💛side
嬉しい。
翔太とデートできるなんて。
俺は高鳴る胸を抑え、阿部の提案に乗ることにした。佐久間もすごく嬉しそうだ。良かった。
そうか。
いきなり一対一だと翔太も緊張してしまうかもしれない。翔太はきっとウブだから。
俺も阿部みたいに頭を使ってスマートに好きな人を誘ったりできるようになりたいものだ。
💚照
阿部が俺に目配せした。
ちょっと来い、ということらしい。
楽屋を出て行くので後をついて行く。
💛阿部。協力してくれてありがとな
💚は?勘違いすんなてめえ
阿部の口調がガラリと変わった。
だんっ。
足を壁に着けて、俺を威嚇する。
……は?
こんな阿部、俺は見たことがない。
💚おい、脳筋バカ
💛え、俺に言ってる?
💚ここにはおめーしかいねぇだろうが
俺は動揺を隠しきれない。
阿部って、こんなやつだったっけ…?
そこらの怖いお兄さんより遥かに怖いんだが。
口も悪いし。
でも、俺もいきなり脳筋とか罵られてちょっとムカついて、阿部を見下ろす。
💛なんだよ、ガリ勉野郎
ぐいっ。
少しも怯まず阿部が俺の胸倉を掴んできた。
鼻と鼻がぶつかりそうになるくらいの距離で、睨まれる。
物凄い迫力で敵意を持たれてるが、俺には理由がわからない。
💚翔太は俺のもんなんだよ
そう言うと、阿部はおもむろにポケットから携帯を取り出し、いきなり動画を再生した。
💙『人が来ちゃうよ…』
💚『大丈夫』
控え室で二人きりの阿部と翔太が見つめ合い、キスをしている。
見た限り同意の上のキスに見えた。
翔太の見たこともないうっとりとした表情が可愛くて、俺は目が釘付けになってしまった。
そしてすぐさま俺は胸が締め付けられるような嫉妬に襲われた。
💛は?翔太と阿部…?
💚翔太はお前なんかには死んでも渡さねぇ、よーく覚えとけ
💛えっ…佐久間は?
俺は親友のことを思い出し、なんとか自分の理性を保とうとした。
💚ふん。せいぜい楽しみにしてろ、最初で最後のデートをな
💛阿部、待て!!!
それだけ言うと、阿部は振り返らずに去って行った。
阿部と翔太って、付き合ってるのか…?
そして佐久間ともデートって、阿部は一体何を考えてるんだ??
頭が混乱して、わけがわからなくなった。
この事実を俺は佐久間に伝えるべきなのだろうか。
💛でも。佐久間、これ知ったら傷つくよな……
ダンスの時にぶっ倒れた青い顔の佐久間を思い出した。
佐久間は阿部とのデートを心から楽しみにしている様子だった。
ついさっきまでの俺と同じように。
💛翔太。俺も苦しいよ……
遠目からの一瞬の映像だったが、阿部に求められて唇を奪われている翔太は本当に可愛らしくて、俺の理想そのものだった。
あの向かい合う相手が阿部であること以外は。
翔太に愛されている阿部が憎くて憎くて堪らなくなった。
でも、あれほど決定的なものを見せられて、翔太と俺がどうこうなる可能性があるんだろうか。そしてそれは許されることなのか。
💛翔太とデート…俺の夢…
しかし、阿部が何を企んでいるのか知らないが、恋人を他の男に託すなんてあってはならないことだ。
もしかして、翔太は阿部に遊ばれてるんじゃないか?
そもそもあんな動画、普通、他人に見せるもんじゃないだろう。黙って撮影してるやつも相当の変態だ。
阿部はきっと遊びで翔太と付き合ってるんだ。
そう考えるとそうとしか思えなくなり、俺はだんだん腹が立って来た。
翔太、なんて可哀想なんだ、阿部にコロっと騙されて。
翔太は阿部に大切にされていない。
このままじゃ佐久間も危ない。
俺が二人を救わなければならない。
俺は使命感でいっぱいになった。
💛翔太、俺が救ってやるからな。待ってろ
俺なら絶対に翔太を泣かせたりしない。
コメント
12件
続きが気になり過ぎます どうなる?どうなる?
おはよーございます(`・ω・´)キリッWデートの提案にはびっくりしました‼️あべべは一体何を血迷っての発言なのかと‼️ひーくんに対する牽制が怖かった デートから一体どんなラストにもっていくのでしょう わくわくしてます(*^^*)
なんかデートめっちゃすごい事になりそう😂楽しみすぎる✨✨