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ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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研究施設・第七実験区画。
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警報が鳴り響いていた。
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赤い光。
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黒い煙。
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崩壊し始めた天井。
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「出口まであと三百メートル!」
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Guestが叫ぶ。
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「急げ!」
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デイジーを支えながら走るシャーロット。
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その後ろをエリオットが援護する。
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アサルトライフルが火を吹く。
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迫るルナティックが次々と倒れていく。
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だが。
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多すぎた。
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施設そのものが巣になっている。
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壁から。
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床から。
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天井から。
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無数の触手が伸びてくる。
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「右!」
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ピザガイの声。
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エリオットが振り向く。
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撃つ。
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吹き飛ぶ。
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また現れる。
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終わりがない。
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その時だった。
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「デイジーさん!」
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一本の触手が。
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デイジーへ向かっていた。
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異常な速度。
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間に合わない。
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シャーロットの顔から血の気が引く。
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Guestが叫ぶ。
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そして。
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エリオットが動いた。
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考えるより先に。
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身体が。
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飛び出していた。
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デイジーを突き飛ばす。
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次の瞬間。
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触手が首へ巻き付いた。
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「エリオット!」
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シャーロットの悲鳴。
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強烈な衝撃。
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エリオットの身体が宙へ浮く。
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呼吸が止まる。
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首が締め上げられる。
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ライフルが床へ落ちる。
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視界が揺れる。
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遠くなる。
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まずい。
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本能が警鐘を鳴らす。
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本当に。
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死ぬ。
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その瞬間。
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何かが切れた。
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「……離せ」
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低い声。
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誰も聞いたことがないほど低い声だった。
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ピザガイだった。
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黒い瞳から感情が消えている。
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いや。
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違う。
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感情しか残っていない。
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怒り。
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それだけだ。
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彼は走った。
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銃を使わない。
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ショットガンも使わない。
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素手だった。
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化け物へ飛び掛かる。
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そして。
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触手を掴む。
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ミシッ。
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異様な音。
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筋肉が軋む。
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人間とは思えない力。
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「離せ」
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もう一度。
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そして。
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引き裂いた。
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肉が裂ける。
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黒い液体が飛び散る。
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ルナティックが絶叫する。
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だが。
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ピザガイは止まらない。
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二本目。
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三本目。
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四本目。
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全て引き千切る。
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化け物そのものを叩き潰す。
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原形がなくなるまで。
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怒りのままに。
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やがて。
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静かになる。
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エリオットが床へ落ちた。
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激しく咳き込む。
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酸素を求めるように。
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「ごほっ……!」
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肺が痛い。
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首も痛い。
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だが生きている。
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その前に。
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ピザガイが膝をついた。
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「……」
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何も言わない。
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ただ。
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エリオットの首を見る。
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そこには赤黒い痕が残っていた。
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触手の跡。
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あと少し遅ければ。
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取り返しがつかなかった証。
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ピザガイの拳が震える。
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怒りだった。
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自分に対する。
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守れなかったことへの怒り。
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エリオットはそれに気付く。
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だから。
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笑った。
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苦しそうに。
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いつものように。
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「大丈夫だよ」
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嘘だった。
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全然大丈夫じゃない。
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だが。
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ピザガイはそれを知っている。
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だから余計に腹が立つ。
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「馬鹿」
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ぽつりと呟く。
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エリオットが笑う。
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「よく言われる」
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「知ってる」
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短い沈黙。
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周囲ではまだ戦闘が続いている。
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Guestが怒鳴っている。
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シャーロットもデイジーを支えている。
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だが。
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その一瞬だけ。
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二人の世界になった。
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ピザガイは震える指を伸ばす。
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エリオットの首へ触れる。
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優しく。
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壊れ物みたいに。
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軍隊時代なら。
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こんなことはなかった。
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誰かを失っても。
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前へ進むだけだった。
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感情を殺して。
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忘れて。
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生き残るだけだった。
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だが。
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今は違う。
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エリオットがいる。
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失いたくない人がいる。
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それを認めてしまった。
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ずっと前に。
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ピザガイは額を寄せる。
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そして。
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首の傷跡へ。
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そっと唇を落とした。
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触れるだけの。
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不器用なキス。
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もう一度。
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そしてもう一度。
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まるで。
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そこに残った恐怖を消したいみたいに。
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エリオットは目を閉じる。
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温かかった。
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触手の冷たさとは正反対に。
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生きている温もりだった。
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「……ピザガイ」
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小さく名前を呼ぶ。
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すると。
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銀髪の男は珍しく視線を逸らした。
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少しだけ耳が赤い。
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「帰ったら説教だ」
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「それは嫌だなあ」
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「二時間」
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「長い」
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「三時間にする」
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「理不尽だ」
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思わず笑う。
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二人とも。
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その笑い声を聞いて。
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少し離れた場所で。
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Guestは肩を竦めた。
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「本当に変わったな」
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かつての英雄はもういない。
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そこにいるのは。
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誰かを守るために怒り。
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誰かを失いかけて震え。
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そして不器用な優しさを覚えた。
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一人のピザ屋だった。
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