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資料を受け取った華に、律はふと視線を向けた。
「……少しずつ、慣れてきましたね」
それは淡々とした口調だった。
けれど、華の耳には柔らかく響いた。
「え……」
思わず見返すと、律はすぐに視線を外し、腕時計を確認している。
「休憩はあと五分です。時間を無駄にしないように」
何でもない言葉に戻ったのに、華の胸は大きく跳ね続けていた。
(……今、褒めてくれた)
(律さんに……認められた……)
熱を帯びた頬を手で押さえながら、華は小さく息をついた。
――もう気づかないふりはできなかった。