「なぁ…リナ。」
「ん?」
「私って特別なのか?」
「どうした急に?」
「さっきの大戦で私は相手の戦姫からこう言われたんだ。『経験も装備もランクも上なのに同格なんて』て。」
「…あのスーツの男の人も言ってたけど確かに君は特別かもしれない。 」
「やはりそうなのか?」
「最近手に入れたスキルが『覚醒』といい、恐らくこの世でそのスキルを持つ戦姫は今現在君だけかもしれないからね。」
「では、私は他者よりも簡単に強くなれてしまうのか?私が相対した彼女はきっと私に会うより前から戦姫大戦をして、第三者が測れないほど努力をしてるはず。けど、そんな努力をしてる人に対して私は…… 」
「いいか、カナ。人の世界でも天才と言われる人は存在する。だがな、その天才でさえも努力はしないといけない。お前のスキルもそうだが、持ち得るセンスは一般の戦姫よりもたまたま一歩リードしてるだけだ。スタートラインが少し違うだけで、慢心すればすぐに抜かれる。」
「じゃあ私とやり合った彼女はまだ努力が足りなかったってこと?」
「かもしれないし、単純にお前との相性が良くなかったパターンもある。それこそ、ミナとやり合った時を思い出せば分かるだろ?」
「まぁ……そうか。」
「相手に同情するなとは僕は言わないけど、今はやめておいた方がいい。状況が状況だからさ。」
「……分かった。」
「よし!なら、とっとと元凶を消し飛ばして平穏な暮らしを取り戻すぞ」
「……あぁ!」
同時刻、偶然例のモールを通りかかったアキトは入口付近がやけに混み合ってることに違和感を覚え、モールに近づく。
「なんかわちゃわちゃしてるな?」
「多分あれでしょ?例の件のゴタゴタじゃない?」
「まぁ、そうだろうけどアイツ準備期間ほとんどなかったろ?それ不味くね?」
「二択だった場合明らかにしんどいと思うよ?だって彼女はFランクで一人でしょ?企業相手にするには準備不足とかの範疇は超えてるよ。」
「なら、俺らのやることは一択よな?」
「えぇ〜…。めんどくさい。」
「じゃあ、ミナは帰っててもらって代わりに『ユウナ』呼んでそっちの戦姫に頼もうかな?」
「何ぼさっとしてんの!お友達が危険なのにめんどいとか言ってられないでしょ!!?」
「その発言したのはお前なんだよなぁ……。」
人混みを何とかかき分けてモールの入口に辿り着くがスーツの男が数名立っており、何故か入口を封鎖していた。
「あのすいません。」
「ん?」
「なんで今このモール入れないんです?」
「モールの奥の方にあるバトルスポットの大掛かりな点検が入るため念の為お客様にはモールの外に出ていただいている。もちろん、入ることも出来ないぞ。」
(バトルスポットの点検にしてはここまで大掛かりなことをする必要は無いはず…。て事はやっぱりこれは表向きの理由で裏の理由は、リナを消す事だよな。)
「ちなみにいつ頃終わる予定か分かります?」
「さぁな?私らは末端で、そこまで詳しくは知らされてなくてね。終わり次第連絡するとは言われてる。まぁ、丸一日掛かりはしないだろうな。」
「なるほどありがとうございます。」
その後一度モールの入口から遠ざかり、リナに直接聞くことにする。
「入れない理由が胡散臭くない?」
「それを確かなものにするためにアイツに連絡してみるよ。」
電話をかけて数コール後電話が繋がる。
『もしもーし』
『おっ!そっちから連絡してくれたのは助かるかも』
『て事はそゆこと? 』
『そゆことだね』
『助けたいんだけど、入口付近は封鎖されてて入れそうにないんだよな 』
『マジ?なんか、僕が戦った人の話だとモールの入口付近は機能してて、奥側のみ封鎖してるらしいんだけど……』
『いや、ガッツリ入口付近封鎖してるね。そこに人だかりが出来てる。』
『もしかして僕騙された?』
『分かんないが、もしかすると連絡網が単純じゃないんだろうな』
『会社も一枚岩では無いってことかぁ……』
『とりあえずお前さん一人はしんどいだろうから俺も助けいくよ』
『それはほんとに助かる』
『最悪はユウナも呼ぶから安心しとけ』
『それはとびきり安心かもな』
『んじゃ、モール内に入れたら連絡するわ』
『あいよ。ちょうどこっちもこれからゴタゴタするところだから』
『負けんなよ?』
『それは当たり前よ』
そういいリナは電話を切る。一応、彼の安否を確認できたので次はどうやってモール内に入るかだが、思いつくのは地下駐車場から侵入するとかが無難だろう。
「ミナ、このモールのマップわかる?」
「少し時間くれる?この付近のデータ取り入れるから」
「はいよ。なら、その間に俺も歩いて見つけてみるか」
「んな事より、アンタは私の兵装のチェックしてなさいよ。EN効率のいい装備セットしとかないと連戦は無理よ?」
「言われなくてももう出来上がってるんだなこれが」
「今日のコンセプトはなに?」
「リナの戦姫から着想を得て、『Sパッケージ』なってる。」
「いつだか構想自体はあったって話してやつ完成させたんだ?」
「あの時はあと一歩が捻り出せなかったが、リナが戦姫を持ってくれたおかげでその一歩を踏み出せたよ」
「それ、私が扱えるやつ?」
「俺の変な兵装扱えてるんだからいけるべ」
「あらヤダ無責任な男。ぶちのめしてやりたいわね?」
「ほらほら、無駄口叩かないでマップインストールしてくれよ」
「とっくの昔に終わってますぅ」
「なら、効率のいいルート案内頼むよ?」
「そうね、『Sパッケージ』の試運転もしないとキツイからとっとと行くわよ」
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