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この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。絶対に本人様や関係者の方に迷惑をかけないでください。
理解できない方、二次創作や架空パロディが苦手な方は、このままページを閉じるかブラウザバックをお願いします。
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○本作は実在のVtuber様のお名前をお借りした個人の妄想(世界観捏造・設定改変パロディ)です。
○スクリーンショット等の無断転載・SNSへの拡散も厳禁です。
ルールを守って、ひっそりとお楽しみください。
苗字は気にしないでいただけると…🙌🙇🙏
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【第四章 天狐は、悪狐を討て】
「星導ショウ」
神域に、厳かな声が響いた。
ショウは膝をつき、頭を垂れる。
目の前にいるのは、彼を天狐へと導いた神職。そして、その背後には神域の最高位に仕える者たちが並んでいた。
「お前に一つ、命を下す」
「…はい」
「山を荒らし、人を惑わせる悪狐がいる」
ショウの指先が、わずかに動いた。
「黒い尻尾。鋭い目。腰に剣を携えた狐だ」
__やめてください。
喉まで出かかった言葉を、ショウは飲み込んだ。
「その名を、小柳ロウという」
世界から音が消えた。
ショウは顔をあげられなかった。
間違いであってほしかった。
別の狐であってほしかった。
けれど、そんな願いが叶わないことを、誰よりも自分が知っていた。
「お前は、かつて同じ場所で暮らしたことがあるそうだな」
「……」
「情があることは承知している」
神域の声は、どこまでも冷静だった。
「だが、情に流されてはならない。悪狐は討伐されねばならぬ。」
ショウは膝を上で拳を握った。
「…もし」
声が枯れた。
「もし、彼が…悪いことをしているのなら」
「ならば、討て」
「……」
「お前は何のために強くなった?」
その問いに、ショウは答えられなかった。
誰かを守るために。
そのために自分を変えた。
修行を重ねた。
祈りを術に変えた。
そして今。
守るべきものの中にいたはずの相手が、討つべきものとして告げられた。
「…承知、しました」
口から出た言葉は、自分の声とは思えなかった。
「天狐として、命を果たします」
胸元の赤い几帳結びが、ひどく冷たく感じられた。
「なあ、聞いたか?」
町の酒場で、ひとりの男が声を潜めた。
「山にいる悪狐が、とうとう神域の連中に見つけられたらしい」
「悪狐?」
「黒い狐だよ。剣を持ってて、神様の言うことを聞かねえんだと」
ロウは、店の隅で食事をしていた。
聞こえていないふりをした。
「天狐が討伐に来るらしいぞ」
「なんでも、そいつと昔からの因縁があるんだとか」
ロウの手が止まった。
「…天狐、ね」
小さく笑う。
白い衣。
澄んだ声。
少し困ったように笑う顔。
『ちゃんと、話してから行きます』
あの日、ショウはそう言った。
なのに。
「結局、そうなるわけ」
ロウは食事代を置き、立ち上がった。
彼は腰の剣に手を添える。
「来るなら来いよ。」
誰に向けた言葉なのか、自分でもわからなかった。
「ショウ 」
名前を呼んだ瞬間、胸元の赤い紐が風に揺れた。
「今度は、ちゃんと自分で決めろよ」
それだけ呟いて、ロウは山へ戻った。
三日後。
古びた社の前に、白い影が立っていた。
ショウは、かつて自分が暮らした場所を見つめていた。
傾いた鳥居。
欠けた石灯籠。
縁側の木目。
何もかも、記憶のままだった。
ただひとつ。
そこにいるはずの相手を、今度は討つために来た。
「…ロウ」
声に出すと、胸が痛んだ。
社の奥から足音がした。
「…ずいぶん偉くなったじゃん」
聞き慣れた声。
ショウは振り返った。
黒い衣。
鋭く吊り上がった目。
口元に浮かぶ、あの意地の悪い笑み。
そして、腰には剣。
「天狐様が、こんな寂れた場所に何の用?」
ロウはわざとらしく頭を下げた。
ショウは答えられなかった。
「…ロウ」
「なに?」
「俺は…」
「討伐?」
ロウが先に言った。
ショウの顔が強張る。
ロウは笑っていた。
「当たり?」
「……」
「そっか」
ロウは剣の柄に手をかけた。
「じゃあ、仕事しろよ」
「…待って」
「何を?」
「俺は、まだ」
「まだ、何?」
ロウの声が鋭くなる。
「まだ迷ってる?まだ俺を信じたい?まだ昔みたいに戻れると思ってる?」
ショウは何も言えなかった。
「…お前さ」
ロウはゆっくりと剣を抜いた。
刃が夕暮れの光を受けて紅く染まる。
「俺が悪狐だって言われたら、そうなんだろ」
「違います…!」
「何が違うんだよ」
「俺は、ロウが、」
言葉が詰まった。
大切だ。
そう言いたかった。
でも、そんな言葉を今更口にして何になるのだろう。
ロウはショウの胸元を見た。
赤い几帳結び。
自分の剣に巻かれたものと同じ結び。
「その赤、まだつけてんだ」
ショウは思わず胸元を押さえた。
「…ロウだって」
「俺は外すの忘れてただけ」
「…嘘」
「うるせえな」
ロウの笑みが消えた。
「…そういうところ嫌いなんだよ」
ショウは息を呑んだ。
「お前はいつもそうだよ。分かったような顔して、俺のこと分かった気になって」
「…っ」
「俺が何考えてるかお前に何がわかんの?」
ショウは一歩も動けなかった。
かつて隣にいた相手の言葉が刃よりも深く胸に突き刺さった。
「…分かりません」
ようやくそう答えた。
「…もう、分からないんです」
ロウの目がほんの一瞬だけ揺れた。
ショウは続けた。
「だから…知りたかった」
「……」
「もう一度、ちゃんと話したかった」
ロウは何も答えなかった。
ただ、剣を構えた。
「…遅いんだよ」
その言葉だけが二人の間に残った。
先に動いたのはロウだった。
踏み込む足音。
振り下ろされる刃。
ショウは反射的に術を展開した。
白い光が剣を弾く。
乾いた音が境内に響いた。
「…っ」
ショウの腕が痺れる。
ロウは容赦なく間合いを詰めた。
「どうした天狐様!」
2撃目。
3撃目。
ショウは防ぐことしか出来なかった。
「討ちに来たんだろ!」
「ロウ、やめ」
「やめるのはお前だろ!」
刃がショウの頬のすぐそばを通り過ぎた。
「俺を討つって決めたのはお前だろ!」
「俺が決めたんじゃない!」
「ならなんでここにいる!」
ショウは答えられなかった。
神命だった。
拒めば天狐としての立場を失うかもしれない。
それでも。
本当にそれだけだったのか。
神域の命令に従うことで、自分が選んだ道は正しいのだと証明したかったのではないか。
ロウの刃が再び迫る。
ショウは術を放った。
白い光がロウの足元を打ち、彼の動きを一瞬だけ止めた。
その隙にショウは距離を取る。
__攻撃できた。
ロウを止められた。
その事実にショウの手が震えた。
ロウは足元を見てからショウを見た。
「…へえ」
口元が歪む。
「今の、もう一回やってみろよ」
「…できません」
「できるだろ」
「できません、!」
ショウの声が境内に響いた。
「俺には、ロウを…!」
言葉が途切れた。
ロウは静かに剣を下ろした。
「…じゃあ、帰れよ」
「…っ」
「帰って、神様に言えば?」
ロウは笑った。
ひどく冷たい笑みだった。
「悪狐を見逃しましたって」
「……」
ショウは動けなかった。
ロウは剣を構え直す。
「…次は、俺も手加減しねえよ」
夜が近づいていた。
ショウは社の前に立ったまま動けずにいた。
討伐命令はまだ果たされていない。
ロウは剣を構えたままこちらを見ている。
かつて同じ木の実を取り合った相手。
ひとつの毛布を分け合った相手。
帰ってきたら、また一緒に暮らせるかもしれないと思っていた相手。
今、その相手が、自分に刃を向けている。
「…ロウ」
ショウは震える声で名前を呼んだ。
「俺は…どうしたらいいんでしょう」
ロウは答えなかった。
しばらくして低い声で言った。
「…知らねえよ」
その言葉には、怒りも、悲しみも、諦めも混ざっていた。
「自分で決めろよ、ショウ」
ロウは剣の柄に巻かれた赤い紐を見下ろした。
「…今度こそ」
そして、顔を上げる。
「誰かに言われたならじゃなくてさ」
ショウは息を呑んだ。
「お前が、何を選ぶのか」
月が昇る。
白い光がショウの衣を照らす。
黒い影がロウの足元に伸びる。
二人の胸元で同じ赤が揺れていた。
けれど、その赤は二人を近づけなかった。
ただ、かつて同じ場所にいたという事実だけを、残酷なほど鮮やかに思い出させていた。
ショウはゆっくりと手を上げた。
掌に白い光が灯る。
ロウは剣を構えた。
「…来いよ」
ショウの指先が震える。
ロウは笑わなかった。
「…ショウ」
それは、久しぶりに聞く優しい呼び方だった。
だからこそ。
ショウは光を放てなかった。
コメント
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みぅです🥀 第四章、涙が出そうになりながら読みました… 天狐としての立場と、ロウへの想いの間に立たされたショウの苦しさが切なくて。 ロウも全部わかった上で、わざと挑発してるのが痛いほど伝わってきました…。 「自分で決めろよ」って、あの口調で言われたら、どんなに辛いだろう。 でも最後の「ショウ」って優しい呼び方、あれが一番ずるいですよ…刺さりました。 二人の赤い紐が、遠く離れた同じ場所を結んでるみたいで、切なかったです。 次が気になりすぎます…!