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「――桜坂さん」
突然、控室の扉が開いて律が入ってきた。
華は跳ねるように立ち上がり、慌ててロッカーの扉を閉める。
「は、はいっ! な、なんでしょうか!」
声が裏返り、自分でも赤面する。
律は不思議そうに首を傾げながら、資料を手に歩み寄る。
「……特に用はありません。ただ次の業務の確認を」
いつも通りの淡々とした口調。
けれど、今の華にはその落ち着きがかえって心臓に響いてしまう。
「は、はい……!」
必死に平静を装いながら、華は資料を受け取った。
それだけの動作なのに、胸の鼓動はまた速まっていた。