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「ここ……は……?」
目が覚めるとトントンは見知らぬ部屋の見知らぬベッドに寝かされていた。豪奢な天蓋付きのベッドだ。
「な……何や、ここ……?」
どう考えても敵国の幹部に対する扱いとは思えない。
「え……?ここの国の人、バカなん?」
さっきから頭から上手く回らない。どうせなんかの毒でも打たれてるのだろう。取り敢えずベッドから降りてみようと思って足を動かすと、ジャラ……と音がした。自分の足を見てみると、頑丈な鉄枷がはまってる。前言撤回。やっぱコレは捕虜に対する扱いだ。
「にしても、部屋がヤケに豪奢やな……」
其処だけはどうしても納得がいかない。回らない頭で必死に考えていると、部屋の扉が開いた。
「やあやあ、愛しきトントン君。お目覚めかな?」
Q国の外交官が入ってきたのだ。
「あんたなんかに好かれたく無いですわぁ」
トントンにとっては極普通の反応であるが多くの人はコレで意外と引き下がる。しかし目の前のこの男は心底嬉しそうな顔をして、
「ああ!やはり君は素晴らしい逸材だ!正に私の求めていた人物そのものだよ!」
と言った。
(コイツ……頭おかしいとちゃうんか?)
トントンはそう思いながらドン引いていた。
「其処でねトントン君。私は君が欲しくて堪らない!でも君は強固な精神力の持ち主だし君が忠誠を誓うのはW国の総統、グルッペン・フューラーだけだね。だから君が此方に来て貰う為に少しばかり手荒な方法を取らせて貰うね。もちろん君が自分の意思で我らに従うと誓うならば手荒なマネはせずに済むのだが」
その言葉にトントンは若干呆れつつこう答えた。
「あんた俺が何で答えるかわかっとるや無いの。自分の口から言っといて。もちろん俺が忠誠を誓ったのはグルさん一人だけや。お前らの下につく気はない」
その言葉に外交官はうっとりした表情をし、
「じゃあ、申し訳ないけれど、少しばかり手荒な方法を取らせて貰うね」
そう言った。そして外交官が指をパチンッと鳴らすと、白衣を着た男が入って来た。そし て扉の向こう側には幾つもの注射器などが置かれたワゴンまであった。しかしトントンは冷静に
(アレは自白剤とか洗脳剤とかやろうな。グルさんの不利益になる事は口が裂けても言わへんで)
などと考えていた。外交官がニヤリと笑うとトントンは再びドン引きした表情でその顔を見てこう言った。
「それがあんたらの手荒なマネか?その程度他の国では前置きもせずに普通にするで?」
「フフフ……トントン君はコレから自分に何されるか判ってないようだね。さあ、味わって貰おう!Q国の最先端技術を!」
外交官がそう高らかに声を上げると同時に、白衣を着た男がトントンの腕に無理矢理注射器を刺し何らかの薬液を注入していく。
(何をされようとも絶対に口は割らん……)
と其処まで考えた時、トントンの全身をこれまで味わったことのない様な激痛が襲った。体の内側から業火で焼かれる様な痛みだ。
「さあ!コレが我々の国の最先端技術だ!」
「ッ……⁉︎あ”あ”⁉︎い”っ⁉︎」
全身を襲う凄まじい激痛に耐えられず、トントンはそのまま意識を失った。
「さぁて!目覚めた後が楽しみだね!」
そう言うと外交官は白衣の男と連れ立って出て行った。