宮舘はバラエティー番組に出るようになってから面白味が増した。
本人は真面目にやってるかもしれないが、見てる方は面白い。
渡辺もその1人だ。
渡辺ーだてさま、おもろ・・。
テレビを見ながらポツリと呟く。
グループにはもっと面白い人たちがいるからか、9人の中では目立たない。
渡辺は、それが少し残念に思う。
大人ぶって、「だてさま」って呼ばれて、キャラと実際の宮舘とかけ離れている。
もっと明るくて楽しい人なのに、すました顔してきらきらしてて。
付き合い難くなってしまった。
宮舘は「翔太」と呼ぶけれど、渡辺は簡単に「涼太」と呼べなくなった。
幼稚園から一緒の幼馴染みなのに。
こんなの嫌だと渡辺は思っている。
宮舘は、キャラではあるが、今のところ不自由はない。
だが、幼馴染みの渡辺にまで「だてさま」と呼ばれて少し嫌だと感じる。
「涼太」と呼んで欲しいと思っている。
練習日。
渡辺の2人隣りに宮舘がいる。
今日は調子悪く、何度も振りを間違える。
皆んなが踊っている中、立ち止まってしまった。
岩本が見る。
ごめんと手をあげ、踊り始める。
岩本ー翔太!調子悪いか?
渡辺ーん〜ちょっと。
岩本ー休んでるか?
渡辺ー大丈夫。
宮舘ー翔太、休め。
渡辺ーだてさま、大丈夫。
宮舘ー熱ないか?
渡辺ーちょっとある。
宮舘ー照、休ませて?
岩本ー翔太、椅子に座ってろ。
渡辺ー悪い。ごめん。
冷たい水を飲んで「ふーっ」と息を吐く。
1番仲良いだろう目黒がこっちを見た。
手をあげて応える。
そのまま、最後まで渡辺は見学していた。
終わって目黒がやって来た。
目黒ー翔太くん、大丈夫?
渡辺ーん、ちょっとだけ熱ある。
目黒ー早く着替えて帰らなきゃ。
渡辺ーん。
立ち上がった時、ふらっとした。
目黒が抱き止めてくれた。
礼を言って2人で控え室に向かう。