ーばかにするな!ー
「間違えた…」
イブラヒムの顔が、恥ずかしさで真っ赤になる。エクスはそれが可愛らしく思えて、少しからかってみる。
「そうかぁ。かの有名な『イブラヒム』だからなぁ、俺に名前は教えてくれないか。」
「う、うるさい!!ばかにするな!ちゃんと”様”をつけろ!」
イブラヒムは大きな目でエクスを睨むも、まだ顔は赤い。
エクスは、それが可愛くて、おかしくて、少し笑いながら答える。
「アハハッ…はいはい、イブラヒム様。」
それからお互いにいくつか質問をし、最後にエクスがなぜここに来たのか話すことになった。
「実は自分で言うのも気恥ずかしいけど、俺はかつては英雄と呼ばれていたんです。でも、ある出来事に巻き込まれて国を追い出される羽目になってしまって。行くあてもなく、ただただ彷徨い続け、砂漠の真ん中で倒れたところをイブラヒム様に助けられたのです。」
エクスが話し合えると、イブラヒムは申し訳なさそうな表情をしていた。
「すまない…辛い過去のことなど、話したくもなかっただろう。」
「いえいえ、大丈夫です。むしろすっきりしました。お世話になってばかりですみません。もう具合も良くなってきたので…」
そう言ってエクスが立ちあがろうとすると、考え込んでいたイブラヒムが何やら焦って止めに入った。
「ま、待て!もう少し…ここにいてもよい。
何なら、私の…付き人になっても…よい…。」
恥ずかしそうに下を向きながら服の裾を掴むイブラヒムの言葉に、エクスは動揺を隠せなかった。
「…え?!」
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続き待ってます(*^^*)