2本目!ロヴィ菊です!!
ではどうぞ!
ある年の夏、俺は電話で日時を伝えて1週間後にそちらに行くと連絡した。
頭には帽子、服は涼しい半袖のTシャツ、半ズボンにサンダル、日本の夏は熱い。
片手に1週間分の衣服とお泊まりセットを用意してキャリーケースを引きながら人気のない道を歩いていた。
菊の家に行くのは一体何年ぶりだろうか、ここ最近は忙しかったり距離が遠かったりしてなかなか会うことができなかった。
俺は菊に片想い中、こんな気持ちを伝える機会もあまりないし、この気持ちは心の奥底にしまっておくことにする。
しばらく歩くと、広い大きな日本家屋が見えてきた。ここが菊の家。
世界会議で会うことはあれど、家に上がるのは数年ぶりで、ドキドキしながらインターホンをそっとおした。
ピンポーン
日本家屋には似合わない現代的な音を鳴らすと家の中から「はーい」と低く心地のいい声がした。
パタパタと急いでこちらに向かってくる足音がする。
(そんなに急がなくたっていいのに)
俺は心の中でクスッと笑った。
「すみません!お待たせしました。お外は暑かったでしょう、、、!ささ、上がってくださいな」
菊は早々にロマーノを家の中にあげた、菊はスーツケースを預かるとロマーノが1週間泊まる部屋に案内した。
とても広くて畳の匂いが心地いい、それとともに菊の匂いもほのかにする。
「ありがとうな、急な連絡だっただろ」
「いいえ!お電話をくださっただけでもとてもありがたかったです!」
菊はニコニコしながらそういった。そしてすぐに顔を暗くして
「だいたいみなさんお電話なしで急に押しかけてきますから、、、」
少々気の毒に思ったロマーノだった。
そしてすかさず菊が
「今日の晩御飯は何にいたしましょうかね?リクエストはありませんか?」
リクエスト、そう聞かれて真っ先に思い浮かぶのはやはり和食だ。
「和食がいいな」
「ふふっ、そうですか、ならたくさん美味しいものを作りましょうね!」
ニコっと再び笑顔を見せる。
(可愛い、、、)
ロマーノは菊のこの笑顔がとても大好きだ、菊を好きになった理由もこの笑顔にある。
そして急ぎながら菊は台所に向かっていった。
ロマーノは自分の荷物を少し整理しながら夕食の時間を待った。
そして2時間後ぐらいに菊から呼ばれたロマーノはこたつのある部屋に向かった。
冬場はこたつ、夏場は普通のテーブルになる、日本の暖房器具はとても実用性があると思わせられる。
机の上には白ごはんに味噌汁、そのほかにたくさんの品がずらりとならんでいた。
2人で手を合わせ、食事をいただく。
「いただきます」
一口目を口の中に運ぶ。
「美味しいですか?」
二口ほど食べた頃にそう聞かれた。
「ん、うまい、、、」
ロマーノは菊から目を逸らしながらそういった、他の国の前では強がって「まぁまぁいいんじゃね?」とか言うロマーノだが菊の前ではどうしても正直になってしまうらしい。
それが恥ずかしくて目を逸らしてあたかも皮肉を言っているように見える。
だが菊もそれを理解しているので、素直になれないロマーノが可愛くて仕方がない。
「ふふっ、よかったです」
そう言いながらロマーノの頬についた米粒を優しく取る。
ロマーノの心臓はギュッと跳ね上がった。
「な、なんだよ!急に!!」
つい大声を出してしまった。
だがそんなことは気にしない菊は
「口元にご飯粒が付いてましたよ」
と優しく返事をした、そこでロマーノは少し前のめりになった菊の胸元が少し、鎖骨から胸の半分ほどまでチラリと見えてしまった。
それをみて少し顔を赤らめるロマーノを菊は可愛らしいと思いながら孫を見ているような気持ちで食事をした。
その夜は普通に風呂に入り、普通に寝た。
翌朝、起きると朝食が用意されていた、机の上にはパンとスープ目玉焼きにソーセージ、一般的な朝食だ。
だがロマーノはすぐにわかった、日本は俺が来ているから朝食を洋風にしたのだと、そんな気配りができる菊をまた好きになっていく。
朝食を食べ終わった後は特に何もすることはなくダラダラと過ごし、そのまま昼になった。
菊はいつも忙しそうに部屋を行ったり来たりしている、だがロマーノにとって構ってくれない寂しさより、菊がそこにいると言う安心感が強かった。
水を流す音、床を歩く音、トントンと何かを包丁で切っている音。
様々な音が人がそこに存在していると言うことを伝えてくれている。それがとても心地いい。
特に何をするわけでもなく、ただボーッとその音を聞きながら昼下がりの午後ならではの暖かい空気と冷たい風を感じながらお腹の上に犬のポチをのせうとうととしていた。
しばらく経つとロマーノは目を覚ました。
つけたはずのないテレビの音が聞こえチラリと右の方を見ると菊が座ってテレビを見ていた。
そしてロマーノが起きたことを確認した菊は優しい声で
「おはようございます」
と一言言った、なんだか幸せな気がした。
誰がいるとわかる物音が聞こえる中眠り、起きると誰かがそばにいてくれて「おはよう」と言ってくれる。
それだけでなんだか幸せな気分になれるのだ。
だがロマーノもずっと1人でいるわけではない、弟のフェリシアーノと同居しているがこんなに心地が良くなるのは菊だからなのだろう。
そしてロマーノはうとうとしながら
「おはよう、悪い、寝てた」
挨拶と謝罪の二つを混ぜて菊に言葉を返した。
「今日のお夕飯はパスタを作りたいのですがやはりここはプロのロマーノ君と一緒に作りたいと思いまして、一緒に作ってくれませんか?」
菊はふわりと微笑みながらロマーノに尋ねる、ロマーノにはそれを断る理由も断るはずもないので容易く了承し、2人で台所に向かった。
少々寝ぼけながら台所につく2人、菊は着物の上から割烹着を着ながら食材を取り出す、そこでなんとなく愛おしいと思ったロマーノは菊の後ろから抱きつく。
ギュッと両手でホールドし、菊もビクリと体を震わす。
「ろ、ロマーノ君?まだ眠いですか?」
菊は優しく尋ねた。
あまりにも愛おしくて、つい告白してしまいそうになった、「好き」という二文字を飲み込んで菊の頭のつむじに顔を埋める。
すると菊が頭をぽんぽんと撫でた。
「まだ眠たいですよね、すみません起きて早々お願いしちゃって」
「別に、、、いい、ちょうど暇してたし、お前に会うために来たし」
つい少し本音がポロッと漏れてしまったが菊は気にしていない様子。
その後は2人で仲良くパスタを作って食べた、いつもと同じ作り方、材料なのになんだかいつもより美味しく感じた。
おそらく幸せが詰まっているんだろうと感じる。
「幸せだ、、、」
気が抜けたのかまたポロッと本音が漏れる。
「幸せならよかったですね、、、!私もロマーノ君が来てくれて嬉しいですよ」
小さな声で言ったつもりだったがどうやら聞こえていたらしい。
縁側に横たわっていたロマーノの隣に菊は正座で座る。
別に構って欲しいわけじゃないが、目の前にいるのに何もしないのはイタリア男としての恥だと思ったロマーノはむくりと起き上がり菊の膝に頭を乗せた。
「ロマーノ君、、、!?」
「今日のお前ずっと何かしてて一緒にいられなかったからよ、、、いいだろ、、、これぐらい、、、」
素直になれるような、なれないような、複雑な心境ではある。
そして甘えてきたロマーノに少しときめきながら縁側から夜空を2人で眺める。
菊は優しくロマーノの頭を撫でながら鼻歌を歌う。
「お前鼻歌とか歌うんだな」
「ええ、いいことがあるとつい歌いたくなってしまうのですよ」
「ふーん、、、」
心地いい歌い声、だがそれ以上に声がエロいのでどうしても少しムラムラしてしまう。
「なぁ、菊、今日は月が綺麗だな」
ロマーノは空を見て思ったことを呟いた。
菊からの返事はない、ロマーノは菊の膝枕で寝ながら月を見ているので顔は見えない。
おそらく、月を眺めているのだろう。
(この気持ちは、心の中に置いておこう)
そう思った。
「月が綺麗ですね」
(あなたが好きです)
コメント
2件
好きすぎます!!最高ですっ! ギル菊...見たかったです...!
気軽にコメントしてね♪ ギル菊これと似たやつ描いたのに間違えて消しました、、、妬む、、、