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みえりな@多忙の為あまり居ない
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仕事に向かう準備を整え、マネージャーからの連絡を待つ間、吉田は日課のSNSのチェックを行っていた。ソファに座りながらメンションやハッシュタグ、トレンドなどを見ながら指を一定のリズムでスクロールさせていると、ある投稿が目に止まった。
それは佐野のファンらしき者の文だけの投稿だった。いつもならスルーする内容だがなぜだが今日は気になって読んでしまった。
『佐野くんって今共演してる女優さんめっちゃタイプそう。雑誌とかYouTubeとかで話してたタイプの女性まんまって感じする。メイキングとか見てる感じめちゃくちゃ仲良さそうだしもしかしたら裏で付き合ってたり……??』
いつもなら馬鹿なこと言ってんなと一蹴してすぐにスクロールするような投稿だった。だけど吉田はその投稿から目が離せなくなっていた。どこから生まれたか分からない胸騒ぎがする。そんなことあるわけない、勇斗が俺以外を好きになるなんて有り得ない。そう思いたいのに。何故か思えない。妙な違和感が心を蝕んでいく。
その短い文を時間をかけてゆっくりともう一度読み直しているとスマホの上部分にシュッと通知が降りてきた。マネージャーからの到着の連絡だった。吉田はスマホの電源を落とし、カバンを持ち上げると部屋の電気を消して上着を着た。さっきの違和感ごと飲みこむように残っている冷めきったコーヒーを一気に胃に流し込むと玄関を出て鍵をかける。カチャッと無機質な音を立てた玄関は急ぐ吉田の背中を冷たく見守っていた。
マネージャーの運転する車の中でさっき見た投稿を思い出す。
『佐野くんの女性のタイプまんま』
確かにそうだ。今まで佐野が何度も何度も答えてきた「好きなタイプの女性の特徴は?」見た目も性格も考え方も、その女優は驚くほどに一致していた。
だからああいう投稿が上がってもおかしくない。今までもファンの勝手な憶測であの女優と付き合ってるんじゃないか、内緒で会ってるんじゃないかと噂を立てられてきた。週刊誌に乗ることは無かったが、やっぱりそういう話はSNSを見てると嫌でも入ってくる。
朝から考えすぎてオーバーヒートしそうな頭を冷やすために冷たい窓ガラスに額を押し付ける。ゴンッという鈍い音にマネージャーは少し驚いてルームミラーでちらっと吉田を確認したが、目は開いてるし特に顔色も悪くはなさそうだったためスルーした。
しばらくそのまま冷やしているとだんだん冷たすぎて頭痛がしてきたため大人しく座り直す。朝から何やっているんだ俺は、と一旦冷静になるために深呼吸をするとスマホが1回、ブーっとポケットの中で震えた。
山中からのLINEだった。
「じんちゃんもうつく?」
「あと五分くらい」
「わかった。」
なんでそんなことを聞いてきたのか吉田には分からなかったがあと少しで本人に直接会えるためそれ以上連絡するのはやめた。
マネージャーが事務所の前に車を止める。車のスライドドアを開けると冷気が一気に流れ込んでくる。コートのポケットに手を突っ込んでなるべく体を縮こませ、外気に触れる体の表面積を小さくさせ、足早に事務所に入る。
事務所の中は空調が効きまくっていて、しっかりと前を閉めたコートは楽屋に向かうまでに暑く感じるほどだった。
M!LKと書かれた札が貼ってある楽屋に入ると中はなんとも言えない重い空気だった。普段から周りの様子をよく見ていて、常にアンテナを貼っている吉田はその違和感にすぐに気付いた。その雰囲気の中に自分の恋人がいないこともすぐに気付いた。
「……おはよ。」
「あ、あぁ、じんちゃんおはよ。」
ドアを開けたのに誰も気付かなかったのか少し驚いた様子で3人が吉田の方を見る。いちばん冷静そうに見える山中が挨拶を返す。塩﨑と曽野はなにか考え込んでいるのかどちらとも腕を組みソファの背もたれに背を預けずに前のめりに座っている。
一体なんなんだこの空気。
吉田はそう思っても聞き出せるような空気でもなかった。それも気になるが、時間的にいてもおかしくない自分の恋人──佐野がいないことに違和感を覚えた。この空気を変えて欲しい。いつもの頼れる最年長の熱い言葉で。そう願ったが本人はなかなか現れなかった。
コメント
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うおおお第2話もめっちゃ良かった……!!😭💕 楽屋の重い空気、吉田くんの違和感がじんわり伝わってきて、読んでてこっちまで息苦しくなったよ……。佐野くんがいないことの不安、そして山中くんとのLINEの短いやりとりも気になるし、このモヤモヤした感じがめっちゃリアルでエモい……! SNSの投稿の話も含めて、「考えすぎ?」ってタイトルがすごく刺さる回だった……次の展開早く読みたい!!🔥