テラーノベル
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自分の声に驚いて、私はキョロキョロと後ろを見る。
「安西は処分が決まるまで自宅待機ですから、ここにはおりません」
「処分?」
「はい、お客様のいかなる情報も外部へ漏らしてはいけない、という規則に反していますから。ましてや…」
支配人が言葉を止めて、ゆっくり過ぎる瞬きをした。
ゆっくり過ぎて、目を閉じたのかと思うような瞬き。
それを二度繰り返したあと
「ましてや、情報を売るなど…前代未聞の不祥事です」
と言って、深く頭を下げた。
「……売るにしても、安西さんと叔母たちの接点があるとは思えません」
――売る、ってことは、叔母たちはお金を出したのね
「接点はなかったのですが…発覚した経緯も含めて、お伝えいたします」
支配人の話は、私に想像できるはずのものではなかった。
発覚したのは、今朝。
敬が私をエントランスロビーで待っていた、というあの前。
エントランスロビーの隅で、敬が安西に茶封筒を渡した。
それを見ていたのは、ラウンジカフェの店員。
敬が私へ接触することに注意を払うように言われていたが、安西と接触。
二人のコソコソした雰囲気の違和感から、店員はすぐに支配人へ報告。
支配人は安西を呼び出して、事情を聞いた。
ポケットにある茶封筒の存在までバレていたので、安西が自白。
「安西は、スイートルームにご滞在の一ノ瀬様が多額の寄付をされることをビジネスセンターで知ったと言っていました」
「あ……」
――コピー機に残った紙を取ってくれた時、見たんだ
「一ノ瀬様のご住所も、スタッフが見ようと思えば見ることが出来ます…本当にあるまじき行為で、考えられない、あり得ないことなのですが…安西は一ノ瀬様を調べようとした」
「……お金のでどころとか、気になったという感じですかね?家まで行った?」
「おっしゃる通りでございます」
コメント
4件
安西…ただの金欲しさからかで、初めからそのためにホテルに就職したかもね。 今回が初犯じゃないような気もする。 そうだよあの時安西がコピー取りに行った! でも家まで行くって…、どんだけ欲しかったんだ?そこであの親子と会ったのか。 自宅待機と言ってもオマケと連絡取り合って何かしら動いてそう。侮っちゃダメだ! とにかくラウンジカフェの店員さんよく気付いてすぐ動いてくれたよ🙏 菊ちゃんはこのままここのホテルにいる?茶封筒のお金も回収されてるのかな?
アイツか〰️目先の小金に惑わされてお客様を売るなんて💢犯罪だよ!警察沙汰だよ!!クビだね💢 とりあえず理由がわかったから安心して永美ちゃんと会おう!!

一流ホテルだと思ってたのに、従業員はプライドもない最低な人だったんだ。でもそれを見抜けないホテルの入社面接担当者がひどいんじゃない。そして個人情報をお金に換えた人を『謹慎』で済ませるなんて信じられない。