『星の英雄 ゲズとリオン』
第4章:雷は砕け、炎は絶える
あの日から、幾月が過ぎた。
滅びかけた地球の空の下、ゲズはリオンと共に数多の修行と戦いを重ねてきた。
雷の力を自在に操り、空を裂き、地を震わせるまでに成長した。
リオンの指導は厳しかった。
だがそこには、かつての仲間を失った者の悲しみと、
新たな希望への切実な願いが、確かにあった。
⸻
そして、決戦の日が来る。
地球の最深部――隕石がもたらした巨大クレーターの底に、レル=ザイオスはいた。
その身体は人の形を保ちつつも、漆黒の金属で構成され、
背中には翼のようなエネルギー結晶が蠢いていた。
「よく来たな、星の子らよ」
冷たい声と共に、空間が歪む。
リオンは剣を抜き、ゲズは雷をまとった。
「終わらせるぞ。お前の時代も、ここまでだ!」
二人は全力を以て挑んだ。
雷が走り、光がうねり、時空が割れるような戦いが始まる。
しかし――
「なっ……効かない!?」
ゲズの一撃はレル=ザイオスの防御結界に阻まれ、
リオンの剣は深く斬り込んでも、再生能力により瞬時に修復されてしまう。
「君たちには、まだ早すぎたのだ」
レル=ザイオスが巨大な黒い光の刃を放つ。
その一撃が、リオンを貫いた。
「リオンッ!!」
ゲズが駆け寄ったとき、リオンの体は血に濡れ、崩れかけていた。
それでも彼は、かすかに笑っていた。
「……悪くない、最期だ」
「やめろよ……リオン、俺たちは……まだ……!」
ゲズの目から涙が溢れた。
だがリオンは、最後の力でゲズの手を握った。
「お前には、妹を託す。彼女は……セレナ。
銀河系外縁の星“レファリエ”にいる。
……彼女だけは、生きて……未来を……」
そしてリオンは、静かに息を引き取った。
英雄が倒れた。
希望が消えた。
ゲズはその場に崩れ落ち、地を殴り、絶叫した。
「うああああああああああああああああああ!!!!!」
その絶叫は空に響き、雷雲を呼び、地を震わせた。
その中心に、ゲズの紋章が黒く、淡く、揺らめいた――。
⸻
レル=ザイオスは、その姿を消しながら、低くつぶやいた。
「さて……“鍵”は次へと渡ったか。
だが、貴様らはまだ知らぬ。
我が主“ルシフェル”の名すらも……」
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