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うっわぁ、好きすぎます。お兄さんの中の菊ちゃんの存在がどんどんと大きくなっていくのが堪らないです!!
スー…天才ですね!!
フラ菊でーす!!
前回のオメガバ朝菊とは別の世界ですので!
ではどうぞ!
学園ヘタリア、そこは個性的な生徒たちが集まった学校、そんな学校にフランシスは通っていた。
フランシスは何をするにも大体2番、なぜならいつも一番にはアーサーがいるからだ。
だがフランシスは2番なことに特に悔しい、とか言う感情は一切持ち合わせていない。
勉強も運動も生徒会の仕事をこなすスピードも、そして会長であるアーサーの二の腕の副会長であることも、
本人はそこまで2番であることに興味も示していない、なんなら、なんでも2番になれる俺ってすごいでしょ?と威張っているぐらいだ。
そんなある日、2人は高校三年生へと上がった日のクラス分け、2年間一緒に過ごしてきたアーサーとクラスが三年で離れてしまった。
まぁ、少し寂しいかもしれないけれどうるさいのがいなくなってちょっとは楽しい学園生活を送れると、そんな期待をしていたが、フランシスの分けられたクラスには、幼馴染のアントーニョもギルベルトも、仲のいいフェリシアーノ達もいないことに気がついた。
(えぇ、、、嘘でしょ、、、全員違うクラスなの、、、)
新学期早々、ガクリと肩を落とす。
近くにいる子に適当に声をかけ、クラスにいる時にペアを組んだりする程度の友達を作ろうと、前に座っている黒髪の男の子に声をかけた。
「ねぇねぇ〜」
急に声をかけられて驚いたのか、前の席に座っている黒髪セーターの男の子がビクリと肩を跳ねさせた。
「な、なんですか、、、?」
オドオドとしながら辿々しい口調でゆっくりとこちらを向いた。
どうやら日本人のようだ、黒髪に黒目、丸くて大きい目に心地いい低い声。
「初めまして?だよね?俺フランシス!よろしくね〜」
「俺、仲良い奴ら全員クラス離れちゃってさぁ〜俺の話し相手になってよ!」
相手の返事も待たず話を進める、かなりオドオドしていた彼の態度も少し落ち着いて話を聞いてくれるようになった。
「えっと、初めまして、フランシスさん、副会長さんですよね、、、?」
「知ってくれてたの?嬉しいなぁ〜!」
感度は良好、これでこのクラスでの暮らしは快適なものになっただろう。
「一学期の初めのこの時間ってなんなんだろうね〜」
「無駄に長いですよね」
物腰も柔らかいし、何より喋りやすい、特に意味もない話をし始めた2人、するとクラスの1人の女子が話しかけてきた。
「ねぇ!フランシス〜!学校終わったら2人でどこかいかなぁ〜い?」
「え〜?いいよ?どこ行くの?」
いきなり入ってきた女性に少しギクシャクしている。
「あ、ごめんね!菊ちゃん!また明日話そうね〜」
そう言ってフランシスは女性と2人で教室を出て行った。
その数分後
「菊〜!一緒にかーえろ!」
フェリシアーノが元気よく迎えにきてくれた。
「わかりました。今行きます、、、!」
この時のお互いの頭は特に何もない、ただ話した程度の記憶。
次の日、菊はいつも通り早めにきて早めに席に着いて授業の開始を待っていた。
するとガララっと勢いよく教室の扉が開いた。
「うへぇ、、、アーサーの説教ながぁ、、、」
朝からげっそりとしたフランシスが顔を覗かせた。
「あれ?菊ちゃん早いねー!」
「おはようございます、フランシスさんもお早いですね」
「うん、そうなのよ〜生徒会の仕事が早々に忙しくてね〜しかも会長に怒られちった!」
「あらあら、何したんですか?」
クスッと笑って笑顔を見せる。
今まで一度も菊の笑った顔を見たことがなかったフランシスは
(花が咲くように笑う子だなぁ)
と心の中でふと思った、だがそんな感情はすぐに忘れ、2人はフランシスの知り合いがくるまで話続けた。
すると意外と趣味が合うことがわかったのだ、漫画、アニメ、ゲームが好き、しかもかなり古い作品を知っていたりと、菊も大興奮でフランシスと話していた。
ふんふんと鼻息を立て、興奮しながら嬉しそうに話す菊を見てフランシスはクスッと笑った。
(何この子!面白いじゃん、、、!)
そのうちもっと話したいと思うようになった。
そしてとある日の放課後。
「あ、ごめん!菊ちゃん今日予定あるからそんなに話せないや、、、」
「大丈夫ですよ?それに最近私とずっと話していますが、他の方のところに遊びに行ったりしなくても良いのですか?」
「大丈夫大丈夫!俺菊ちゃんと話してる方が楽しいもん!」
そう言ってカバンを左肩にかけ、教室を後にした。
教室には菊1人だけ、今日はフランシスと帰る予定だったのでフェリシアーノやルートには何も連絡をとっていなかった。
(急に連絡したら失礼でしょうか、、、)
そう考えながら夕日がさす教室の窓の外をふと見上げた、少し窓を開けると心地の良い風が教室の中まで入って来る。
そこまで暑くはないがもう少し涼しくなってから帰ろう、そう考えながら夕日をぼーっと眺めていた。
そんな中、アーサーはフランシスの教室へ向かっていた、なぜならここ最近生徒会の仕事をほっぽっているからだ。
(たくっ!フランシスの野郎、生徒会の仕事サボりやがって!!あいつの分の仕事が俺に回ってくんだよあの野郎!!!!)
ガン!!!!
「おい!フランシス!!今日こそは生徒会に、、、」
フランシスがいるはずの教室の扉を勢いよく開けると、そこには金髪で長髪の背の高い人がいると思いきや、真反対の人物が教室の端に座っていた。
風にゆらゆらと揺蕩う黒髪を耳にかけながら黒い目と小さな華奢な体がこちらに向く。
その時、アーサーの心臓がドッと音を立てた。
アーサーの声が聞こえた方をパッと見た彼は驚いた顔をしていた。
「す、すみません!すぐ帰ります、、、!」
急いで荷物をまとめようとする菊をアーサーはすぐに止めた。
「ま、待て!悪い、、、驚かせたよな、、、?」
「え、あ、まぁ少し驚きましたが、、、」
お互いになんとも言えない空気が漂う。
すると菊が口を開いた。
「フランシスさんをお探しなんですか?」
「そうだよ、最近生徒会に顔を出さなくてな、、、あいつの分の仕事が俺に回ってくるからちょっと参ってて、、、」
はぁ、、、とため息をつきながら手元に持った書類を眺める。
それをすこし見かねた菊は
「実は私今暇なんです。よろしかったら少しお手伝いましょうか、、、?」
そう提案した、するとアーサーはパッと顔を上げて、いいのか!?と菊の顔を見た。
そして2人きりの教室で生徒会の仕事を少しずつやりながら話をした。
(なんかいつもより楽しいな、、、!こいつ可愛いし、でも男なんだよな、、、)
そんなことを考えていると菊のおかげで生徒会の仕事はほとんど片付いてしまった。
(手際いいな、、、すぐに終わっちまった、、、菊とはまだ話したい、まだ一緒にいたい、、、)
どうにか一緒にいる口実を作りたいと考えているアーサーだったが意外な言葉をかけられた。
「あの、よろしければ一緒に帰りませんか?1人で帰るのは少し寂しいので」
そうニコリと笑いながら菊はアーサーに尋ねた、そのあと容易くアーサーはOKした。
2人で楽しく会話をしながらいつもより遅めの足取りで時間を惜しむように帰った。
そして次の日、その日もいつも通りフランシスと話していたがどうやら今日もフランシスは用事があって一緒に帰れないようだ。
するとしばらくするとまたもやアーサーが教室にやってきた。
「菊!今日は一緒に話したくてきたんだ!それに、暇だったらまた一緒に帰らないか?」
自分でもわかるぐらい少し早口でアーサーは菊を誘った、菊は断る理由もないので容易く了承し校門が閉まる時間まで楽しく話していた。
その頃フランシスは、クラスの女の子と待ち合わせしていた。
(おっそいなぁ〜、、、)
(やっぱり最近女の子と遊んでるけど、菊ちゃんといた方が楽しいんだよね〜、、、)
ぼーっとそんなことを考えながら立っていると手に持っていたスマホがピコンっと音を立てて鳴った。
(げっ、、、ドタキャンかよ、、、菊ちゃんところ戻ろう)
あいにく待ち合わせ場所は学校から近かったのでとぼとぼ歩きながら学校に戻ることにした。
(そういば、最近あいつからのメールもないなぁ、昨日なんか音沙汰なかったし、、、前の前の日は生徒会に来いってめっちゃ催促してきたのに、、、)
いよいよ呆れられたのかと思ったフランシスだったが菊が構ってくれるからいいもんね!と強気な態度で教室へ戻った。
そして自分の教室が少しずつ近づいてきた頃、教室に電気がまだ付いているのが見えた。
(ラッキー!菊ちゃんまだ帰ってなかった!)
足早に教室に向かったフランシスだったが、菊の声ともう1人別の人の声がすることに気づいた。
その声は毎日のように聞いて何度も怒鳴ってきた声だった。
フランシスは教室の近くの廊下の影からそっと教室の中を見た。
するとそこには仲睦まじく話す2人の姿があった。
アーサーの顔は見えなかったが、菊の顔はしっかりと見えた、アーサーと話しながらとても楽しそうに笑っている。
そんな菊の様子を見て胸の辺りがズキッといたんだと同時に、若干の焦りを覚えた。
(なんで、、、あいつが菊ちゃんと、、、?)
(それに、すごく楽しそうな、、、あんな菊ちゃんの顔、見たことないんだけど、、、)
下唇をギュッと噛んでその日はそのまま帰った。
次の日の日の放課後は2日ぶりに菊とフランシスは話をした。
するとやはりこんな話をしてきた。
「最近、アーサーさんと仲良くなったんですよ、、、!あの方、とっても面白くて、、、」
そこまで話した時、フランシスは菊の肩をなるべく痛くないようにギュッと掴んだ。
「ふ、フランシスさん、、、?」
「あいつのこと、どう思ってるの、、、?」
思いもよらぬ質問をされ、菊は少し戸惑う。なるべくことを荒立てないようにゆっくりと自分の気持ちを正直に話した。
「あ、アーサーさんは、優しくて、頭も良くて、運動もできて、生徒会長としての仕事もしっかりこなせて素晴らしい人だと思ってます、、、」
「それってさ、アーサーのこと好きって意味も含んでるの、、、?」
怒りのままに菊に何もしないように自分気持ちを落ち着かせるように拳を握り締め、ガタッと席をたった。
「ごめん、変なこと聞いた、、、」
そのまま立ってどこかへ行こうとするフランシスを菊は必死に止めた。
「フランシスさん!そ、そんな気はないです!ただの友達だと思ってるんです!!」
大声でそう叫んだ菊はゆっくりとフランシスに近づく。
「ですから、、、落ち着いてください、、、」
もうどうしようもならない気持ちをぶつけたくてもぶつけられない、胸が張り裂けそうな気持ちをギュッと抑えた。
そして菊の腕をガシッと掴み自分の胸に押し付けるようにギュッと抱きしめた。
好きになっちゃったんだ、きっとそうなんだ。菊ちゃんが言ってたアーサーはただの友達ってもしかしたら嘘かもしれない。
本当はアーサーのことが好きなのかも、だってあの表情は好きな人と話せて嬉しいって顔だから。
俺は今までアーサーの影に埋もれてもなんとも思わなかったよ、2番でもそれなりに楽しかったし、順番なんて関係ないって思ってた。
でもこれだけは譲れない。
「俺は菊ちゃんの1番になりたいんだよ、、、」
この時初めて2番目は嫌だと思った。