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こさめが、興味本位に悪戯っぽく尋ねた。
「ねぇすち、みことってどうやって蕩けちゃったの? ちょっと見せてよ~」
その場の空気がふっと緩む。ひまなつも横で「気になる」と頷くし、らんといるまも無言ながら耳を傾けていた。
すちは少し考えるように目を伏せた後、ふっと笑って、隣にいたみことを優しく引き寄せた。
「じゃあ、ちょっとだけね」
「えっ……?」
不意の抱き寄せに、みことがきょとんとした顔をしてすちを見上げる。
その瞳の不安と戸惑いをすちは優しく見つめ、手のひらでみことの頬に触れると、ゆっくりと唇を重ねた。
一瞬、空気が止まる。
みことの目がわずかに見開かれたまま、すちの唇を受け入れ、次第にまぶたを伏せていく。
すちは深く、ゆっくりと、愛おしさを込めるようにキスを重ねていく。舌先が優しく絡まり、みことの喉から小さな吐息が漏れる。
「……っん……」
長く、甘く。
唇が離れる頃には、みことの身体から力が抜け、すちは自然にその身体を支えていた。
とろんとした瞳。
ほんのり紅く染まった頬。
すちを見つめながら、みことはぼんやりとしていた。
「……こんな感じ」
そう言って、すちは軽く微笑む。
こさめとひまなつの口がぽかんと開いたまま。しばらくして、そろって「蕩けてるじゃん……」と呟いた。
俺はみことの額にキスを落とす。
「ごめんね、人前で。でも、俺の大事な子って言いたくなった」
みことはすちの胸に顔を埋めながら、小さく呟く。
「……すちずるい……」
すちの心の奥が、じんわりと甘くなった。
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すちside
こさめちゃんの何気ない一言が耳に入った。
「ねぇすち、みことってどうやって蕩けちゃったの? ちょっと見せてよ~」
その瞬間、周囲の空気がわずかに動くのを感じた。ひまちゃんは興味深げに、らんらんといるまちゃんもそれとなく耳を傾けている。
みことを見ると、きょとんとした目でこさめを見つめていて、まさか自分の話になると思っていなかったんだろう。小動物みたいな表情に、ふと胸が疼く。
──その顔、俺だけのものにしたい。
「じゃあ、ちょっとだけね」
みことが「え……?」と首を傾げた、その一瞬。俺は迷いなく、彼の腰に腕を回し、自分の胸元へと引き寄せた。
その動作だけで、みことの頬が赤く染まる。
「ちょっと、ごめんね」
そう囁いて、唇を重ねた。
最初はそっと。軽く、触れるだけ。けれど、すぐにみことの唇がふるふると震え、柔らかく開く。
「ん……っ」
俺の舌が、彼の内側をゆっくりと、遠慮なくなぞる。みことはびくりと震え、指が俺の服をぎゅっと掴んだ。
その反応があまりに可愛くて、息が漏れる。
もっと触れたい。もっと感じてほしい。
ただの見せつけじゃない。これは、俺のものだと刻むキスだ。
舌を絡めるたびに、みことの声が小さく漏れる。
「ふ、ぁ……すち……」
唇を離すと、彼の目は潤み、熱っぽくとろんとしていた。頬は真っ赤で、吐息は乱れていて──
完璧に蕩けてる。
片腕で抱き支えながら、みんなに向けて軽く言う。
「……こんな感じ」
こさめとひまなつの口がぽかんと開いたまま。しばらくして、そろって「蕩けてるじゃん……」と呟いた。
俺はみことの額にキスを落とす。
「ごめんね、人前で。でも、俺の大事な子って言いたくなった」
みことは俺の胸に顔を埋めながら、小さく呟く。
「……すちずるい……」
俺の心の奥が、じんわりと甘くなる。
──この先も、何度でも蕩けさせたい。
そのたびに、もっともっとみことを知りたくなる。
___
みことside
こさめちゃんの言葉に、瞬きした。
え? 蕩けたって、え……?
頬がじんわりと熱くなる。自分のことを話されてるのに、身体がうまく動かない。なっちゃんも、いるまくんも、らんらんも、みんなが少し笑ってる。からかう感じじゃなくて、あたたかい空気ではあるけど、それでも恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
「じゃあ、ちょっとだけね」
すちの低い声が耳に落ちてきた瞬間、心臓が跳ねた。
「え……すち……?」
名前を呼ぶ暇もなく、腰にそっと回された腕。優しくて、でもしっかりとした力で引き寄せられた。すちの胸元に触れる距離。視線が合った。その目に映る自分が、どうしようもなく愛おしそうで──
「ちょっと、ごめんね」
その囁きが唇に重なる。
ん……っ。
すちの唇は、あたたかくて、柔らかくて、最初はただ触れるだけだったのに、すぐにそっと開かれる俺の口。そこに、すちの舌が入り込んでくる。
「んっ、ふ……ぁ……」
だめ、声が、漏れちゃう──そう思ってるのに、すちの動きは緩やかで、優しくて、なのに芯があって、全部が俺を崩していく。
舌と舌が絡んで、奥まで触れられるたびに、身体がびくっと震えた。
すちの匂い。手の温もり。唇の動き。どれもが心地よくて、息が苦しくなっていくのに、それさえも愛しい。
はなして、って思うのに、離れたくない。
「ん……ふ、ぅ、すち……」
ぼんやりとした頭で、名前だけが零れた。
数分がどれだけ長かったのか、短かったのかわからない。唇がやっと離れたころには、身体に力が入らなくなっていて、ふらりと倒れそうになったのを、すちの腕が支えてくれた。
「……こんな感じ」
すちがそう言ったとき、俺はすちの胸元に顔を埋めた。
もう……顔を上げられない。きっとすごく赤い。恥ずかしい。でも……幸せだった。
「ごめんね、人前で。でも、俺の大事な子って言いたくなった」
その言葉に、心の奥がキュッと鳴った。
「……すちずるい……」
言葉を搾り出すように呟いたとき、すちの手が髪を優しく撫でた。恥ずかしさも戸惑いも、ぜんぶ包み込むようなぬくもりだった。
──あぁ、俺って、すちがほんとうに好きなんだな。
そう、心の底から思った。
___
こさめside
(……え、ほんとにやるの?)
すちが「ちょっとだけね」って言った瞬間、冗談かと思った。けど、目の前でみこちゃんの腰に手を回して、優しく引き寄せて──まさかほんとにキスするなんて。
それも、めちゃくちゃ深いやつ。
「……っ、わ……」
言葉が出なかった。みことの顔、すっごく赤くなってて、目が潤んでて、もうこれは……“蕩けた”ってやつじゃん……。
内心めちゃくちゃドキドキしていた。
(やば……らんくんとしたら俺もこうなっちゃうのかな……)
なんて、考えてしまって更に顔が熱くなった。
ひまなつside
(……すち、容赦なさすぎる)
完全に理性崩してるじゃん、っていうかみことのあんな顔、初めて見た。とろんってしてて、力抜けてて、なのにちゃんと受け入れてる感じ。
思わず、
「……蕩けてるじゃん」
って呟いてた。
それにしても──こさめの顔、絶対赤いし、らんの方見れないのバレバレ。みことを見ながら、自分も重ねてしまう。いるまも、ああなるんだろうか……。
(……見てみたい。いるまが理性崩すとこ)
いるまside
「……まじかよ」
言葉に出てた。すち、落ち着いた奴だと思ってたのに、めっちゃ情熱的じゃん。
それに、あの天然なみことが、あそこまで蕩けるとは。知らなかった。
(……なつも、あんな顔するのかな)
頭に浮かんだイメージだけで胸がざわついた。今まで理性で抑えてたけど、ちょっと──いや、かなり危うい。
すちのこと、ちょっと見直した。というか、みことのこと大切にしてんだなって、よく分かった。
らんside
(……まじでやりやがった)
こさめが「どうやって蕩けさせたの」って聞いたときは、まあそれなりの説明だろって思った。でも、実演は予想外だった。
しかも、キスの仕方がやばい。優しいのに深くて、独占欲まじりで。
「……すち、あんな顔すんのな」
思わず零れた言葉は、嫉妬でも感心でもなく、ただの本音だった。
ふと、こさめの方を見ると、目を見開いて、顔が真っ赤だった。俺は軽く笑った。
(……俺もそろそろ、我慢やめよっかな)