「今日、だね」
「うん、」
さぁ誰が殺されに来るのかな
「楽しみだね」
「……うん」
第2話
るぅとside
1週間に1度のテスト
毎週金曜日にある
1週間学んだこと
今まで学んだことのまとめテスト
みたいなもの
ただ、このテスト
実力を試すだけのものでは無い
「あ、るぅと、おはよ」
「え、さとみくん?早いですね」
「まぁ、今日テストだし、今回苦手な範囲だから勉強しないとな」
僕の隣の席
ころちゃんの席にさとみくんは座った
「なぁ、ここはさ、なんでこうなるわけ?」
「あぁ、、ここはね……」
毎日早めに来る僕
それを知っててさとみくんは僕に教えてもらうために早く来たのだろう
あーあ、この前莉犬に
「置いてくな」って怒ってたくせに
今日は莉犬が言いそうだな
「あー!そーゆことか、天才、さんきゅ!」
そのままペンを手にして問題と向き合っていた
こんなにも必死になる理由
それは
点数が取れなかったら退学だから
五教科500点満点
そのうち400点取れなかったら退学
そして1学年10クラスに分けられる仕組みもこのテスト
400~410点が10組
そこから10刻みでクラスがわけられる
僕達は1組
1番上だ
ひとクラスぐらい落ちてもまだ大丈夫
だけど、落ちたら落ちていく
メンタルが壊れるから
みんな必死で
みんな努力する
退学は避けたい
「さとちゃん???」
「げっ、莉犬、、」
「置いてかないでよ、ね?」
「まぁまぁ」
今日はテストだよ
そう言うと莉犬は大人しく一緒に勉強を始めた
「おはよ、みんな早いよね」
「お前が遅いだけだよ、ころん」
金曜日だけは遅刻しないころちゃん
さすがにこのテストは落とせないからちゃんと時間通りに来る
皆同じクラス
4人でいつも維持できるように教えあっているから
「はじめ」
その合図で問題用紙を開く
五教科を60分で解く
問題数は多くないが、
一つ一つの得点が高い
「はぁぁ、終わったぁ、、」
吐きでるようにころちゃんから出た言葉
「お疲れ様です、」
「どうだった?」
「まぁ、いつも通りって感じですよ」
「うわっ、、聞かなきゃ良かった」
ころちゃんだってこのクラスにずっといるんだから
そんなに頭悪くないでしょ
そう言いたいけど
言ったらどうせ
「でもるぅとくんはー!!」
とか言い出して止まらないので
言わない
お昼休みが終わる頃に
テストが返される
「赤間、蒼猿、黄瀬、桃井、満点だ」
わぁっと沸き起こる歓声と拍手
「いつもあの4人上位だよね」
「うんうん、すごいね」
「しかも運動出来るとか神じゃん」
「イケメンだし、優しいし」
「やばぁー!」
と、飛び交う話
その話を止めるようにぱちぱちと手を叩く先生
その合図でシンと静まる教室
そのまま点数をスラスラと読まれ、今日の授業は終わった
「るぅちゃん!部活行こ!」
「はいっ!」
僕は莉犬と陸上部に入っている
さとみくんところちゃんはサッカー部
部室で着替えていると
「モブが退学だってよ」
「え、まじ?」
「まじまじ、10組の奴らが言ってた」
険悪な話
嫌な気持ちになる
「やだね、早く行こ、」
「そーですね」
「ぁ、」
「どーした、?」
ふと思い出して立ち止まる
「ごめん、僕なーくんに用があるんだった、」
「そーなの?先に行っとくね」
「うん」
生徒用玄関につくと
さとみくんがいた
「よぉ、どーした?」
「なーくんに会いに行くんです」
「お、ちょーどいい、俺もジェル探してんだよ」
一緒に行こーぜと
手招きしてくる
2人で生徒会室に向かった
いつ来ても圧のある扉
その前に立ってノックをする
返事がなかった
「誰もいないのかな」
「珍しいですね、」
「入っちゃおうぜ」
キィーッと重い扉を開けるさとみくん
それに続いて僕も生徒会室に入った
「なーくん、?」
「ジェルー?」
返事はない
ほんとに誰もいないのだろう
二人で話し、少し待つことになった
「あんなとこあったっけ?」
さとみくんが指しているのは
端のほうにある扉
僕は何度もここに来てるので
全て知ってると思ってたけど、あの扉は見たことがなかった
「……ちょっと思いました、だけどむやみに近づくのは、、」
そう言った僕にはお構い無しに
さとみくんは扉を開けた
「……おいっ、、、る、ぅと、、」
青ざめた顔で口元を押えながら
こちらを見てくる
「ッ……何この匂いっ、」
鼻にツンとくる匂いがした
口元を押えて目を疑っているかのような反応のまま動かないさとみくんに近づく
「さ、とみくん、、?」
「……あれ、、、」
スっとさとみくんが指した方向には
「ぇッ……ッ、!?」
血だらけ、死体まみれの部屋だった
「ッ……」
「う、、そっ、、」
2人で硬直する
何が起きているか分からない
現実ではない気がした
「おい、こいつ……」
「モブ、くんだ、、」
知ってる顔があった
腕を触っても、温かみは無い
さとみくんを見ても
首を振られるだけだった
「ーーー。」
「ーーー、、?」
「ッ、!」
「誰か来るッ……」
足音、そして話し声
どうしよう、そう思っていたら
さとみくんに腕を掴まれ、
机の下に引きずり込まれた
「……1年5人、2年13人、3年21人」
「うん、うん……OK、全部ある」
低く響いた声
2つとも聞きなれた声だった
思いたくなかったことが起こりそうで
怖かった
でも勝手に体が動いて、ふと
ふたつの声の持ち主の顔を見た
「ッ、!?」
「ジェルくん、校長は、?」
「分からんわ、さっきまで一緒におったのにな」
なーくんと、ジェルくん、?
なんで、なんでふたりが、?
校長って、なんで、、?
仲間なの、?
仲間ってなんの仲間??
でもなんでころしてるの、?
死んで、るよね?
「紫野、橙田」
深く響き渡るその声で一気に冷たい空気が流れる
黒いスーツに、黒い手袋を付けて来た人
この学校の校長だ
「今回、タウン全体で50は処理してる」
「そうですか、やはり大人でも雑魚はいるのですねw」
鼻で笑うなーくん
その笑顔はいつもの優しい笑顔ではなかった
「ちゃんと片付けろよ、万が一見られたら終わりだ」
「わかってますよ、」
カツカツと足音を鳴らしながら生徒会室を出ていった
「はぁ、ほんとに役立たずな雑魚どもだ」
「……そうやな」
「この世界の未来のため、雑魚はいらない、全て処分する」
バタンッ
シンと静かになった
その数秒後
口を開いたのはさとみくんだった
「……出てっ行ったな、、」
「そ、うだ、、ね、、」
「……大丈夫か、?」
背中をさすって心配そうに聞いてくれた
「大丈夫なわけ……ない、よ、、」
「そ、うだよな、」
「とりあえず、ここを出よう」
「うん、」
さとみくんの肩を借りて、
力が抜けている足に思い切り力を入れて生徒会室を後にした
さとみside
「ねぇ、嘘だよね、全部夢だよね」
生徒会室を出てからどのくらいだったのだろう
俺たちはゆっくり廊下を歩いていた
「……夢じゃない、だろ、」
「ッ…….」
苦しい顔をするるぅと
そりゃあそうだよな
昔るぅとから聞いたことがあった
『なーくんは小さい時から一緒に居たんです。僕にとっては大切な兄みたいな人ですよ』
って
そんな奴が人を殺して、笑ってたのだ
ショックは大きいだろう
「今日は、帰ります……」
「そうしろ、一旦落ち着いてこい」
そのまま校門までるぅとを見送り、
莉犬に適当に嘘をついてるぅとの休みを認めてもらった
「……」クスッ
「ちゃんと注意しないとね、るぅとくん」
続き♡200〜
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