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4話「余命」
今日は診察の日だ。
いつもなら診察をしたら家に帰るのだが、今日は主治医に引き止められた。
何か問題でもあったんやろか。
俺は少し不安げに話を聞いた。
少し言いにくそうに口を閉ざしていた医者だが、小さな息をつけばゆっくりと口を開いた。
「…ロボロくんの病気の事だが…その病気が治らない事は知ってるね?」
R「あぁ、まぁ小さい頃から言われてたし…」
少しだけ俺の心臓の音が大きくなる。
なんやろ、嫌な予感がする。
「実は…君の余命が発覚してね」
R「余命…」
バクバクと、音がどんどん大きくなっていく。
余命…俺は後でどれぐらい生きられるのだろう。
「短くて…7ヶ月。長くて、1年半だ…」
家族や友に何かを残すには、あまりにも少ない時間だ。
何故か、涙ではなく笑みがこぼれた。
R「そう、ですか…1年半…ははっ、俺も大人にはなれないか…っ」
笑っている。だが泣いているような、そんな表情だった。
そこからは魂が抜けたように家へ帰った。
虚ろな目で窓の外を見つめる。
流石に親には伝えなければ。
そう思っても無気力な体は言う事を聞かなかった。
俺は静かに泣いていた。
自分でも何故泣いているのか分からなかった。
ただ、ただ涙を流した。
何に対して悲しかったのかは分からない。
死ぬ事なんて小さい時から分かっていたじゃないか。
嗚呼、俺は、まだ生きたいのか。
まだゾムの隣で、仲間の隣で、皆の心に、いたいんだ。
まだ…生きたいんだ…
変えられない運命に懇願しながらその日は眠った。
次の日の朝、頭に頭痛が走り、飛び起きた。
R「い”…ったぁ…っ」
ズキズキと痛みが弱まる様子は無い。
R「ゲホッゴホッい”…っ」
咳のせいで頭に負担がかかる。
ズキズキに加わり、ガンガンと頭を殴られているように頭が痛い。
俺は咄嗟に体温計を手に取っていた。
R「熱…計らな…」
少し動いただけでもさらに痛みが増す。
体温を計っている間、俺はボーッと外を眺めていた。
R「ん…39.8℃…?やば…ゴホッ」
昨日のショックで風邪でも引いたのだろうか。
人生で39.0℃以上になったのはこれが初めてだった
R「ゾムに連絡せな…ん”…ッ」
体がだるくまともに動かせない。
床を這うようにしてスマホを取りに行く。
文字を打つ気力も無く、電話を掛けた。
電話を掛け、出るのを待つ。
その間にも、頭の痛みは徐々に増していく。
ゾムが眠そうな声で電話に出た。
Z「ん、、ロボロ?朝から…どうしたん…」
R「すまん”…今日学校…ゴホッ休むわ”…」
Z「風邪か!?声ガスガスやで!?」
R「風邪っぽいわ…取り敢えず病院は行くけど…先生に休むって言っといて…ゴホッくれへんか…?」
一息に話そうとしたが、途中で途切れる。
Z「それは言っとくけど、お前一人で病院行けるんか?」
心配そうに俺に問うゾム。
電話越しでもどんな表情をしているのか分かった。
R「病院近いし…平気やろ…ゴホッ」
Z「でも心配やから病院行くの着いてくわ!
なんなら一日介護したる!」
R「でも…お前学校あるやろ…」
学校に入った方がええんとちゃうか?
俺のせいでゾムの成績下がんの嫌やし…
Z「学校よりもお前の方が大事や。」
R「…そうか」
こうもはっきりと言われると恥ずかしいものである。
流石モテ男やな…
こういうこと誰にでも言えるんやろな。
R「じゃあ鍵開けて待っとくな…」
Z「おう」
そう言って電話を切る。
俺は重い体を必死で動かし、鍵を開け、ゾムが来るのをベッドで待つ。
横たわると同時に瞼が重くなる。
頭痛のせいで少し早く起きてしまったせいだろう。
眠気に耐えられない。
そしてそのまま俺は意識を手放した。
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