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高校三年生のアオは、医師から宣告を受けた。
「余命は10年です」
長いようで、短い――
でもアオはすぐに考えた。
「じゃあ、10年でやりたいことを全部やろう」
アオはまず、親友のリクと話した。
「リク、私、10年で全部やるから」
「え、全部って?」
「楽しいこと、挑戦したいこと、行きたい場所、全部」
リクは笑ったけど、少し寂しそうだった。
1年目。アオは世界地図にピンを刺した。
行ったことのない街、山、海――
行ける場所は全部行った。
3年目。絵本を書いた。
自分の人生の記録みたいなものを、友達や家族に渡すために。
5年目。恋をした。
短いけど、笑顔があふれる時間だった。
そして9年目。
アオは静かにベッドに横たわり、ノートに最後の手紙を書いた。
「もしこの手紙を読んでいるあなたがいたら
私は、幸せな人生を送ったよ
泣いてもいい、笑ってもいい
でも、後悔はないよ
10年で、世界は全部見たわけじゃない
でも、心の中では全部味わった」
10年目の朝。
アオは眠るように目を閉じた。
外では鳥がさえずり、風がやさしく吹いていた。
残されたリクや家族は涙を流す。
でもアオが残したもの――思い出、手紙、笑顔――は
みんなの心で生き続ける。
「10年って、こんなにも濃かったんだね」
リクはつぶやき、空を見上げた。