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初夜
ショート動画の編集を終えてふと時計を見ると0時を過ぎていた。
(明日も朝早くから集まりがあるのに…)
一刻も早く寝ようと思い寝室に入ると、くにの姿が無かった。まだ作業をしているらしい。
しょうがないなぁ、と思いドアを軽くノックしながら声をかけた。
「くにおちゃ〜ん、まだ寝ないの??
もう0時過ぎてるよ?」
返事が無い。イヤホンでもしながら作業をしているのだろうか。
「くにーー!!ねえ、寝よう!!
とっくに0時過ぎてるんだって!」力任せにドアノブをひねると鍵は掛かっておらず、勢いよく部屋の中に入ってしまいその拍子に本棚に足をぶつけた。
「痛っ…」
ぶつけた足をさすりながら部屋の中を見ると、やっぱりくにがイヤホンをしたまま作業をしていた。相当集中しているのだろう。俺が部屋に入ったことに気づいてなさそうだ。
せっかくなので驚かせてやろうと背後からいきなりハグをしてみた。
「ぎゅーーっ!」
「わっ!びっくりしたあ…なんだ、こたかあ…
急にどうしたの?なんかあった?」
「くにおちゃ〜ん、今が何時か分かる?
もう真夜中だよ!?明日もすたぽらの会議あるんだから早く寝るよ!」
「え、待って、もうこんな時間!?嘘でしょ…
うわ、全然気付かなかった…
でもあと少しで編集終わるんだよなぁ。
ごめんねこた!先に寝ててくれる?お願い!」くにが手を合わせてお願いポーズをしてくる。
可愛い…でも今日こそは誤魔化されない。
「だーめ!早く寝るよ!ほら片付けて!」
「え~、でも…リスナーさんも待ってるし…」くにが目を逸らしながらほそぼそと反論する。
「昨日だって一緒に寝れなかったじゃん!
というか、最近全然一緒に寝れてないよ…?
なんで?俺なんかした? それとも俺と過ごすよりも動画編集したいんだ?
俺のことを放っておくくらい、くにはリスナーさんのことが大事なの?だったらもういいよ!
どうせ俺との関係だって遊びなんだろ!?」
やばい、最近構ってくれないこともあってつい声を荒げてしまった…
もちろんくにがリスナーさんを大事にしていることは分かっている。でも、恋人になったからには少しくらいは俺を優先してほしいと思ってしまう。 …ただの嫉妬だ。
どうしよう。怖くてくにの顔が見れない。
「………った?」
くにの声が聞こえる。声が小さくて上手く聞き取れない。
何を言ったのか聞き返そうとしたがその声はくにの声に掻き消されてしまった。
「ねえ、今、なんて言った??
俺との関係が遊びだって?
俺はこんなにこたのことが好きなのに??
そっかあ、こたは知らないもんね。
俺がどれだけ我慢してるかを。
怖がらせたく無いから今まで自制してたけど…
もういいや。今から分からせてあげる。身体で分からせるから覚悟しててね?」
あ、これは結構やばい。地雷踏んだかも。そう思った時にはもう遅く、俺はベッドに押し倒されていた。
「ちょっっ!待っ…!」
抵抗しようとしたが無駄だった。
両手首をがっちりと掴まれている。
あっという間に口を塞がれると、そのまま酸欠になるまでキスをされた。執拗に舌を絡めてくる。身体中がゾワゾワしてきた。
キスってこんなに気持ちいいのか、と頭の片隅で思いつつ必死に弁明する。
「待って… 本当にごめんってば!さっき言ったことは撤回するから!俺はくにとの関係を遊びだなんて思ってない!
だから、一回落ち着け…!」
このままだと俺の貞操が危うい。
どうやってこの場から切り抜けようか酸素が回ってない頭で考える。
「嫌だ!こたはなんも分かってない!
こただって俺が何回夜に誘っても適当にはぐらかしてるじやん!なんでそんなに身体を重ねることが嫌なの?
もしかして俺と付き合う前にそれが原因で何かあったとか?だったら教えてよ!
そんなトラウマを思い出せなくなるくらい気持ち良くするから…ね??」
この際もうどうにでもなれと思い、俺は渋々と口を開いた。
「今から言う事、絶対笑わずに聞けよ?」「もちろん。で、何かあったの?」
「..何かあったどころか俺こういうこと今まで経験無いんだよ。…だから怖い?というか不安で… しかも男同士とか…」
自分で言っていて居た堪れなくなってきた。
というかなんで俺はこんな状況になってんだ?
恐る恐るくにを見てみるときょとんとした顔をしていた。
「こういうことって… セックス、のこと?」改めて単語で言われると恥ずかしく感じてしまい、つい顔が赤くなる。
「わざわざ口に出すなよ…そうだよ!それのこと! 何度も言わせるなよ…俺は経験無いの!」半分ヤケクソで俺は答える。恥ずかし過ぎてつい顔を背けてしまう。この場から消えたい…
不意にクスッと笑い声が聞こえた。
ガバッと顔を上げるとくにおがとても嬉しそうに笑っていた。
「だから笑うなって!」
「ごめんごめん、確かにこたの一世一代の告白を笑うのは良く無かったね…でもちょっと可愛い過ぎて…待って、ごめん無理だ。どうしても笑っちゃう….」
ひとまずくにおが落ち着いたみたいで安心した。 あとはこの体勢をどうにかしたい。
「くに、とりあえずこの体勢どうにかなんない? ずっと押し倒されてるの俺結構恥ずかしいんだけど… ほら、もう遅いんだし一緒に寝室で休もう?」
「え、こた何言ってんの?
まだ身体で分からせて無いよ?
これからたっぷり分からせるから!
覚悟…しててね?」
嘘だろ。冗談じゃない。俺の今の一世一代の告白は何だったんだよ!
「あのー…“これから”というのは…?」
「もちろん今からだよ? あっ大丈夫だよ!
こう見えて俺、ちゃんと調べてるから!男同士の方法! だから安心して俺に身体任せな!」
そんなドヤ顔で言われても…と思っているとまた口を塞がれた。
「んっ…!!?」
息が出来ない。頭がクラクラする。甘い。
30秒ほど経っただろうか。やっと息ができるようになった。
「だか、ら…きゅうにやめ、てって..」
途切れ途切れの声で抵抗するがもはや意味が無い。
「何で?だって、気持ちいいんでしょ?
こた、ちゃんと感じてるもん。」
今度は服がめくれた場所からツゥーと下腹部をなぞられた。
「ひぁっ…!?待っっ….」
やばい。正直気持ちいい。癖になりそうなくらいゾクゾクする。
「………」
急にくにおの動きが止まった 。
どうしたのだろう。
「くに?どした?急に止まって…」
「こた、ここまで勝手にして今更何言ってんだって感じなんだけど俺、今から本当にするよ?キス以上のこと。
止めるなら今だよ?いいの?」
「あ…」
ちゃんと俺のこと思ってくれてるんだ。
確かに、いきなりキスをしたのは許し難いけど、なんだかんだ気持ちよかった。くにならそれ以上の事をされても許せると思う。
「くに、いいよやって。キス以上のこと。
その代わり絶対俺を気持ち良くさせるよ?」
にやりと笑いながら言うと、くにが思いっきり嬉しそうに抱きついてきた。
「やったあ!さっきも言ったけど任せて!
絶っ対に後悔させないから。
こたの初めては全部もらうよ?覚悟してね?」
暗い室内に、湿ったらな音が響いている。
「……っ!」
これ、やばい。もうすでに限界に達しそうだ。
好きな人に触られるってこんなに気持ち良いんだ。
「大丈夫?痛い? 一応潤滑剤を使ってるんだけど…」
くにが心配そうな顔で聞いてくる。
「いた、くはない…っ ちょっとへんなかんじがするだけ…だいじょぶ…」
「そっか、なら良かった… 少しでも痛かったらすぐ言ってね!?」
俺は弱々しく頷いた。
少しでも気を抜くと喉から変な声が出そうになる。 最初は一本だけだった指がもう三本まで増えた。
駄目だ。我慢できない、声が、出る。
慌てて俺は手で自分の口を塞ごうとした。
が、その手はくにに押さえつけられ、自分でもあり得ないほど情けない声が喉から出た。
「…っあ!」
「なんで声我慢するの?聞かせてよ。せっかく可愛いんだから… ここ壁厚いから多分聞こえないよ?」
別に隣近所に音が漏れるのを心配してる訳ではない。 単に自分の声を聞かれるのが恥ずかしいだけだ。すぐに感じてしまう自分の身体が恨めしい。
「…ね、くに、下触って?たってるの分かるでしょ?さっきからむずむずする….」
我ながら恥ずかし過ぎる。だが、頭がもう働いてない。 思ったことをそのまま口に出してしまう。
「いいよ。 一旦抜いちゃおうか。
声も何もかも我慢しないで良いからね。」
くにがするりと服の隙間から手を入れてくる。
そして優しく、でも強弱をつけながら触り始めた。 なんでコイツこんな上手いんだよ。
「っうぁ…も、げんか…….っ!!」
ああ、くにの服を汚してしまった。
恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいになる。
「ごめん….くにの服汚した…」
「全然大丈夫だよ?こたの可愛い顔見れたし!」
キラキラした顔でくにが答えた。
俺の顔が可愛い訳無いだろ…
「ところでさこた、もう、、いいかな?
俺、結構限界なんだけど…」
「いいよ。…俺も早くしたい。」
「大丈夫?痛くない?」「だい、じょぶ…っ」
もちろん大丈夫な訳が無い。まあまあやばい。痛いとか痛くないとかそれどころじゃない。理性がふっ飛びそうなくらい気持ち良い。
「くに…もっと奥ま、でいれてもいい、よ?」息が続かない。どうしても途切れた文しか話せない。
「ちょ、煽んないで….ッ俺だって理性やばいんだからこのままだと本気で自制が効かなくなるんだって…」
珍しいな。くにがここまで余裕が無いなんて。
あと、別に煽ってるつもりは無いんだけどな…
「結構解したつもりなんだけど、意外とキツイな… こた、もうちょっとだけ力抜ける?」
「..っぁえ?」
力を、、抜く?”力を抜く”ってなんだ?
「痛かったらすごいごめん!」
そうこう考えてるうちに圧迫感と快楽が身体の奥へと迫ってきた。
「はぁっ……んぁ!? 待っ、、止め、、っ」どうしよう。上手く息が、出来ない。
「えっ生きてる!?苦しい?」
いつの間にかつぶっていた目を開くと目の前に見慣れた恋人の顔があった。
あまりにもこちらを心配しているので気が抜けてつい笑ってしまった。
「っ生きてるよ…!勝手に恋人を、殺すな…」
大丈夫だ。段々慣れてきた。
呼吸も少しずつ整ってきている。
「もう俺大丈夫だから、動いていいよ?
くにもじっとしてるの辛いでしょ…」
「っあ…やばぃ ねぇこた、本当に煽るのやめて…? 今さぁこたがどんな顔してるのか分かる? めっちゃくちゃ可愛いんだよ。
このままだとこたが壊れるくらい抱きつぶしそうで怖い…」
何が今更怖いだ。こっちは何回も壊れかけてんだよ。 いっそのこと抱きつぶしてくれ。
「いいよ。めちゃくちゃに抱いて。
くにの好きなようにしっ……っんぁ!?
ちょ、まだ、ひゃあっ、話して、うぁっっ…」くにが身体を押し付けてくる。
まだ話してる途中!と言いたかったが喉からは情けない声しか出せなかった。
無意識に腰が跳ねてしまう。
「はぁぁぁ…なんでこんなに可愛いかなあ…
えーっと、俺の好きなようにしていいんだっけ? 言質、とったよ??」
あ、終わった。これはガチでやばい。
今すぐ前言撤回したい。これ以上激しくされたら理性どこるか意識まで飛んでしまう。
__何回意識が飛びかけただろうか。
「くに…っあ! も、むり…」
「出して大丈夫だよ。
…俺もそろそろ限界だし」
腹の奥から何かが込み上げてくる。熱い。
目の前がチカチカする。
「〜〜っあぁ…..!」
「ッ……あ」
どうしよう。セックスってこんなに気持ち良いものなんだ。頭が変になる。
「こたー?大丈夫かー? まだ終わりじゃ無いよ?」
「…へ?」
は?え?今なんて言った….?
終わりじゃ、無い??
いや、俺はすでに体力も気力も限界突破してるんだが..
くにに反論しようとしたがまた口を塞がれる。
「っくに、俺、本当にもう、限界だって..!」「え~?でも、俺の好きなようにしていいんでしょ? だから、朝まで付き合ってもらうよ?「あ、さまで….!?」
嘘だろ… 明日は朝から会議なのに…
そう考えてたのも束の間、俺の理性はすぐに消えた。
あれ、もう朝か? え、今何時だ!?
慌てて時計を確認するとまだ5時になったばかりだった。
隣ではくにが満足げな顔をして寝ている。
確か俺は昨日くにに抱かれて …夢だと思いたい。
昨日の夜とは違う服になっている。わざわざ着替えさせてくれたのだろうか。
水を飲もうと思ってベッドから降りようとしたところ、
「痛っ!?」
腰に激痛が走った。何だこの痛さ、筋肉痛…?
痛すぎてまた横になってしまった。
冷静に考えると腰だけでなく喉も痛い。
昨日、はしゃきすぎたな…
心の中で苦笑いしていると、隣でもぞもぞと人が動く気配がした。
慌てて寝たふりをすると、頬に軽くキスをされた。
「昨日は無理させてごめんね。大丈夫かなぁ…
俺、こたの事一生離さないから。」
と耳元で呟くと鼻歌を歌いながら部屋を後にした。
「はぁぁぁぁ…」
俺の人生これからどうなるんだ…と思いつつ、嬉しさで顔がにやけてしまう。
好きな人に独占されるのってこんなに嬉しいのか… 痛む腰をさすりながらベッドから起き上がると、俺はくにの後を追いかけた。
閲覧ありがとうございました!!
くにこたは正義ですね!
初めての小説書いていてとっても楽しかったです!!
感想じゃんじゃん書いてください!!
ではまたどこかでお会いしましょう!
コメント
4件
初コメ失礼します!!えっ!?最高です!! あとフォロー返し失礼します!! 可愛い💕やっぱくにこたもこたくにもどっちもいい❣️ できれば手錠プレイとか…
初投稿です! リクエスト等あれば好きなだけ申して下さい!(書けるかは別ですが…💦)