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「フェルたちを呼んで?」
その日のうちに戻った自分の家で。
頭にへばり付いたまま、うとうとしていたスコルを起こす。
『おあ?あ、にーちゃんか。分かった。」
スコルが少し遠くを見た。
『呼んだか。一人か。』
フェルはあっという間に現れた。
「おー、家だし、ここならいいだろ。どうすりゃいいんだ?」
フェルの上、すっかり凹んだハティがいる。
『まず世界はどうなってる?』
「気になったから、俺も調べた。存在自体が消えてる。」
バンドは二人でやってることになってた。
出演したはずの映画は他の人がやったことになってたし、それ以外の色々なところから。
涼ちゃんはいなくなってる。
『三人の絆を示すような物はないのか?』
絆…絆ねぇ。
バンドしか思いつかねぇ。
「…あったわ!」
あの曲!
慌ててスマホで音源を探し出す。
「…消えてない!」
曲に変化もない。
思わず勢いで、そのままその曲をかける。
『お前らの曲か。』
「元貴がただ一度だけ示してくれた、俺らへのラブレター?」
普段からおっかないフロントマンだけど。
この曲の時だけは、照れくさそうな柔らかい表情だった。
「一番が俺で二番は涼ちゃん。そう本人は言った。 涼ちゃん本人は全く気がついてなかったけど。」
むしろ全部俺宛だと思ってたらしいけど。
『その曲が機転になりそうだな。それと協力を仰げる者を探すことだな。』
「協力者。」
『そうだ。我の力では及ばん。この国の神なら、この国の神に協力を仰がねば。』
確かに神様大戦争とか勘弁して欲しい。
かたや北欧、かたや日本。
そのうち全部揃いそうだ。
「俺、まっったく詳しくないけど。」
神話とか、神とか。
『詳しい奴はおらんのか?』
「詳しい奴は記憶無し。」
元貴なら、知ってそうだけども。
『もうその曲聴かせちゃえばいいのよ。そしたら、きっと思い出すもの。』
俺らの友情の曲がリピートする中。
フェルの背中でしょげたまま、ハティがそう言い出した。
『さんせーい。聴かせちゃえ。』
スコルが肯定する。
『彼奴が思い出したら、解決するか?』
「協力する神様探しは、少なくとも解決するかもなぁ。」
俺には涼ちゃんを連れてったヤツが誰かもわからない。
元貴は、わかってそうだった。
『多少の力は貸せる。後はお前らの絆次第だ。』
色んな危機を三人で乗り越えてきたと思うけど。
今回のが一番ヤバそうだった。