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試合終了後、担いでいたバードマンの遺体を露理葉さんに”格安”で引き渡し、控室に戻ると、
「おいおい、小野麗尾君よぉ、あれは一体どういう事だってばよ」
「チンピラと化した十文字君ではありませんが、ぜひとも聞いておきたいですねぇ。貴方、今までドワーフもキラービーも使っていませんでしたよね!?」
「あんな砦とかアタシも見た事無かったし、マモルッチってばアタシにもずっと隠してたの?」
「一つずつ答えるけど、アレが今回の大会でか弱いサマナーが生き残る為の文字通り最初にして最後の砦ってやつさ。用意できたのは本戦の直前だったけど。
ドワーフとキラービーに関しては隠していたわけじゃなくて、手に入ったのが予選の直後だっただけ。
露理葉さんは何目線の発言?」
「さっきバドちゃんの遺体と引換に連絡先を交換した知り合い目線。キョーハクシャヲミルヒガイシャ目線の方が良かった?」
全然宜しくない。あれは唯の取引であり、後ろ暗い所はナニモナカッタ、イイネ?
「予選の直後って事はどこかで買ったんですか?」
「そんな金があればこの大会に参加はしていないよ。本戦前の調整代わりにEランクダンジョンに潜ったら手に入っただけ」
そう、大変不幸な事に手に入ってしまったんだ……(漢泣
あれはそう、ダンジョンボスのドワーフとキラービーのアンハッピーセットを討伐した直後の事だ。
ヤツラの遺体が闇に包まれて弾けるように分解されてダンジョンに吸収されたら、後に黄色の光の球が浮いていたんだ。
モンスターソウル。
モンスターカードの元になるソレを見た時、魂の底から湧き上がる衝動と共に俺は力強く叫んだ。
「チェンジ!!!!!」
これはダメダ。
「チェンジだ!!!!!」
これは許されない。
「チェンジを要求する!!!!!」
初めての自力ゲットのモンスターがモン娘ですら無いヒゲジジイと蟲とか許されませんよ、クォレワ……!?
「ちょっと、アンタ何やってるのよ!」
エインセルが言うのも最も何だが。
「嫌だ」
「ハァ?」
「嫌だ!ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ、コンナノイヤダァイ!?」
十数年の時を経て封印は解けられた。
そう、床に寝っ転がり手足をジタバタさせ世の中の不条理に逆らう反逆者の舞が!!!!!
「ほら、みっともない事してるとソウルが消えちゃうわよ?」
「何!?消えるのか!?」
「ほら、アレ」
確かにソウルがさっきよりも薄く……
「ひょっとして抽選が始まったとかじゃなくて?」
「ガチャ脳乙。何か演出があるわけでもないし、変わってもノーマルじゃないの?」
「いや、俺達が虹演出を見逃しただけかも……」
「虹演出って何よ。ヒゲオヤジと蜂が虹に包まれるとどうなるっていうのよ?」
「そこはほら、褐色肌でドワーフ秘伝の技術(意味深)を身に着けたドエロイお、ヌェ(↑)さんになったり、蜂娘に変化したり……」
「ホント、救いようの無いゴシュジンサマねぇ。こ~んなに可愛いエインセルちゃんがいて、他の娘も欲しがるとか、これだから童貞は……」
「お、俺はど、どどどど童貞だが、確かに正真正銘のまごうことなき童貞だが!!!」
「あ、それは肯定するんだ」
「むしろ否定するもんじゃないだろ!世の中童貞じゃなければ偉いってわけじゃないんだぞ!この年でまだ童貞であることはむしろ誇っていてもいいはずだ!?」
「ふ~ん。じゃあ、ずっと童貞でいいんじゃない?どうせ相手してくれる女もいないんだし」
「それは断る!!!小野麗尾家が絶えるし、神に忠誠を誓ったわけでもないから生涯童貞を貫く気は無い!まったく無い!!!」
「あっそ。所でソウルはいいの?」
色々と文句はあるが、記念すべき(泣 初カードなのは間違いない。泣く泣く道具入れのポシェットホルダーから空のソウルカードを取り出し、ソウルの下に設置する。
少ししてカードにソウルが吸い込まれていき、吸い込みが終わった後には、火事場で鉄を打つヒゲオヤジとどこかの森を飛んでいるっぽい蜂の絵柄のカードに変化していた。
こうして俺の初めてのカード入手は終わったのだった。
泣きたい。泣く。泣いた。