テラーノベル
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ジェニはあまりの出来事に驚きを隠せなかった、突然宝石商が直々に家に来て、婚約指輪を選べなんて言われてもどうとらえていいか分からなかった
しかし金剛石はジェニの戸惑いを見ても、顔色ひとつ変えなかった
「それではお好きな色は?」
金剛石は促した、これなら返事出来る
「赤よ 」
ジェニは応えた、赤はジェニも竜馬も好きな色だ、その時オートロック解除の合図が鳴り、ガチャリと玄関のドアが開く音がした、竜馬が帰って来た
「竜馬さん!」
美しい暗色のスーツにロイヤルブルーの、グッチのネクタイを締め、彼が玄関先に現れた
「ただいま 」
ジェニは彼を見つめると途端に、バカバカしいほど気恥ずかしくて、落ち着かなくなり頬を染めた、夕べの二人の情事を思い出してしまったからだ、濃厚な口づけと、我慢出来なくなった彼がキッチンカウンターにジェニを横たえて、秘められた場所を探索する・・・彼の指が突然脳裏をかすめる・・・・竜馬は玄関の靴を見てほほ笑んだ
「ああ・・・来てるんだな」
「お邪魔しております、社長」
金剛石が恭しく竜馬に挨拶した、後ろのボディーガードは部屋の端に後ろに手を組んで佇み、石のように動かない、竜馬は
「本当に私が選んでもいいの?」
と、おそるおそる目を向けてきたジェニに
「何でも好きなものを選べばいいよ」
と軽く頷いた、金剛石は真っ白な手袋をはめ、身をかがめてケースの中を探り、別のトレーにてきぱきと指輪を並べ始めた
「ルビー・・・ガーネット・・・最近では深紅のルビーと言われるビジョン・プラネット・・・ああ・・・ こちらはロシアのウラル山脈から発掘された、きわめて貴重なレッドダイヤモンドでして・・・」
少なくとも半時間にわたり、金剛石はジェニの目の前に座って折り畳み式のテーブルのベルベットのトレーに、さまざまな指輪を見せ、それぞれの石や台の美点について語った
次第に打ち解けて来たジェニが、金剛石に自分の意見を自由に言う様になってきた、隣で豊が感心して指輪を見ている、竜馬はネクタイを緩め、キッチンカウンターでコーヒーを入れながら、神崎兄弟が自分の家のリビングでくつろいでいる、光景を目を細めて見ていた
今ではジェニは広告代理店で磨いた自分のカラー診断について、金剛石と自由に意見交換し、金剛石の語るパリでの仕事の思い出話に感心し、積極的に会話をはずませていた
そして竜馬の目に一つの指輪が止まった
「これは?」
竜馬が宝石商人に問いかけた、金剛石はニッコリ笑った
「お目が高い! こちらはダイヤモンドで囲んだプラチナルビーです 」
ホウッとジェニがため息をついた
「なんて美しいのかしら・・・、これはどうしてこんな風に輝くの?」
「閃光効果と申します お嬢様・・・・ルビーには元々二種類の長石が層を、構築していまして光を屈折させるため、さらに周りの小さなダイヤの効果も相まって内側から輝いているように見えるのです 」
「竜馬さん・・・これがいいの?」
その指輪を竜馬が気に入ったのがわかった、ジェニは竜馬からジェニに指輪を手渡され、じっくり眺めた
「う~ん・・・いいと思ったけど・・・・ちょっと君には幅が太すぎるかな?僕の意見はいいよ、君が付けるんだから君の気に入ったので 」
クスクス・・・ 「凶器にもなりそうね 」
シルバーの太幅のカボションカットの ルビーの周りに小さなダイヤがちりばめられている、アニメの魔法使いがはめるような 指輪だった
たしかにジェニの薬指にはめると存在感が大きい、でもその存在感こそ、いつも自分を守ってくれている竜馬そのものに思えた 二人は星が10個ほど入ってるかのように 目を煌めかせて見つめ合った
「お二人ともとてもお目が高い! この指輪は、おそらくお二人がお考えになっている以上の価値がありますよ、たとえばこちらの一級のサファイヤやルビーよりも― 」
「これにします!」
ジェニが素っ気なく金剛石に言った、瞳はまだ竜馬を捉えている
自慢の宝石説明を途中で遮られて、一瞬残念そうにした金剛石は、すぐに気を取り直し、鑑定書と装飾箱付きで後日に届けると契約書を書いた
沢山のトレーの上の指輪を金剛石がしまうあいだ、豊がもっとリーズナブルな指輪を明美に贈りたいから選んでほしいと金剛石に頼んでいた
金剛石は笑顔で、ぜひとも阪急百貨店の店舗へお越しくださいと愛想よく言った、もっともジェニは豊に指輪が買えるのか疑問だったけど
玄関先で金剛石が革製のケースを持って、もう一度ジェニの手を軽く取り、パリにいる紳士のように気取って恭しくお辞儀をした
「お嬢様・・・ 今一度ご結婚のお祝いを述べさせてください どうか― 」
「もう帰られた方がよろしいんじゃないですか? 金剛石さん 」
竜馬がすげなく遮って金剛石とガードマンを玄関から追い出した、金剛石は肩越しに一生懸命ジェニを振り返ろうとした
「私に何かお役に立てることがありましたら なんなりと― 」
「もう充分役に立った」
竜馬がとっとと帰って欲しそうに追い払った、ジェニがクスクス笑った、豊は明美に指のサイズを聞きに行くと、そそくさと帰って行った
「ありがとう・・・」
ジェニは玄関先でそっとつま先立ちになり、竜馬を下に向かせ、口づけをした
・.。. .。.:・
ジェニは出張先の京都のホテルのベッドの上で、竜馬から贈られた指輪をボーッと眺めていた、小さなダイヤが沢山埋め込まれている、ルビーの指輪はジェニの薬指にはかなり太めだ
指につけていると、その太い指輪は存在感が大きく、それがまるで自分は彼のものだと、主張しているように思える
ジェニはクスクス笑った、これではハナのゴールドの首輪と同じだ、自分は竜馬さんに飼われている、彼は自分が所有する物に多大なる愛情をかける人だ
ジェニは、ベッドの中で竜馬とのこの二か月を一つ一つ思い出した、彼はよくジェニの家に泊まりに来てくれるし、兄ともとても仲良くしてくれる、ジェニも彼の家に泊まり、お互いの家を行き来した
ジェニの仕事の事は一切口出しはせず、暖かい目で見てくれている彼が大好きだった
そして海辺の豪華なベイホテルでロストバージンを経験してから、ジェニは何度も彼と愛し合い、男女のむつみ愛がこれほど日々の生活に潤いを満たしてくれるということを経験した
もう彼を知らない頃には戻れない
彼はベッドで愛し合う時は・・・言語が英語になる、時々英語で意味の分からない言葉をジェニに囁く
目を閉じれば・・・彼のその時の声が蘇る
―Can You Feel It ?(気持ちいいかい? )―
*:.。. .。 .:・.。. .。.:・
耳元で・・・低い・・・甘い声で囁かれる
― Can You Feel It ?(気持ちいいかい?)Baby・・・―
*:.。. .。 .:・.。. .。.:・
思い出して顔を真っ赤にしてキャーッキャーっ言ってベッドの上で、いつまでもゴロゴロ転がるジェニだった
コメント
2件
私もきゃーきゃー言っちゃうわ😆
指輪選びのシーンから、後日ホテルで一人思い出に浸る場面への流れがすごく自然で、ジェニの幸福感がじんわり伝わってきました。宝石商の熱意に「もういいです!」って即決するところとか、竜馬がヤキモチ焼いて追い出しちゃうのも微笑ましい。それにしても「太い指輪が彼のものだって主張してるみたい」っていう感覚、すごく彼女らしいなって思いました。あと英語の囁きの回想、あの甘さは反則ですよ…読み終わったあと、無性にルビーの指輪が欲しくなりました(笑)素敵なエピソードをありがとうございます!