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翌朝、アメリカは少し早めに出社する。

昨夜の告白で、日本との関係が変わるかもしれないという淡い期待と不安が入り交じり、逸る気持ちを抑えられないでいた。

そんな中、日本はまだ出社していないようで、アメリカは、この後日本がどんな顔をしてオフィスに現れるのかを想像するだけで胸が騒ぐ。


🇺🇸(いつもならこの時間にはいるのに…)


デスクに座っても、目の前の書類がまるで頭に入らない。アメリカは、つい手元のペンを弄りながら、何度も時計を見てしまう。


やがて、いつもの出社時刻より遅れて日本がオフィスに現れた


🇯🇵「おはようございます…」


いつも通り日本が控えめに声をかけると、アメリカはぎこちなく「お、おはよう」と返した。

日本の姿を見てほんの少しだけ胸を撫で下ろしたものの、2人の間にどこか緊張感が漂っているのが周囲にも伝わってしまいそうで、何とか気持ちを切り替えようとアメリカは小さく深呼吸をしてから仕事に取りかかる


🇯🇵「…」

🇺🇸「…」


しばらくの間、2人は特に言葉を交わすことなく自分の仕事に集中していた。


でもどこか、何かがいつもと違う。


ふと、アメリカが視線を上げると、いつからか日本もこちらを見ていたようで、2人の視線がバチリと噛み合った


🇯🇵「…!」


日本は一瞬硬直し、ハッとしたように慌てて目を逸らして手元のパソコンに向き合った。日本のその仕草があまりにもぎこちなく、顔全体がほんのりと赤く染まっているのが見える。


🇯🇵「……///」


🇺🇸(……あ゛ー!!クソ!)


その瞬間、思わず上がってしまう口角をアメリカは咄嗟に抑えた。急速に広がる胸の疼きが止められない。


🇺🇸「…なんだよそれ…///」



その後も、日本がチラチラと自分の方を見ているのを感じ、アメリカはそれが気になって仕方がなかった。




昼休みが近づいた頃、アメリカの席に営業部の同期がやって来た。


🇨🇦「アメリカ、お昼一緒に行かない?」


アメリカはカナダの声に反射的に顔を上げたが、そのすぐ近くに日本がいるのを見据え心臓が跳ねる。


🇺🇸「あー…ごめん!今日はちょっと…」


アメリカは言葉を濁したが、カナダはあっさりと肩をすくめて「ん、そう、じゃあまた」とオフィスを後にする。


他の社員達も立て続けにお昼休憩の為に仕事を一時中断して去って行く中、オフィスに一瞬静寂が戻った。

アメリカは意を決して日本に歩み寄る…しかしその瞬間、思いがけず日本が先に声をかけてきた。


🇯🇵「あ…あの!アメリカさん!」


🇯🇵「今日…一緒にお昼、いいですか…?」


🇺🇸「あ、ああ!もちろん!」


日本からの誘いにアメリカは思わず心の中でガッツポーズをする

そんな中、努めて平静を装うとする声がほんの少しだけ上ずってしまったアメリカは、それを誤魔化すように咳払いをした。


🇺🇸「ん゛んっ!えっと、じゃあ、行こうか」


🇯🇵「は、はい」


🇺🇸「近くにおすすめの店があって……」





2人が向かったのは、会社から少し離れた落ち着いたカフェ。お昼時で混み合う店内で、2人は窓際のカウンター席に並んで座った。

アメリカは、ふとした会話の隙間に日本の表情を盗み見ていた。柔らかな笑顔と真っ直ぐな瞳、日本の些細な仕草に相変わらず胸が高鳴った。


🇯🇵「アメリカさんはいつもこんなオシャレなカフェで昼食をとっていたんですね」


🇺🇸「ま、まぁな!」

🇺🇸「ここのコーヒーが凄く美味いんだ」


🇯🇵「へ〜!」


🇺🇸「豆とか凄いこだわってて〜…」


🇺🇸(あ〜〜日本!ごめん嘘!)

🇺🇸(いつもなら向かいのバーガーショップに行ってる!!)


これまでの女性相手には冗談交じりに軽口をたたき、余裕たっぷりで接してきたアメリカだったが、日本の前では妙に緊張してしまい普段通りに振る舞えない。

アメリカは、焦燥感を伴うこの気持ちをどう扱えばいいのか、自分でもよく分からなくなっていた。



それでも、日本のことをもっと知りたい、近づきたい──そう思うとアメリカは、つい不器用な自分を自覚してしまうことがどこか恥ずかしくもあった。


メニューを注文してしばらくして、日本が視線を下げたまま、ぽつりと言った。


🇯🇵「あの、昨日のこと…なんですけど」


🇯🇵「びっくりしたけど…でも、家に帰ってからゆっくり考えたら、…アメリカさんの気持ちが、嬉しかったと言うか、嫌じゃなかったと言うか…」


徐々に小さくなる声でぽつぽつとそう答える日本に、アメリカは思わず目を輝かせながら大きく見開いた。


🇺🇸「!!、じゃあ…!」

🇯🇵「で、でも!この気持ちはアメリカさんへの憧れというか、こ、恋とかそういうものなのかは、まだ分からなくて…!///」


🇯🇵「だ、だから、答えはもう少し、待ってて欲しいです…」


アメリカは、自分以上に不器用に、日本がワタワタとそう答える姿を微笑ましく思いながら、少しだけ肩の力を抜いて答えた


🇺🇸「…うん、俺は日本の気持ちの整理がつくまで、いつまでも待ってるから」


🇯🇵「…ありがとうございます///」


しかし、日本の次の言葉が、アメリカの心を再びざわつかせる。


🇯🇵「…でも、あんな風に他の人を追い返すのは…やっぱりやめて欲しいんです。」


アメリカの表情が一瞬固まった。

思い出してしまったのだ。昨夜、ロシアを無理やり追い払った自分の行動、そして、感情を爆発させ、あと1歩のところで日本との関係を壊してしまいそうになった自分。


🇺🇸「っ、…それは…悪かったと思ってる」

🇺🇸「でも、…どうしても嫌だったんだ。お前が他の誰かと親しそうにするのが…俺には耐えられなかった」


アメリカの言葉には、自分でも驚くほどにドロドロとした醜い嫉妬の色が滲んでいた。

日本の気持ちや優しさが必要以上に他に向く事もそうだが、ロシアは(特にアメリカに対して)人を突っぱねたり、冷たい対応をする時が多々見受けられる…そんなロシアに、繊細な日本が傷つけられたりしないかが、アメリカは心配だったのだ。


🇯🇵「…アメリカさんが私を思って言ってくれているのは分かるのですが…」


🇯🇵「アメリカさんのその気持ちを、私はどう受け止めればいいのかが分からなくなりそうで…」


その言葉に、アメリカの心が軋むように痛んだ。

日本を困らせるつもりはない。でも…そう言葉を続けようとしたその時、店の扉が開き、見知った顔が入店する。そこに居たのは、アメリカが昨夜追い返した男…正直、今1番会いたくないロシアだった。


混み合う店内、辺りを見渡したロシアはアメリカと日本の存在に気づき、あからさまに うわ…という顔をした後にそのままゆっくりと2人の席に近づいて来る。


🇷🇺「お疲れ、…お前らが仕事以外で一緒に居るの、何だか珍しいな」


ロシアの何気ない一言に、アメリカの眉間に皺がより、その視線は鋭くロシアを睨みつけた。アメリカの胸の奥で警鐘が鳴り響く。


🇺🇸( …邪魔すんなよ、マジで!)


アメリカの胸に苛立ちが込み上げ、ついに口を開こうとしたその瞬間、アメリカの表情が一瞬だけ固まった。


近づくロシアと共に表情が険しくなるアメリカを見て、少し緊張しながらも、日本がロシアの死角になるようにそっとアメリカのふとももに手を置いていたのだ。

唐突な日本の手のぬくもりに、アメリカの体はびくりと反応する。冷静に考えればただの抑止行動だと分かるのに、激しく動揺して視線が泳いだ。


🇯🇵「ロシアさん、お疲れ様です。」

🇯🇵「私が個人的にアメリカさんに相談したい事があって、こうやって時間を頂いてるんです。」


🇷🇺「…へー、アメリカが人の相談なんて聞けるたまには思えないけど」


🇺🇸「は???」


🇯🇵「いやいやいや!!いつも仕事でも助けて貰ったり本当に頼りにしているので…あ!!」

🇯🇵「ロシアさん!向こうの席が開きましたよ!」


🇷🇺「あ、本当だ」


日本はさりげなく促し、ロシアを別の席へと誘導した。


ロシアが離れ、アメリカの胸を安堵が満たす一方、日本に触れられた場所が熱を持ったまま、アメリカはその熱が全身に広がるような感覚に陥っていた。

自分との時間を守ってくれた日本の行動に胸がいっぱいになったと同時に、アメリカは、日本にもっと触れて欲しいという衝動が込み上げる。

そんな中、日本は少しだけふくれた表情でアメリカに向かい合う


🇯🇵「…アメリカさん?」

🇯🇵「さっき私、言いましたよね?」


🇺🇸「うっ…」


🇯🇵「ここで揉めたら、お店を出なきゃいけなくなる所でしたよ」


日本の言う事はご最も、やめてくれと言われた直後に指摘された事を繰り返してしまった自分を省みる。

アメリカは、どうにも日本が絡むと自分の感情の制御が難しくなるのだった。


アメリカが素直に謝ろうとしたその時


🇯🇵「私だって…」

🇯🇵「私だって、アメリカさんとの時間を大切にしたいと思ってるんですからね…!」


日本は恥ずかしそうに視線を落としながらそう言った。


🇺🇸「!」

🇯🇵「…///」

🇺🇸「日本…」


日本のその言葉に、アメリカは再び胸が満たされるような幸福感に包まれた。日本が自分を大切に思ってくれている、その気持ちが伝わってくるだけで、アメリカの不安や緊張がすっと消えていく。


自然とアメリカの顔に笑みがこぼれ、今この瞬間、ただ、隣にいる日本をもっと感じたいという気持ちが抑えきれなくなっていた。


そっぽを向いてしまった日本の、照れているようにも拗ねているようにも見える可愛い表情をアメリカが覗き込もうとしたその時、2人のテーブルに店員が料理を持って近づいてきた。


💁「お待たせいたしました!たっぷりベーコンのカルボナーラセットとシーフードドリアセットになります」


💁「ごゆっくりどうぞ!」


🇯🇵「わ、わー!美味しそう!」

🇯🇵「アメリカさん!さっそくいただきましょう!!」


日本が空気を切り替えるようにそう言うと、お手ふきでしっかりと手を拭いてからスプーンを勢いよく握る


🇯🇵「いただきます!!🙏」

🇺🇸「!」

🇺🇸「日本待て、それ多分「あ゛っつ!!」熱いぞ…」


アメリカの忠告を聞く前に熱々のドリアを口にした日本は手で口を抑え、その熱さに悶えた


🇯🇵「っ〜〜〜!!!」

🇺🇸「あ〜、ほら日本、水」


日本はアメリカからコップを受け取り、水を口に含む、その目にはうっすらと涙が滲んでいた。


🇯🇵「っ、う゛〜〜熱かった…」


日本は口内の熱を逃がそうとしてペロりと舌を外気に晒した。そんな日本の無防備な姿が、アメリカにはやけに愛おしく、艶かしい。

小さな唇の端からわずかに見える舌と、少し赤くなったその表情──そんな日本の何もかもが刺激的で、アメリカは思わず息を飲んだ。


🇺🇸「……」


🇯🇵「…?」

🇯🇵「アメリカさん?どうかしたんですか?」


固まってしまったアメリカを日本が不思議そうに見ている事に気がつき、アメリカはなんとか冷静さを保とうと必死で表情を取り繕う。


🇺🇸「あー、いや!なんでもない!」

🇺🇸「大丈夫か?火傷したなら無理するなよ」


🇯🇵「大丈夫です!熱いけど凄く美味しい」


🇺🇸「それなら良かった」

🇺🇸「まだ熱いだろうから、良く冷ましてから食べるんだぞ…」


そう言いながらも、視線は日本の唇から離せない。このままここでキスをしてしまえば、日本はどんな反応をするだろう? アメリカの胸中で、そんな葛藤が渦巻く。


アメリカは、必死に頭の中で飛躍する思考を戒めようとするが、目の前の日本がとても幸せそうな顔でドリアを食べながらアメリカに微笑むたびに、今にも抑えが効かなくなりそうだった。


今はまだ、自分が思うままに動いてはいけない──日本の告白への答えを聞くまで、踏み込むべきではないとわかっているのに、どうしても日本に対する抑えがたい想いが、アメリカの胸の奥でジリジリと燻り続けるのだった。

心の穴を埋めるのは

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コメント

8

ユーザー

かわわわわ!やばい好きすぎる!焦らし日本が可愛すぎです😍😍うまくいかない恋ほど美味しいものはないよね🤤🤤

ユーザー

んんんーー!! 焦ったいっていうか、うまくいかないというか、恋って難しい! 恋人になる過程をこんな繊細に書けるなんて尊敬します!!

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