってから正面に構えてみる。
凄い、本当に凄いや。
今日の朝、彼から貰ったハンドガンと本当に一緒だ。
リアルで初めて触った筈なのに、初めてじゃない感じがする。
普段は使わない、電子部品を用いた小さいスコープみたいなサイト。
銃口の下には軽量型フラッシュライトが付いており、そのスイッチがグリップに伸びている。
コレを握り締める事で、瞬間的な点灯が可能だからって、そう教えられた。
実際その通りに操作してみると、ゲームの時と同じように動作するハンドガン。
「凄いです、黒沢君はリアルでもこんな凄い銃が作れちゃうんですね……」
『気に入って、貰えた?』
「はい……私は、46leatherでこの銃を絶対使います。それに、リアルでも……凄く、大事にします。ありがとうございます、黒沢君」
『よ、よかったぁぁぁ……』
スマホのカメラに向かって微笑みながら、そうお礼を伝えてみれば。
相手は大袈裟な程脱力した感じで、ベシャッと机に突っ伏してしまったではないか。
私は貰ってばかりで、まだお礼を言っただけなのに。
そんな反応をする彼に、思わず笑ってしまったけど。
「本当にありがとうございます。でもこんな凄いの貰っちゃったら……私は、何をお礼として用意すれば良いんでしょうか。ご飯を作りたいなんて言いましたけど、それだけじゃ全然足りないと言うか……」
『いや、足りる。むしろお釣りを出します』
「そんな訳無いじゃないですか、また怒りますよ」
という事で、此方も大袈裟に“怒ってます”って顔をしたのだが。
今度は相手に微笑まれてしまった。
何故だ、怒っている顔をしている筈なのだが。
『それじゃ……一つだけお願いというか、変な我儘を言っても良い?』
珍しく、彼の方から要望を言ってくれるらしい。
その一言に、思わず身を乗り出す勢いでカメラに急接近してから。
「何ですか!? 何でも言って下さい! 何でもやりますよ!」
これ程の物を貰っておいて、半端なお礼じゃ釣り合わない。という意図だったのだが。
相手は少々顔を赤くしてから、視線をカメラから逸らし。
『ソレ、その台詞。絶対他の人には言わないでね? 特に男子には』
「え? あ、はい……なんだか、前に兄からも同じような事で怒られた気がします」
『でしょうね!』
おかしい、さっきまで私が怒っていた筈なのに、今では黒沢君から叱られてしまった。
だって私じゃ大した事出来ないので、本当に何でもする勢いじゃないとお礼なんか出来なそうなんだけど……。
とか言ったら、絶対また怒られるので。
とりあえず黙ったまま、次のお言葉を待ってみると。
『次に“あっち側”で会った時……“遠慮”は、絶対しないで? 出来れば、“本気”でやって欲しい。ガンサバは、ゲームだから。今度は、謝らないで? 俺は、本気の白川さんの隣に並べるくらい……“凄い奴”になって見せるから』
「…………え?」
『俺のお願いは、今のところそれだけ。バイトの方も、時間が空いたら連絡くれると嬉しいです。それじゃ、またね白川さん。おやすみ』
そう言って通話を切った彼に対して、私は何も反応が返せなかった。
だって、え?
さっきのお願いは、何かが“変”だ。
私の勘違いとかじゃなければ……今の発言って。
色々と思考が追い付かなくなり、ハンドガンを握り締めたままプルプルしていると。
コンコンッと部屋の扉がノックされてから。
「夢月~……? 通話、終わったか? なんかすげぇ声が上がってたけど……大丈夫――おわっ!? なんだその銃! す、すげぇな?」
どうやら声が響いてしまったらしく、心配そうな顔をした兄が部屋に来てから。
私が掴んでいた銃を見て、ギョッとした様子を見せる。
やっぱり、お兄ちゃんから見ても凄い品なんだ。
だとしたら、本当にいくら使ったのか……というのも、気になる所ではあるのだが。
「ど、どうしようお兄ちゃん……バレた、かもしれない……」
「へ? 何が?」
「や、やっぱりハンドガンを使ったのが不味かったのかな? どうしようどうしよう!? 私、クビですか!? 秘密厳守なのに、バレちゃったかもしれない!」
「落ち着け、落ち着け夢月。お兄ちゃんには、何の事なのか全く分からん……」
「シックスが! 6番目だって! 黒沢君に! もしかしたら、なんだけど……でも、間違いなさそうって言うか! 私が、クビだってバレたかも!」
「落ち着け、色々と変に繋がっておかしな事になってるぞ? シックスが6番目なのは名前を見ただけでも分かる上に、お前がクビって何だ。大丈夫だ、賞金首クビは間違いなくあり得ないから。現状で、6keyをクビに出来る奴を想像する方が難しいレベルだから。むしろお前は、賞金首の中でも優等生だから」
そんなお言葉を頂いたけども、全然落ち着かないと言いますか。
どうしよう! これは本当にどうすれば良い!?
あの雰囲気からするに、黒沢君には間違いなくバレたって事だよね!?
私がシックスだって知ったから、こんな凄いのをくれたのだろうか?
でも、何故?
ハッ! 大きな仕事の前に凄い物を渡すのは、言葉にしていない意図を相手に伝える為だって聞いた事がある気が――
いやいやいや、黒沢君はきっと、そんな賄賂みたいな真似はしない筈。
だったらこれは、さっき聞いた通りの理由で作ってくれた銃なのだろうか。
けどそうなって来ると、え? えぇ?
いつから? やっぱりtimelimit:10のコピーNPC戦?
でもその後、皆で合宿に行った時は全然そんな雰囲気無かったし。
もしかして、9Kがバラした? なんて疑ってしまうのは、流石に失礼。
家族だからこそ、あり得ない話ではないかもしれないけど。
けどあの人が、他の面々にも被害が出そうな事をする筈が無い気がする。
そうなって来ると……え? え? 本当に分かんない。
もうすぐ賞金首イベントが来るから、本人に詳しく聞き出している時間も無いし。
これは……どうすれば良いんだ?
コメント
1件
みぃです🤍🥀 今回も読み応え抜群でした…!黒沢君からのハンドガン、まさかリアルであのゲームのまま再現してくれるなんて、その知識と技術と愛情の重さにまず驚きました。白川さんが「怒ってる!」って言いながらも、彼の想いをちゃんと受け取ってる感じがすごく伝わってきて、胸がぎゅっとなりました。最後の「本気でやって欲しい」の言葉…あれ、明らかにシックスってバレてますよね?白川さんの動揺、すごく共感できるし、続きが気になりすぎます。くろぬかさんの丁寧な心理描写、本当に好きです。素敵なエピソードをありがとうございました🌙