テラーノベル
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僕のジェニへ・・・今太陽が沈んだところだ
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僕は社長室にいる、今日の得意先との交渉は上首尾だった、とはいえ僕としてはいささか飽きている、この取引に、この仕事に この人間関係に・・・
君が傍にいない今は何もかもが退屈だ・・・京都はいいだろうな、やっぱり僕も君の出張に一緒について行けばよかった、君の荷物持ちになって、君の下僕になって、ハナの様に君の打ち合わせが終わるのを一途に待って、下着を選んであげて君の全身を舐めるよ
京都は5年前に行ったきりだな、それでも君のDMメッセージを読んだら、あの夏の京都のジメッとした暖かい風が肌をなぞるのが感じられた・・・清水寺のお土産屋の坂・・・ お香の香りのする空気を思い出したよ、そして僕に語りかける君の声が聞こえる・・・
打ち合わせの時の君の戦略の話は、とても面白かったよ、ずいぶん沢山準備をするんだね、君はいつもクライアントとの打ち合わせにそんなに色んな資料を準備するなんて知らなかったよ、偉いね
相手に沢山の選択肢をあげたい気持ちが伝わって来た、すごいよ、でも・・・今回の取引は100%君の思い通りにいかなかったことは残念だね
でも、その努力は今回は形にはならなかったとしても、必ず次につながるはずだ、大切なのは結果ではなくプロセスだよ、利益を追求する鬼社長と呼ばれている僕がこんなことを言ったのは、他の社員には内緒だぞ
とはいえ・・・今夜君が写真を送ってくれた京都名物の「レモンラーメン」を食べれたのはよかったな、一人で1時間も並んで食べたという君の食に対する情熱には感心する、僕ならとっくに諦めている
でも、その店の軒下に並んで、君とあれこれ話をしながら待つのを想像したら、1時間なんてすぐだろうな
いつもながら君のDMメッセージは僕を優しくて温かい気持ちにさせてくれる、君のメッセージを読むだけで口元がほころんでくるんだ、そしてどこでこんなおかしな絵のスタンプを手に入れるんだ? この子ブタのスタンプは君みたいで可愛いな
今日も君からの通知を見てワクワクしたよ、君が沢山写真を送ってくれて僕と色んなモノを共有しようとしてくれる事が嬉しいんだ
君の撮る写真は僕をそこへ連れて行ってくれる・・・部屋には君の残り香が残っている気がする・・・ハナにも君の香りが移っている気がするんだ、君が撫でるように僕もハナを撫でているよ
今までハナは僕の子供だったけど、今は二人の子供のような気がして愛しさが増している、僕は自分と君を繋ぐものをいつも探している
そして誰よりも僕は君のことを良く知っているような気がする、こんな風に感じた人は君が初めてなんだ
あと1日は長いな・・・君に会いたいジェニ、君の傍に僕がいない時、君は何を見て微笑むのだろう? そんなことばかり考えているよ
君の優しさを常に忘れないように、僕も僕に関わる人に優しくしてやりたいと思うんだ、そうそう・・・文也に僕が変わったと言われたよ
本当の所・・・君がいないと僕は寂しくて、もう生きて行けないような気がしている
はやく帰って来なさいジェニ・・・君が帰る所はいつだって僕の腕の中なんだから
新大阪に着いたら迎えに行く
竜馬
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竜馬からのDMのメッセージを呼んだジェニは 目を閉じてスマホを胸に抱きしめた
自然と涙が溢れてくる・・・彼はこんなにも私を愛してくれている
私のくだらない写真や、ちょっとした冗談も、こんなに受け止めてくれる
こんなに思いやり溢れる人はいない、ジェニは出張先の京都のベッドの中で、竜馬からのDMのメッセージを30回読み返した
そしてスマホの画面にキスをして、ベッドにもぐりこんだ
明日も彼におかしな写真を沢山撮って送りつけてやろう・・・でも多分彼はまた一つ一つ吟味して、丁寧な感想を言うんだろう
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彼と婚約してから2か月が過ぎた・・・
ジェニの薬指には素敵な婚約指輪が輝いている、、、彼が選んで付けて欲しいと言った指輪だ
ジェニはそっと目を閉じ、あの時を思い出していた
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穏やかな日曜日の午後、彼の家でジェニと豊はハナを散歩した後、竜馬が一件の仕事の打ち合わせを済ませて帰ってくるまで、彼の好きなうどんを作って待っていようとしていた
その時、竜馬の家のチャイムが鳴った、『阪急百貨店梅田店の宝石商人【金剛石】』と 名乗る人が玄関先に立っていた
片手に大きなケース、もう片手に小さな折り畳み式テーブルを持って、後ろにはボディーガードらしき大男を従えていた
金剛石は小柄なやせ型の男性で、若くして髪の生え際が後退しつつあり、射貫くような鋭い眼の持ち主だった
彼は竜馬に頼まれたと言って、ガードマンと一緒にリビングに入って来た彼は、恭しくジェニと豊に挨拶をした
「お嬢様! この度は松下社長とのご婚約おめでとうございます、松下社長からご婚約指輪をお嬢様のために、ご用意して欲しいとのことです」
それから数分・・・ジェニと豊は金剛石の経歴自慢を聞かされた、彼はフランスで生まれて、二歳までロンドンに住み、成功したガラス工芸家である父に、芸術的才能を後押しされ、やがて貴金属職人の元で修業をしたそうだ
最終的にパリで (カルティエ)や(ブシュロン)でデザイナーとして働いた後、母親の故郷に帰り、日本最大の百貨店【阪急百貨店梅田店】の最上級宝石商人になったそうだ
彼には豊かな技術と、自らの傑出した才能に対する絶対的な自信があった
ここまで説明を聞くと豊はぐるりと目玉を回したが、その場にまだ辛抱強く居るという事は、これから見せられる最高級の宝石を一目拝みたいのだろうとジェニは思った
「ぜひともお嬢様のご満足いただけるものを見つけましょう !見つからなかったとしても、お望みのものをなんでもお作りいたします、松下社長からくれぐれもと言い使っております、特にお好きな宝石などは?ございますか?」
「え~っと・・・無いわ・・・ 」
ジェニは少し圧倒されて肩をすくめた
「もちろんですとも 」
金剛石はニッと笑った
コメント
1件
わあ…第121話、すごく良かったです。竜馬のDM、あの独白形式が彼の心の内をストレートに伝えてきて胸が熱くなりました。「君がいないと生きていけない」という切実さと、日常の些細なやり取り(レモンラーメンや子ブタのスタンプ)をこんなにも慈しむ視点に、恋愛の深みを感じます。ジェニが30回も読み返してスマホにキスした気持ち、すごく分かります。そして最後の宝石商のシーン、あの独特な雰囲気のキャラクターが登場して、物語に新しい厚みが加わりそうで続きが気になります!