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トントン救出に向けてW国が立てた作戦はこうだった。
①鬱、ゾムがQ国に紛れ込んで鬱のハッキングでトントンのいる部屋を特定、ロック解除。ゾムの隠密でトントンを救出。
②鬱、ゾム、トントンの脱出を確認後、総攻撃。外交官、白衣の奴は生捕りにし、エーミールが拷問。その他は皆殺し。国ごと破壊。
と言う至って、シンプル且つ残虐な作戦だった。
「さぁ諸君、戦争を始めよう」
『ハイル・グルッペン!』
戦争は順調に進んだ。鬱とゾムはものの簡単にQ国の人間になりすまし、内部へ潜入した。
「大先生、どうや?」
「ここのセキュリティガバガバすぎるやろ」
「そんなに?www」
「もう最終防壁破ってる。後数分で行ける筈だから、そしたらもう調べるだけだよ」
「はえー、大先生こう言う時、ぐう有能やもんなー」
サラッとそんな事を言ったゾムに鬱が視線をチラッと向け、
「『こう言う時』?」
と言った。それにゾムは涼しい笑顔を向けて笑い、
「間違いちゃうやろ?」
と言った。
____数分後____
「よしっ、破れた!さーて、トンちが監禁されてるのは何処かなー?」
「大先生、早よせい!今この瞬間にもトントンは苦しんどるのかも知れんのやぞ!」
軽いノリで探し始めた鬱にゾムが若干キレつつツッコミを入れた。
「……ッ」
「どしたん?大先生」
僅かに息を詰まらせた鬱にゾムが尋ねる。すると、鬱は微かに震えつつ声を絞り出した。
「……な……無い……!」
「はぁ?嘘やろ?ちゃんと探せや!」
「ほ……本当にないんだって……!」
振り向いた鬱の顔は蒼白だった。
「そんなに疑うなら……ゾムも調べて見たら?」
「お、おん……」
ゾムは鬱からパソコンを受け取り一つ一つ丁寧に調べて行く。
「ホンマや……あらへん……」
「そやろ……?」
二人は顔を見合わせて、なんとも言えない顔をしていた。
「と、取り敢えずグルちゃんに報告しよ」
ピピッピピッ
「なんだ?報告か?」
ピッ
『ぐ、グルちゃん!おかしい!トンちの居場所データの中入ってない……!』
告げられた内容は信じ難いものだった。見落としがあるかと思ったが、鬱のハッキングの腕はどんな国のサイバー攻撃も返り討ちにし、情報を抜き取ってきた程のものだ。
「判った……一旦撤退せよ。もう容赦はしない。総攻撃だ。」
『ハイル・グルッペン』
「ゾムさん、撤退だよ。荷物とか無いから、早々に逃げよう」
「おん」
そう言うと鬱とゾムはそそくさと撤退した。