テラーノベル
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茗荷の乗った小鉢。
「美味しい」
癖のあるその味に、彼女はそう笑った。
「ね、こんなの美味しいと思うようになるなんて、大人になったよね」
「……」
吉良君とは、また全然違うタイプだな。静かな……無口だ。だが、俺の話に丁寧に相槌を打つ。
「……清水部長……おいくつなんですか? 」
「ぶ、ん。ああ、いくつに見える? 」
……やっと出た質問がこれかよ。そう聞くと、彼女の目が泳ぐ。
「あはは、コレ、困る質問だよね」
「40? 」
「おい! 」
「すみません、若く言うべきでしたね」
なるほど……。言えないんだ、お世辞とか、嘘とか。
「面白い。正直だね。……もっと……冷たい感じなのかと思った」
「おいくつなんですか? ……結局」
「引く、10」
「平成生まれ!? 」彼女は綺麗な目を見開く。
「ぶっ、もう、失礼だな~! 」
ああ、面白い。分かりにくい面白さだ。きっと、仕事だけの付き合いだと分からなかった。
「ちょ、ちょっと待って。私と2つしか変わらないの!? 」
彼女はなおも目を見開きそう言った。ということは彼女は
「……28……なの? 」
彼女をじっと見つめた。彼女も逸らすことはない。
「もっと若くも見えるしもしかして年上かな? とも思った。……年齢不詳だよね」
そう付け加えた。
「それは……失礼な感じなのでしょうか? 」
ああ、女性に年齢不詳は駄目か。
「いや、褒めてるよ。妖艶だよね。……ただ……とても綺麗だ」
俄然、興味が出てきたな。しばらくすると彼女が目を逸らした。
「なんで逸らしたの? ……目」
「……あまり、男性の目を見ない方がいいって注意を受けたもので……」
「なんで? 」
「えっと……惚れる……からと」
ああ、なるほどね。惚れる、じゃなくて惚れられる。だけどね。彼女は周りに守られてる。鈍感な分、周りが守ってるんだ。
可笑しい。なるほどね。
「なるほど……その注意……男だろ? 」
「ええ、まあ」
ろのみ🩵🫧
43
#愛され
おうか
252
それが、彼なのか……他にも、彼女を大切に思ってる男がいるのか。
「賢明だね」
「え? 」
「賢明な判断だ。……それと酒を飲むなって言った人もね」
……彼女は全く気づいてない。仕事上だけではない、彼女の中身に興味が沸いた。
「じゃあ、俺からもそうしてほしい……かな」
分からないか。あんまり、素を出されると……隙がありすぎるな。
「結構狙ってる奴、多いよ」
「私を……ですか? 」
「そう」
「まぁ、そうだとしても……」
彼女は意味ありげに俯く。
「恋人つくらないの? 」
「……いえ。出来ないだけです」
あー、思いっきり塩対応だからな。相手にされてないと、取られるな。
「理想が高い? 」
「まさか! ちゃんと向き合ってくれる人が……いないだけです。清水部長は……おモテになるでしょうね」
「はは、ちょっと……おモテになる。とか……」
ギャップが凄いな。普段のクールな彼女とは。
「ねぇ、部長って止めてくれない? 」
プライベートだしと、そう言った。
それに……もっと取り払いたい。見てみたい、彼女の本質を。意味もわからないのか、彼女は俺の顔を見つめるだけ。
「……この店でさ……40の部長が、若い綺麗な子連れてたら、イケナイ関係感でちゃうだろ? 」
彼女が吹き出した。
「根に持ってるのね、40って言った事……」
「2個差に見えるかな? 」
「年上にも見えるって……」
落ち着いてると思ったからね。下にも見える。
「ねぇ、また……誘っていい? 」
もう少し、見てみたいと思った。プライベートの彼女も。
コメント
1件
うわあ〜〜〜第2話-4、めっちゃ沁みた……!😭💕 清水部長と彼女の距離感が絶妙すぎて、もうドキドキが止まらんかったよ!! 「40?」からの「平成生まれ!?」の流れ、ギャップ萌えしかしないし、最後の「また誘っていい?」ってセリフがエモすぎて頭抱えた…! 大人の恋愛の駆け引きって感じで、続きが気になりすぎるよ〜〜✨ 西原さん、今回も神回をありがとうございます!!🙏💖