500人記念
多分記念小説としてはこれが最後になるかと思います
単純に新しいカプのネタがないです
夢回廊のアリス
視点主→『』
その他→「」
キャラ崩壊注意
レダーがフッと目を覚ましたとき、そこは見知らぬ土地だった。
確かに寝る前は豪邸のベッドに横になっていたはずなのに、目の前に広がっていたのは緑が一面に続く屋外の景色。
しかも、この場所はロスサントスには存在しない。
寝起きでぼんやりしていた頭も、一瞬で覚醒する。
慌てて周囲を見回してみても、やはり全く知らない場所だった。
自分の身に起きた訳のわからない出来事に困惑していると、ふいに背後から声を掛けられる。
「あれ、せんせぇ?」
聞き覚えのある声と呼び方に顔を上げると、そこには童話の世界のようなファンタジックな衣装を身にまとったトピオが立っていた。
『トピオ…?』
「そうですよ? 寝ぼけてます?」
知らない場所に、知っている顔。
まさかトピオまで歪みに巻き込まれたのか――そう考えたその瞬間、トピオは手元の時計を見て慌て出した。
「あわわ、こんな時間!? 急がないと!」
『どうした?』
「え、えーっと、とにかく先生も行きましょ!」
『え?』
そう言うなり、トピオはレダーの腕を掴み、木の根元にあった穴へと飛び込んだ。
突然押し込まれた穴の中は、明るいような暗いような、何とも言えない不思議な空間。
長いようで短いその穴を通り抜けた瞬間、レダーはどすんと尻餅をついた。
どうやら一番下に到着したらしい。
顔を上げると、そこには真っ暗闇の空間が広がっていた。
前方には細く長い通路が続き、その先でトピオが曲がり角の向こうへ消えていくのが見える。
慌てて追いかけたが、角を曲がった先にトピオの姿はない。
そこにあったのは、色とりどりの扉。カラフルな扉、ガラスの扉、小さな扉、大きな扉……本当に様々な扉が並んでいた。
トピオはどの扉を通ったのか。
レダーが頭を悩ませながら、開けられる扉を次々と開けていると、また聞き覚えのある声が響いた。
「あれ、ヨーちゃんじゃないっすか」
声の方へ視線を向けると、紫の縞模様の着ぐるみを着て宙をふよふよ浮いている紫水がいた。
その姿はチェシャ猫のよう――いや、猫にしては尻尾が膨らみ、耳は長い。
どちらかというと狐に近い。
『おい、今度は紫水か? しかも浮いてるし』
「何言ってんすか。俺が浮いてるのはいつものことじゃないすか」
『あー、うん。そういう事にしておくわ』
もうツッコむ気力もなく、レダーは紫水をひとまず無視して扉探しを再開する。
その様子を暇そうに眺めていた紫水が、ふわりと声をかけてきた。
「何やってんのー?」
『トピオが通っていった扉探してる。あ、紫水ここにいたんなら見てるだろ?』
「うん、知ってるけど」
『教えてよ』
「でも、んー……ま、いっか」
紫水はふよふよと空中を歩くようにして、一つの扉の前へと移動した。
しばらく扉の前で考えるような仕草をしたあと、レダーに向かってにこりと笑う。
「本当はやらないといけないことあるんだけど、ヨーちゃんには特別大サービスで、何にもしないで通してあげる」
そう言って指をパチンと鳴らした瞬間、レダーの体はふわっと泡に包まれた。
驚くレダーに、紫水はひらひらと手を振りながら言う。
「俺が通してあげたってこと、タコさんには内緒だからね!」
『は? タコ?』
何のことだ、と問いただす暇もなく、レダーの身体は泡ごと小さくなり、ぱちんと弾けるように消えていった。
長くなりそうなんで一区切り
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