テラーノベル
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ねぇ、知っていますか?
……ふふ、そんなに警戒しないでください。私はただの通りすがり。
あるいは、あなたのすぐ後ろにいるモノ、かもしれませんけれど。
ねぇ、あなたが毎日、何気なくまたいでいるあの地面の『線』。そう、都道府県の境目――『県境(けんきょう)』のことです。地図の上ではただのインクの線に見えますよね。
でもね、あそこには長い歴史の中で流された血や、土地の怨念、そして奇妙な『怪異』が、泥のようにドロドロと溜まっているのですよ。
例えば……夜の県境を一歩またぐとき、絶対に後ろを振り返ってはいけない、とか。
もし振り返ってしまったら、あなたは二度と、自分の家に帰れなくなります。
ほら、今も耳をすませてみてください。境界線が、バキバキと歪む音が聞こえませんか?ここは本州と四国を繋ぐ、巨大な橋の上。
ねっとりとした濃い霧がすべてを飲み込んで、
あなたのスマートフォンも、さっきからずーっと圏外でしょう?
そんな世界の隙間に、二人の男の子が立っているのが見えます。
一人は、いつもニコニコと完璧なビジネススマイルを崩さない、
だけど決して本心を明かさない、
謎だらけの男の子――『愛知』。
もう一人は、夜の底のような深い藍色の瞳をして、
古い呪術の糸を弄ぶ少年――『徳島』。
「やっと来たな、尾張の主。……いや、今は『愛知』って名乗っとんのやっけ?」
徳島が意地悪に笑います。その瞬間、愛知の綺麗な笑顔が、ピキッと凍りつきました。
彼の胸の奥で、歴史の闇に沈んだはずの『狂気』が目を覚まそうとしているのが、私には手に取るようにわかります。
「僕の名前は愛知だよ、徳島くん。……それ以上僕の過去を詮索するなら、君のその綺麗な青、僕の力で『ゼロ』にして消しちゃうけど、いい?」
おや、これ以上覗き込むのは、ちょっと危険かもしれません。
日本の中心で綺麗に澄ましている愛知と、古い歴史の呪いを隠し持つ徳島。この二人が出会ってしまった歪んだ物語……。
ねぇ、あなたも引き返せなくなる前に、私と一緒に、もっと奥まで覗きにいってみませんか?
コメント
3件
お、これ面白いな。県境って発想がまず新しいわ。普通の怪談ではあまり使わないモチーフだし、「地図の上の線に怨念が溜まってる」って設定の解像度が高い。語り手の「ふふ」って口調も怪異譚っぽくて雰囲気出てるし、愛知の裏に潜む狂気と徳島の古びた呪術感、この対比がもう既にえぐい。 「綺麗な青をゼロにして消す」って台詞、ガチで怖かった。続き読みたいわ🔥