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《 苦 痛 の 選 択 肢 》
※長いです
「ねぇ、ッ本当に……良いの、?」
「良いってば…それで、治るんだろ?笑」
「でもっそれじゃあめんが…ッ」
「徹」
「〜〜ッごめん…」
その日の夜は
静かな俺の部屋が真紅に染まった夜だった
その日、その瞬間までは何もない日常だった
いつも通り仕事に行って、メンバー達と
他愛もない会話をして
大好きな人と過ごして
今日もそのつもりだった のに
tk「いっ、てぇ……」
tr「え、大丈夫?めん」
tk「紙で指切った…」
やば血出てきた、なんて言うめんの指をみれば
綺麗な赤い血がうっすら滲んでいて
それから何をしたのか分からない
そこからの記憶は途切れている
気付いたときには、俺はカッターを握っていて
目の前には腕から血を流している想太がいて
tr「…ッえ、想太!?大丈夫…じゃない、よな」
st「や、俺は大丈夫やけど、、」
tk「徹、お前急にどうしたんだよ…?」
tr「ぇ、っとごめん、記憶がなくって、…」
聞けば、俺がめんの傷をみた途端にカッターを
持ち出して近くにいた想太に襲いかかった様
本当に何の話だかさっぱりわからない
tr「……ほんと、ごめん想太…」
st「大丈夫ですよ、そんなに深くないし」
hy「徹くんこそ、平気ですか?」
tr「うーん、特に何もない…」
なんだかよくわからないままその後俺に
異常は見られなかったから練習続行
特に何事もないままその日の終わりを迎えた
tk「とーるー、帰るぞ〜」
tr「あ、うん!」
めんに呼ばれ急いで支度を終わらせ
先に出ていっためんを追いかける
tr「おまたせ、めん」
tk「ん、、」
tr「…?」
tk「なぁ、お前本当になんともない?」
tr「え…?」
突然何かと思えば、恐らく今朝の事だろう
特に思い当たる節は俺には無かった
tr「いやなんともないけど…」
tk「そう、か……」
やけに歯切れが悪いめんに何かあるのかと
聞いてみるとめんからは
“ 殺人病 ” という単語が飛び出てきた
これになった人は大切な人の血をみると
殺人衝動に襲われるらしい
瞳は真っ赤な血の色に染まりその間の記憶は
無くなる……らしい
tr「…おれ、目赤かった、?」
tk「………うん」
tr「…殺人病、なの…ッ?」
tk「……分かんない」
たしかに俺はめんの指に血が滲んでいるのを
見た所から記憶が途切れている
なんとか暴れる俺を雄大とかめんで抑えて
刺した所で止まったらしい
俺は……殺人病なのか…?
tk「違うかもしれないけど…」
tr「ううん、教えてくれてありがとなめん」
tk「うん…俺も気をつけるわ」
めんが怪我をしなければ俺は大丈夫なはず
その日は、それで終わり
そのままであればよかった
俺の『大切な人』っていうのはめん
どんなに気をつけていようと怪我はするもので
その度に俺は暴れて、誰かを傷つけて、
しまいには止めようとしてくれた雄大まで
怪我をさせてしまった
tr「ごめん…ッごめん、みんな…ッぁ」
俺は罪悪感で押し潰されそうだった
仕事に行っても誰かを傷つけてしまうんじゃ
ないかって恐怖で体調を崩す事が増えて
仕事にも段々と行けなくなって、家から
出る事すら怖くなった
もう俺は駄目かもしれない
独りで泣いていた、その時
ピンポーン、、ピンポーン、、
《徹ー…いる…?》
めんだ
めん、わざわざ俺の家まで来たんだ
正直家にはあげたくなかったけど、
ずっと1人でいた俺は流石に誰かに
会いたくて、めんを家にいれた
「…どしたの、めん…ケホッ」
「ちょっ、おま、飯食ってる!?」
……そういえばあんまりご飯食べてないかも
ぼーっとして何も言わない俺をリビングまで
めんは連れていき簡単な雑炊を作ってくれた
「お前痩せすぎ……ちゃんと食べな、?」
「…うん、ごめん」
沈黙が続く中、めんが口を開いた
「そういえばあの病気さ」
「…っ!」
「治る方法、あるにはあるっぽい」
「え、まじで…?」
するとめんはちょっと渋るような仕草をした
何かと不思議に思っていたがめんの口から
出た言葉に俺は固まった
「……大切な人を、殺す…事」
「………は、?」
「ぇ、冗談…だよな?」
「……そうなら良いんだけどな」
「嘘だろ………」
俺が、めんを、、、ころす…?
「そんなの…ッ無理に決まってんじゃん…泣」
「徹………」
嫌で嫌で泣き出してしまう俺の背中を
優しくさすってくれるめん
いつまでも優しいなぁ、なんて思うけど
なんで突然めんは訪ねてきたんだ?っていう
疑問が浮かぶ
めんを見ればちょっと悲しみ入り混じる笑顔
「…めん、もしかしてその為にッ…?」
「……徹が治るんなら俺はそれで良いよ」
「何言ってッ…!?」
こいつは死ぬ気で俺の家に来たわけだ
俺のこの意味分かんない病気を治すために
「駄目、だってば…っ(泣」
「良いよそれで」
「めんは死んじゃ駄目だよ……」
子供みたいに泣きじゃくってめんの服に
すがりつく
それをめんは包み込むような笑顔で見ている
「徹、お願い。やって?」
「…ッ泣」
いい加減俺もこの病気には限界を迎えていた
脆く崩れかけた心には救いがあると分かれば
それを求めてしまうもので
「ごめんな…っめん、」
「最後にごめんは嫌だなぁ…笑」
「……ありがと、、、」
「……うん」
俺の体と部屋に真紅の血が飛び散った
今はそれを見ても何ともない
あぁ本当に治ったんだな
でもそれを一番に伝えたい人はもういなくて
ただただ涙が溢れてくるばかりで
叫びたくて
逃げたくて
でもめんが残してくれたこの命は大切にしたい
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