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文化祭が近づき、校内は慌ただしかった。レンの写真部は展示の準備で忙しく、コウのバスケ部は試合に向けて練習に追われていた。二人の時間が減る中、レンはコウと過ごす何気ない瞬間がどれだけ大切かを思い知った。 文化祭前日、レンはコウに自分の写真を見せようと決めた。それは、屋上で撮ったコウの横顔だった。夕陽に照らされたコウの表情は、どこか切なく、レンの心そのものだった。
「コウ、これ…見てくれよ」レンは少し震える手で写真を差し出した。
コウは写真を見つめ、息をのんだ。そこには、自分でも気づかなかった柔らかい表情の自分がいた。レンのレンズを通して見る自分は、なぜか特別に感じられた。
「…すげえな、これ。レン、ほんと才能あるよ」コウは笑顔で言ったが、どこかぎこちなかった。
「それだけ?」レンは少し期待していた言葉が聞けず、胸がチクッとした。
その夜、コウはベッドで写真を思い出し、胸が締め付けられた。「なんであんな反応しかできなかったんだ…」コウは自分の気持ちに気づき始めていた。レンの写真には、コウの心が映っている気がした。それが、怖かった。