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みー
8
Codeレイ
46
その日の夜、ベリアンとルカスにも頼み執事の皆を食堂に呼び出した。
本邸と別邸の皆に集まってもらった食堂に主とアモンは向かう。
「…アモン、私ちょっと不安なの。皆に伝えた後、どんな気持ちになるのかな?って思ったら…大丈夫かな?」
アモンは主の手を握り締め軽くキスをした。
「大丈夫っすよ、俺が側に居るじゃないっすか。」
†††
「…アモンはどうした?」
ボスキの低い声がハウレス達に問いかける。「そう言えば、まだ来てないな…」
ハウレスとフェネスは辺りをキョロキョロするが見当たらず、まだ来ていない事をベリアンに伝えた。
「もうすぐ、主様といらっしゃいます。」
そう言うと、食堂のドアがギィーと開かれた。
主とアモンは手を繋いで、皆の前に現れた。
主は皆の近くに行き、話し始めた。
「皆に集まってもらったのは、私の事なの。実は…アモンと結婚する事になったの。」
ベリアンとルカス以外の皆はざわついた。
「ルカス様!主様とローズ君が!…ルカス様は知っていたの?」
ルカスが全く驚いていない事でラムリは勘付いた。皆口々に話していると、ラトが少し不思議そうにしていた。
「…主様、私が聞いた事と少し違います。前に、主様を医務室に運んだ時、ルカスさんが言っていた“ご懐妊”の事を話すものかと思ったのですが…
結婚とご懐妊って同じ事なのですか?」
ラトがその事を言った途端、皆は驚きが隠せなかった。
「ラト君!?それって本当なのかい?」
ミヤジは驚いたが、確かに少しだが主のお腹が膨らんでいるのが分かった。フルーレも結婚と妊娠を同時に聞かされ、驚きの余りへたり込んでしまう。
「…主様が妊娠?そんなっ…」
テディが肩を落としていると、ハナマルはテディの肩に手をやった。
「俺は何となく気付いてたんだがな…」
「………」
ハナマルとユーハンは主の口から聞かされ、分かっては居たもののやはり動揺やショックは隠し切れなかった。
皆が肩を落とし、何も言えずにいる時、主は口を開いた。
「…色々とずっと内緒にしていて、本当にごめんなさい。いきなりこんな事聞かされても、驚くし困るよね…
でも、私はアモンの事が好きなの。」
主のその震えた言葉で、主の覚悟を今まで黙っていた事に対して罪悪感を感じていた事を皆は感じ取った。
そしてその時にアモンが、主の側に居てずっと手を繋いで寄り添って居る事でもう勝ち目はない事も感じ取っていた。
しばらく沈黙が続いたところに、ベリアンが口を開いた。
「…主様がお決めになった事です。私達がやる事は今まで通り、主様に仕え忠誠を誓い続ける事です。 」
ベリアンが主とアモンの目の前に立ち、続けて話し始めた。
「主様、アモン君、おめでとうございます。」
それを皮切りにロノも涙を拭きながらベリアンと同じようにお祝いの言葉をかけ始めた。1階の執事から始まり2階の執事、3階の執事、地下の執事、別邸1階、2階とお祝いの言葉を主とアモンに送った。
主とアモンは泣きながら抱き合う。
今まで言えなかった言葉をやっと言えた安堵感、2人が抱いていた罪悪感、皆に祝福の言葉をもらえた事でやっと認めてもらえた事で感情が溢れていた。
「おい、アモン!…主様の事、大事にしなかったら俺が掻っ攫う。分かったな。」
主とアモンにはボスキは乱暴な言い方だが、とても愛がこもっているように感じた。
「ぐすっ…ボスキさん、その心配はないっすよ?…絶対に◯◯さんとお腹の子供は俺が守るっすから。」
「ふっ…そうかよ。」
ボスキは主の前に立ち、口を開いた。
「…主様、アモンに飽きたらいつでも俺のところに来いよ?」
そう言って、ボスキは主の髪にキスをする。するとアモンは慌てて主を抱き締め、威嚇する。ボスキは“おー怖い怖い”と冗談半分でハウレスとフェネスのところに戻っていった。
(…俺じゃぁ駄目なのかよっクソっ!)ボスキはそう思いながら、涙を流した。
「…ボスキ!泣いてるのか?」
ハウレスに言われて、涙をグッと拭い“泣いてなんかねぇーよ!”と怒鳴った。 皆思う事があるかもしれないと思い、ルカスは皆に自室に戻るように言った。
†††
主とアモンは主の部屋に戻り、2人はベッド脇に座った。主は、皆の気持ちを無視したかもしれない、ただ自分が楽になりたかっただけなのだろうかと考えてしまっていた。
「…◯◯さんが今、何を考えているか当ててあげるっすよ?…後悔、他の執事達の気持ちを無視したかもしれない、当たってるっすか?」
主は驚きを隠せず、アモンの顔を見た。
「図星っすか?…俺も含めここの執事達皆が、主様に惚れ込んでたんすよ?そりゃぁ、結婚と妊娠を同時に聞かされたら辛いっすよ。
…今は時間が必要っす。◯◯さんのせいじゃないっすよ。考え過ぎないで下さいっす。◯◯さんはお腹の子供の事を考えて下さいっす。」
主は安堵、後悔、罪悪感、色々な感情が複雑に絡み合う心の内を見透かされ、 アモンに抱きつき泣き続けた。
アモンは腕の中で泣き疲れて眠る主を見て、何とも言えない気持ちで居た。運良く自身を選んでくれていたから良かったものの、下手したら振られる側だったかもしれないと考えていた。
「…俺も駄目っすね。でも、◯◯さんに選んでもらえて幸せっす。俺も◯◯さんと子供を守れるように頑張るっすから。」
アモンは主をベッドに寝かし額にキスをし、部屋をあとにした…のだが─
「アモン!…何しに来た?」
ボスキの怒号が2階執事室に響いた。
「…えぇー怖いっすよ、ボスキさん。何しに来たって寝に来ただけっすけど…」
フェネスはボスキとアモンの間に入り、一方的な喧嘩を収めようとしたが、いつも以上の剣幕に押され収拾がつかない。
「とにかくお前の寝る場所はねぇーよ!◯◯の所にでも行けよ…邪魔だ!」
ボスキはそう言い、アモンを部屋から追い出した。フェネスはボスキの言い方を指摘したが、ボスキは不貞寝をした。
ハウレスはフェネスに目配せし、3人とも主の事を想いながらベッドに潜り込む。
(何でだよっクソっ!何でアモンなんだ…何で俺じゃぁ駄目なんだよ…クソっ…)
ボスキ以外もベッドに潜りながらも、それぞれの想いを募らせていた。
(…主様はアモンを選んだのか。俺は、はなから、勝ち目はなかったのか…)
(今なら分かる…主様が薔薇がお好きだって言っていた理由。主様…俺は…)
ボスキ、ハウレス、フェネスはなかなか寝付けられなかった。
†††
「…俺何処で寝たら良いんすか?」
アモンはとぼとぼと執事室をあとにし、再び主の部屋に向かった。ドアをノックするか、開けるか迷っていたらドアが開いた。
「「うわぁっ!」」
主とアモンは2人同時に驚き、顔を合わせて笑い合った。
「びっくりしたー、どしたの?アモン。」
アモンは主様と一緒に部屋に入りながら話した。執事室に戻ったが、ボスキに出て行けと追い出された事を話した。
主は飲み物が飲みたくて外に出たという事で2人は食堂に行き、水を飲みに行った。すると、泣き声が聞こえた。
「…主様、俺っ…はっ!あ、主様、どうなさいましたか?」
ロノは慌てて涙を拭い、笑顔を作った。その笑顔はとても苦しそうで、主は居た堪れなかった。
「…ロノ。ありがとう、私の事をそんなに大切に想ってくれて嬉しいよ。…ごめんね。ロノの気持ちに応えられなくて。」
ロノは溢れてくる感情が抑え切れず、涙をボロボロと流し始めた。主の事を本気で好きだからこそ諦めきれず、それでも諦めなきゃいけない気持ちが心の内で葛藤していた。
「…ロノ、ありがとう、ごめんね。お水、もらってくね。」
そう言い主はグラスにお水を注ぎ、飲み終えると洗い物を始めた。
「あ、主様!?そんな事は俺がやりますから!体を大切にして下さい!」
ロノは慌てて主の手を掴み、洗い物をするのを止めた。ロノは主の手を掴んでしまった事を謝るが、主は首を横に振り、これだけはやらせてと言って自身が使ったグラスを洗った。
「おやすみなさい、ロノ。」
主はそう言って、アモンと一緒に自室に戻っていった。ロノは主とアモンの背中を見届けるしか出来なかった。
(俺、主様の事すげー好きなんだけどな…)
†††
それぞれの執事達の部屋では─
コメント
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みーさん、第11話読みました…! 主人公とアモンがついに皆に結婚と妊娠を報告する場面、すごく胸に響きました。特に、ラトが純粋に「結婚とご懐妊って同じことですか?」と聞くところ、空気が一瞬で変わる感じが上手いなと。ベリアンの「おめでとうございます」から祝福の連鎖が始まる流れ、あの温かさにじんときました。 ボスキの「掻っ攫う」も強気なようで愛を感じるし、後ろで泣いてるのが切ない…。そしてロノの涙、アモンの不安まで描かれて、みんなの「好き」が重くてでも優しいエピソードでした。お疲れさまです、素敵でした🌷