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(いや…。飾り気がないからこそ…か。)
今まで出会った男は、なんとか私を落とそうと色んな甘い言葉を囁いてきた。
どれだけ上部でも。だからこそ、店長の何も考えていない、ただ純粋な気持ちから出た言葉が新鮮なのかもしれない。
胸の奥がじわじわと熱を帯びていく。
「く…くだらないです。というか、あり得ないです…」
この何ともいえないむず痒い雰囲気に私の毒舌も崩れてしまった。
素っ気なく、返すことしかできなかった。それでも店長は態度が変わらない。
「いやいや、あり得るって。きっと職場の人もそう思うかもしれないよ。」
いつまでも平然としている店長に、段々と腹がたってきた。
このまま向こうのペースなままでは悔しい。いつものようにからかってやろう。
意地悪っぽく、でも色っぽく…。
私は、残りの水を一気に飲み干した。
――カラン――
残っていた氷が音を立てて揺れる。
「わ…私が…素に…なれるのは…店長の前だけですよ…?」
…よし…いつも通り…じゃない。あれ?私…何で顔を熱くしてるんだ?
何でしどろもどろに…?え…これってつまり…照れてる?
こんなおっさん相手に…?
「……へ?」
やっと店長の間抜けな顔が見れた。満足…なわけない。私も同じような顔してる。
嫌な汗と、熱が体中に吹き出してきている。こんな感覚初めてだった。
言い訳はいくらでも思い付くのに、うまく声にならない。さっき水を飲んだばかりなのにもうカラカラだ。
この状況は非常にまずかった。
「えーと…」
「お待たせいたしましたー!!味噌ラーメンが二つですね!!」
微妙な空気を、店員さんの張りのある声とラーメンの湯気が振り払った。