土を踏む音が皆の緊張を高める。
私達がやる事は
“とにかく敵を殺す事”“国の為に命をかける事”
人を殺す事に同情心を持ってはならない。同じ『人』であったとしても私達の『敵』に変わりないのだから。
「これからどうしよう…」
皆が敵を殺す為にバラバラになったが殆どの人は誰かと行動している。「死にたくない」そんな不安な声も聞こえてくる。姉も似たような事を言っていた。
「私…皆んなに死んでほしくないよ。」
は?
国の為に死ねと言われたならそれに答えるのが私達凡人の最低限の出来る事でしょ?ここでも善人の面を被りやがって。
「私の事はいつも死んだ方がいいと思ってる癖に。」
私の口からこんな言葉が出る何て思ってなかった。俯いていると頬に衝撃が走った。
「誰1人死んでいい人なんて居ない!こんな戦争…ッ..間違ってる!!」
姉は涙を浮かべ、私に怒鳴った。いつも親でさえ私に話さないのに姉が初めて叱った。
「じゃあ今更戻れって言うの!?」
こんなに大声を出すと敵が来るってわかっていた。でも私の本能が止めなかった。
「….____ッ」
背中から矢が飛んで来た。
姉は直ぐに私の前に立ち、矢を相手に向けた。
姉はご自慢の弓で一瞬のうちに相手を仕留めた。
「貴方は生きる事だけ考えなさい!」
私を思いやる矢が、私を突き刺した。
貴方の方が死んでは駄目だよ。
貴方は成功者で私は失敗作なんだから。
でもきっと私がここから逃げないのは何故だろう。ずっと嫌いだった姉を敵が殺してくれるチャンスなのに。