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ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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その日。
スペクターは朝から領域会議だった。
つまり。
屋敷にいない。
たったそれだけの話である。
普通なら。
だが普通じゃない奴が一人いた。
ノスフェラトゥである。
朝。
スペクターを見送った五分後。
ノスフェラトゥは廊下に立っていた。
静かに。
本当に静かに。
そして。
壁を見た。
壁。
広い。
真っ黒。
何もない。
ノスフェラトゥは眉をひそめた。
「……寂しいな」
危険な発言である。
非常に危険な発言である。
だが本人は気づいていない。
気づいていないまま。
筆を持った。
二時間後。
アズールが廊下へやってくる。
そして止まる。
「は?」
壁一面。
金色。
巨大。
どこを見ても。
🜍
🜍
🜍
🜍
🜍
「何これ」
ノスフェラトゥが振り向く。
目がキラキラしている。
嫌な予感しかしない。
「美しいだろう」
「怖い」
即答だった。
「主様のシンボルだ」
「知ってる」
「心が落ち着く」
「病院行こう」
ノスフェラトゥは聞いていない。
もう完全に聞いていない。
オタクモードである。
推し語りモードである。
止まらない。
「ここから見ると角度が完璧なんだ」
「へぇ」
「主様の帽子のシルエットを連想させる」
「へぇ」
「主様の美しさを表現した」
「へぇ」
「ちなみに三十二枚描いた」
「描きすぎだろ」
アズールは頭を抱えた。
まだ午前中である。
嫌な予感しかしない。
そして予感は当たった。
昼。
食堂。
ホスフォラス絶叫。
「なんでオムライスにもあるの!?」
ケチャップで描かれた巨大🜍。
さらに。
スープにも🜍。
パンにも🜍。
サラダにも🜍。
なんならプリンにも🜍。
「主様セットだ」
「いらないよ!!」
「栄養価も高い」
「問題そこじゃない!!」
ノスフェラトゥは真面目だった。
恐ろしいほど真面目だった。
一切ふざけていない。
それが一番怖い。
午後。
被害拡大。
ドアノブ。
🜍
カーテン。
🜍
絨毯。
🜍
花壇。
🜍
低木。
🜍
噴水。
🜍
気づけば屋敷全体が、
スペクター記念館になっていた。
アズールが言う。
「もう駄目だ」
ホスフォラスが言う。
「スペクター様帰ってきたら怒るかな」
「怒ってほしい」
「ボクも」
二人は切実だった。
本当に切実だった。
夕方。
玄関が開く。
スペクター帰宅。
アズールとホスフォラスが飛び出す。
「スペクター様!!」
「助けて!!」
「大変なんだ!!」
スペクターは首を傾げる。
そして。
周囲を見る。
沈黙。
さらに見る。
沈黙。
さらに見る。
沈黙。
屋敷中。
どこを見ても自分のマーク。
完全に自分テーマパーク。
さすがのスペクターも数秒固まった。
「……増えたね」
それしか言えなかった。
その瞬間。
玄関ホールへ滑り込んでくる影。
ズザァァァァァ!!
ノスフェラトゥである。
「お帰りなさいませ主様!!」
完璧な正座。
完璧な角度。
完璧な笑顔。
どう見ても待機していた。
絶対玄関で待ってた。
アズールが叫ぶ。
「怒ってください!!」
ホスフォラスも叫ぶ。
「本当に怒って!!」
スペクターは周囲を見回す。
壁。
天井。
床。
家具。
庭。
全部。
🜍。
完全制覇。
そして。
ノスフェラトゥを見る。
期待に満ちた目。
褒められ待ちの顔。
犬である。
完全に犬である。
スペクターは耐えた。
三秒耐えた。
五秒耐えた。
八秒耐えた。
限界だった。
吹き出した。
「ふふっ」
アズール
「あっ」
ホスフォラス
「あっ」
終わった。
これは怒らない顔だ。
完全に喜んでる。
スペクターはノスフェラトゥの頭を撫でる。
「一日で?」
「はい!!」
「全部?」
「はい!!」
「頑張ったね」
「はい!!」
犬である。
もう完全に犬である。
ノスフェラトゥの尻尾が見える。
実際には無い。
でも見える。
幻覚レベルで見える。
ブンブン振っている。
アズールは遠い目になった。
「駄目だ」
ホスフォラスも頷く。
「スペクター様も喜んでる」
「共犯だった」
「共犯だったね」
その夜。
屋敷から🜍が撤去されることはなかった。
むしろ翌日。
スペクター本人が
「ここの配置は結構好きかもしれない」
と言ったせいで、
ノスフェラトゥがさらに百枚追加したという。
アズールは頭を抱えた。
ホスフォラスは外食を決意した。
そしてノスフェラトゥは。
「主様公認」
という最強の称号を手に入れ、
さらに手がつけられなくなったのである。
コメント
5件
そのマークってなんて言うんですか!? あとノススペクター様に依存しすぎてるwwwww