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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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「ようこそ」バンバンはそう言って、次に目の前に入ってきたのは…「何だ?道化師に‥悪魔‥……それと‥ん?お前は何だ?見ない顔だな」と言ったのは大きな一つ目をしたクラゲのマスコットモンスターだった、その他にも多種多様に様々なマスコットモンスターがそこには居た。と、あまりの多さに、「い、いっぱい居る‥」と彼女は驚きに圧倒される。部屋に入ってすぐに視線があった一つ目クラゲ以外にも、青い蜘蛛‥白くバンバンの性別違いのマスコットモンスター、黄色いカタツムリに、緑色で巨体な身体を持つマスコットモンスターと沢山居る、しかも中には子供は愚か大人以上の大きさを誇るものも混在しているが為に、だから彼女の怖がりは仕方ない事。と、早速バンバンの性別違いの白いマスコットモンスターが、「あら、可愛い子供ね。こんなに幼い人間の子供がこの幼稚園に居るのを見かけるのは随分久々じゃない?」「ああ、全くだ。それで‥結局その子供は何なんだ?お前は連れてきたのか?」一つ目クラゲのマスコットモンスターはバンバンをギロっと睨みつけるように見つめてそう問う。と、レイラは目の前に居るマスコットモンスター達の詳細や名前を確認する為にこっそり持ち歩いているケースレポートと、壁画のイラスト等を照らし合わせて確認した。この部屋に居るマスコットモンスター達の事がわかった。数体だが、掻い摘んで説明しよう、まずこの部屋に入って直ぐに目が合ったのが一つ目のクラゲ、名をスティンガーフリン。彼の使用素材はクラゲ、ヒト、そしてジバニウムであり、ヒトゲノムがあるという事はもうお分かりだろうが人間同様に言葉を話す事が出来るマスコットモンスターで、次にバンバリーナ。彼女は姿のまんまでまさにバンバンの女性版と言った方が分かりやすい。彼女はバンバン同様でジバニウムとヒトから成り、彼女もスティンガーフリンと同じで普通に人語を話せる。基本的にはヒトがゲノム素材に含まれてる場合はヒト型(ヒトゲノムはあっても例外も居る)+人語を話せるもの。そういった認識をすると良い。

更に青色の蜘蛛はナブナブと言って使用素材は蜘蛛とジバニウム。ナブナブはバンバンファミリーとされては居るが、壁画で描かれている彼は他のマスコットモンスターより少し離された位置に描かれているのが非常に印象だ。

そしてスローセリーヌ。彼女の使用素材はカタツムリ、ヒト、ジバニウムの三つ。彼女はカタツムリの割に早いという謎矛盾点があるマスコットモンスターでゆったりとした速度で、話すのが特徴的。最後に緑色の巨体のマスコットモンスター、ジャンボジョシュ。

彼の使用素材はジバニウムのみで、所謂これをピュアジバニウムと言ってジバニウム単体で作られたマスコットモンスターの事を指し、この場合ジバニウム濃度は濃いまでで且つその為にジバニウムによる痛みも激痛並みだ。

「色んな子達が居るんだね!」彼女はまた目をキラキラさせてウキウキとするが、それも束の間で彼女は不意にケースレポートに書かれていた記録内容の一部を思い出し、少し顔を俯かせる。「……それで一向に説明がないが、彼女は何故この場所に居る‥随分長い間子供というものを見かけた事がなかったのに急に‥それにそんなに幼いのに両親どころか母親すらいないのは不自然な事だ、一人とは… それに別のエリアに住んでいる筈の宮廷道化師が何故地上に上がっ て来ているのが気になるところだが‥まあそれはどうでもいい事だ」スティンガーフリンは大きな一つ目でジッーっとレイラに視線をやってバンバンにそう質問した。その問いにバンバンは、「ああ、彼女は今日から此処に永住する事になった子供だよ、いきなりあの研究員から連れ来られたらしい、まあ恐らく俺

達と同じように実験に使うつもりで此処に誘い込んだんだろう」バンバンはそう告げた。やはり、そのような何かしらの裏があるのは間違いないようだ。と、レイラはこの二人の会話を挟み‥とある事を思った。「ねえ、実験……って?それにあの大量に纏められていた資料の中に何回も出て来たジバニウムって何…?よく分からないの、ねえ教えて」レイラはそう言った。どんなに怖くても、それでも知りたい意欲がない訳ではない。この幼稚園自体がもう既に常識外れで不思議でならない事ばかり、でも普通じゃないからこそ、その闇の真実を探ってみたいという探究心が逆に湧き始めて来たのだ。彼女の問いにバンバンは、「詳しい事は言えない、けどそうだね‥敢えて答えるとするなら‥ジバニウムというその物質はね‥君らで言うところの心臓や命そのものに値するかな、あとは血管や流れる血流のような‥そんな感じだ」バンバンはそう言った。「そうなんだ‥ジバニウムって生命そのものなんだ‥じゃあそれを生み出した人は親って事になるね、もっと色んな事‥知りたい」レイラがもっと深く触れようとすると、スティンガーフリンから、こう言って止められる。「知らない方がずっと何も気にしないで生きられる、お前に理解できるかは知らないが……この先の未来‥お前はこんな姿に変わりたいか?それにジバニウムの痛みに四六時中‥途絶える事なく痛みがくる、下手に探ろうとしたらお前も直ぐに我々のようになる、その事は忘れてはならない」彼はジバニウムを注入されて場合の未来を想像し、現に自分らはジバニウムと動物ゲノムを統合して作られた事からその苦痛の現実を一番理解して居る、その為かなり追求するという行為自体に否定的な考えを持っている様子のスティンガーフリン。

「痛みって……?、実験‥そんなに痛いの? 」レイラは不安げな表情を浮かべる。「まあ、でも今はまだそんな事を考える必要はない、けど何れは必ず知る事になるのは覚悟しておいた方が良い、君もいつかは必ず俺達のようにジバニウムが命の生物に成り変わる日が訪れるかもしれない、今彼らが必死になって研究して居る新型のジバニウムもその為に違いないだろうから、しかもそれを人間に直に注射するケースはこれまでにない、もし実行されれば君が初めての事例になる、その試験的な意味でも彼らはきっと考えてる、この予想は当たって欲しくないけど」バンバンはそう自身の考えを述べた。とまあ、そんな暗い話は一旦置いておいて、「すっかり忘れそうになったけど、此処にその子を連れて来たって事はこの部屋で一緒に?」「まあ、そうなりますねー。彼らが一体何を企んでいるかは分からないけど、ウスマンさんが先程言っていた予想‥何れは当たりかねませんし、それと此処じゃないと私とレイラさんだけでずっと広い部屋で過ごさなくてはいけなかったので、出来ればこの部屋の方が安心できます」ビターギグルはレイラに目を向けながらそう話した。とにかく此処で、バンバンファミリー専用の部屋とされているこの部屋で、レイラも一緒に同居する事に決まり、一先ずは良かったが、でも思い返してみると此処とは別に最初に用意したというあの部屋もある事を思い出し、「でも、本当にこの部屋で良いのかな‥なんか此処に連れてこられて、その時に私の部屋を用意してあるからって案内された部屋もあるし……」と。

「良いんじゃない?彼らからはこの幼稚園から出るなって言われただけだろうし、今は自由に、好きに過ごしてみるのも良いと思うわ、だって貴女はまだこんなにも幼いんだもの、そんな貴女をそう無闇に束縛したりはしないわよ」バンバリーナは彼女にそう言った。彼女バンバリーナの別名は教師であり、その為なのか子供には優しい模様だが、子供に対して優しいのは此処に居るマスコットモンスター大体が該当するが、その一方でオピラバートというフラミンゴ、ジバニウムから成るマスコットモンスターは子供には優しいが、大人には厳しく敵意をむき出しにしてくるという特徴を持ち、ある意味バンバリーナと類似している部分がある。「う、うん‥分かった。でも、急にそんな事言われても、どう過ごしていけば良いか分からないよ 」レイラは困った顔をする。自由に過ごして良いと言われても、いざそうしろと言ってもどうすれば良いか‥自由にしてとはいえ、それはそれで悩む。

そこでとりあえずは思い付いた余暇の過ごし方で適当な時間を過ごしていく。

「以前まで此処に通っていた子供らよりかは成熟している子供だが、年齢的にもまだ幼さが色濃く残っているようだな」スティンガーフリンはそうぼやいた。そうして後に続いて言った言葉は何故彼女、つまり子供一人だけを誘拐して連れて来たのか‥普通なら親子両方を連れてきても不思議ではない。だから、あの研究員らは何を考えてるのか‥そんな事だった。説明は不要だろうが、バンバンやスティンガーフリンがよく何度も言って居る彼らというのは、言うまでもなくあの研究員らの事だ、それにバンバンやスティンガーフリンなどは部屋のヒトゲノムが使用されていて、ヒトゲノムが使用されていると知能の発達も凄まじいので、高度な事や考えも容易に出来る。

と、そんな話を横目に彼女はいつの間にか道具を待って来ていて、白い大きめ画用紙に絵を描いていた。どうやら、彼女は絵を描くのも好きのようだ。

すると、ビターギグルは彼女が何をして居るのか気になり、そっと近寄り覗いた。

しかも、その彼女が描いて居る絵をじっくり見ると‥バンバンが、「絵を描いているのか、しかも宮廷道化師を‥そんなに彼の事をお気に召してるんだね」とバンバンは描いている彼女の邪魔にならないように少し離れて彼女に言った。

彼女は一旦鉛筆等を置き、ビターギグルに何だかウキウキでぴょんぴょんして、飛びつきこう言った、「うん‥!!、あ、そうだ!ねえねえギグルってジョークを言うのが好きなんでしょ?せっかくだし、聞いてみたいな」「ええ、喜んで。では早速行きますよ 」と言い、ビターギグルはジョークを言い放った。

※この時ビターギグルが言ったジョークは皆様の妄想と想像にお任せします。

そうして彼が披露したジョークに満悦だったようでレイラは嬉しそうに微笑んだ。「そうですか、喜んでもらえて私もジョークを披露した甲斐がありました…!、でもウスマンさん 達は揃って私のジョークなんて褒めてくれないので少し寂しかったんですよ」ビターギグルは彼女が喜んでいる顔を見て満足げになる一方で、バンバン達には不評だと言う事を溢した。「そうなの?私は凄く面白かった〜って感じたけどな、ねえギグル、また今度いつかジョークを聞かせてよ」「ええ、勿論です。また面白いジョークを考えておきましょう」とビターギグルは言い、彼女はまだ途中だったギグルの絵を完成させるために一旦、「あ、ギグル。私、まだ絵が途中だから続きやるね」「おおっ、言われてみればそうでしたね。では、私はその過程をじっくり傍で見ていて良いですか?」「うん!良いよ‥!」とビターギグルとレイラはまた座り、絵を描き始めた。

「よっほど相性が良いみたいだな、お前達は…しかし、今日会ったばかりなのに、ほんとに子供というのは恐れ知らずが多いものだ」スティンガーフリンは彼女に触れようと触手を伸ばし、撫でようとするが、バンバンから「君のその触手は幻覚作用があるのを俺は知っているぞ、彼女に変な事を見せたりするんじゃないよな」バンバンはスティンガーフリンに絡む。「撫でようとしただけじゃないか、子供には手荒な真似はしない、こんなにも愛おしい存在なのに」とスティンガーフリンが言うと、バンバンは、「子供に対しては優しい事は知ってるさ、けどやっぱりクラゲの言う事は信用できないね」バンバンはスティンガーフリンに対してまるで嫌味のような言い草でそう言った。これに対してスティンガーフリンはカチンと来たのか、ブチギレて「あまりふざけた事を吐かすな!、それ以上私をイラつかせてみろ、その頭のパーティハットをもぎ取るぞ」と激怒。

まあ、実はこのようなやり取り、スティンガーフリンとバンバンは案外多く、バンバンが謝罪をする事で大ごとにはならずに済んでいるが、あまりこの二人の関係性は良くないらしい。

「もう、そうやって直ぐ喧嘩して、今は子供も居るんだからあまり大人気ない姿は晒さない方が良いんじゃない?」バンバリーナはまたか…というように、はあ…と溜息をついて彼らに止めるように告げた。「そうだな……すまなかった」バンバンがそう言って何とか大喧嘩に発展しないで済んだ。「順調に描けてますね〜、完成が楽しみです」

「うん、あともうちょっとだよ!出来たら見せるね」

とビターギグルとそうやって親しく話していると、「ウウ……」低い声で唸るのはジャンボジョシュ‥、誰も相手しないから寂しくなってついつい声を上げた感じのようだ。

「わ、わあ‥!ジャンボジョシュって子、こんな風に唸るんだ‥それに天井に届きそうなくらいに大っきい…!」レイラは下からぐっーと上に見上げ、ジャンボジョシュを見つめる。彼だけではないが、この幼稚園には彼のようにとんでもなく巨大なマスコットモンスターも多く、大概人間と同じか、それよりも少し大きい程度の者が割といる。

「ねえねえ、此処って‥地上階…?なんでしょ?って事はこの下にもまだ続いてるって事だよね、いつか行ってみたい」レイラは興味津々そうに言ってみるが、バンバン達は賛成するどころか寧ろやめた方が良いの一点張り、何故なら此処から下の階は此処よりも危険が多く潜んでおり、知ってはならない事も‥この下の階層には眠っている為だ。

「まあ、どうしてもと言うのなら無理には止めないが、けどあまりお勧めはしないよ」バンバンはそう話した。そう、つまりは裏を返せば‥安全が保証されている、いわば安全地帯はこのメインフロアであるこの地上階のみで、それより地下は危険が蔓延る地帯…。

「それに、この幼稚園の事とか‥あのジバニウムってものの事も知らない事‥まだ沢山あるから、此処にもし、この先も永遠に閉じ込められたままなら、それと引き換えに此処の事、知りたいし‥怖いけど、皆んなと友達にもなってみたい」彼女は地下層に行く事には少々迷いを見せ始めたが、それでもジバニウムやこの幼稚園に隠されているであろう闇についても知りたいと、幼いながらも未知の事に向き合う強さは立派のようだ。

「だが‥知り過ぎるのもいけない、触れてはいけない真実に追求すると……、いや、どのみちお前もいつかは我々のように実験に使われる事になるだろう、そのために此処に幽閉し、居させるという手段を奴らは取った」スティンガーフリンは何か悟ったような口調で話しているが、何か重要な事でも知っているのだろうか。それとも、知能が高いから‥そのように感じるだけなのか。

「そ、そうなの?それに、じゃあやっぱり、此処に居る皆んなは全員…その実験で生み出されて生まれたの?あの【ケースレポート】って資料にそう書かれてたけど」レイラは恐る恐る質問を投げかけた、見た目通り‥これが普通のマスコットではない事は分かっても、それ以上に事をまだ知れていない。「ああ、そうだよ。此処に居る皆んなは同じように誕生したのさ、まあ今のうちはまだ君はそんな事気にしなくて良い、君も同じようになってしまったら‥そんなに幼い身体で永遠に終わらない痛みを抱えてしまう事になるからね‥地獄のような痛みをね」バンバンはそうまた一つ彼女に教えた。「その物質?ジバニウム っていうの、此処にあるなら‥見てみたい、痛い思いする事にもしなっちゃったらって思うと怖くなるけど、でもギグル達がそうして生まれたっていうなら、その元を知る事も大事なんじゃないかって思ったの、この幼稚園の事も‥それに皆んなの事ももっと沢山知りたい」

レイラは恐怖心がありながらも、真剣に、この幼稚園の事を深く理解したいと強い思いで、真っ直ぐな眼差しでバンバンらに話した。

「分かった、じゃあ見せるだけ見せよう、それとは別に実験過程を記録したテープも幾つかあって、それもいつか一緒に見よう」とバンバンが言うとレイラはキラキラと目を輝かせて、「え‥!?、良いの?、見てみたい!」バンバンから【ジバニウム】の実物を見せて貰える事になった、と‥まだビターギグルのイラストが途中だったためにそれを完成させてから案内してもらう。

彼女は早く今描いているものの本人に渡したいと張り切り、集中する事暫くして……「出来たよ…!ねえねえ、見てみて!」レイラはルンルンに彼の事へ駆け寄り、自分が描いたイラストを見せた。「おお〜っ!これが‥!素晴らしいです、とても上手に描けてますね〜」ビターギグルは自分を描いてもらって上機嫌のようだ。

「出来たようだね…凄く良い、じゃあ行こうか」

「うん! 」

レイラはビターギグル、バンバン、スティンガーフリンらと共にジバニウムが大量に保管されているという部屋に案内された。

「此処は普通なら立ち入り禁止の部屋みたいなんだけど、今回は特別だ君は此処で一生を共にする‥だからこそ君はその物質と深く向き合う日がこの先いつかは来る筈だから、じゃあ開けよう 」バンバンは専用のカードキーを使い、ロックが解除され厳重に閉ざされていた扉が開いた。

部屋の中に入るとジバニウムの雫マークが描かれた缶‥所謂【ジバニウム缶】が大量にずらりと置かれてあった。

中には透明の大きなビーカーに満タンに溜められたジバニウムも保管されている。まさに此処は【ジバニウムの宝庫】とも呼べそうな空間だ。

「これが……ジバニウム?」レイラは目の前にあるビーカーの中に入っている緑寄りの水色の液体を見つめてそう言った。

そう、彼女が目にしているこの液体こそがジバニウムだ。

「ああ、案外綺麗な液体に見えるだろ、これを薄めたり、更には濃い濃度のままジバニウム溶液にして注入したりと、色々な方法で色んな個体の生物が生まれる」バンバンは詳しくこの【ジバニウム】について解説をした。

でも、此処には通常のジバニウムしかなくバンバンらが度々口にしていた新型の方のジバニウム溶液はない、研究開発している新型の方は研究員が隠し持っているのだろうか。

「これを入れられると‥痛いの?」不意にまた疑問が湧いてきたレイラ。「ああ、凄く痛いぞ。ずっと絶え間ない痛みに苦しまなければならない、身体もジバニウムの効力によって巨大化していく、何もこの液体を得る事によって良い事が起こる事などない」スティンガーフリンはそう告げた、何せ、スティンガーフリン自身も今も絶え間ないジバニウムによる痛みに悩まされている最中なのだから。

と、ジバニウムについての資料もあり、それを読んで見る事に、と言ってもケースレポート以上に難解な単語が殆どの為、まだ未熟な子供にとっては中々理解がしづらい言葉ばかり、実験や化学物質‥所謂化学的な事で、中々難しい。

そうしてジバニウムを一目見たところで、一先ずは先程の部屋に戻り、また暫くの余暇を過ごす。

「じゃあ、そろそろ支度をするとしよう、もう良い頃合いの時間になってきただろうからね」バンバンはそう言ってとある支度に入る。その支度というのは食事だ。彼女の居場所はもう永久的の幼稚園となってしまった為に、生活の全ては此処で一生の日々を過ごしていく事になっている。「じゃあ君はちょっと待ってて準備してくるから」バンバンはそう言って夕食の支度に入った。「?、バンバン、何を今からするの?」レイラは気になったが、とにかくバンバンに言われた通り待っている事に、その間レイラはビターギグルやスティンガーフリンと談笑したり、甘えて遊んでもらったと楽しい余暇の時間を過ごす。

彼女が幼い事が幸いで、バンバリー達は一切彼女の事を襲おうとはせず、寧ろ可愛がっている素振りを多く見せる。

「ふふっ、何だかギグルの腕って不思議な感触がするね、それに緑の方の腕はツルツルしてて気持ち良い〜」レイラはビターギグルの腕に頬をスリスリ。

と、スティンガーフリンは彼女の面倒を見ながらふと、あのジバニウムの保管庫にて気掛かりな事を思い出す、「そういえば、さっきジバニウムを彼女に見せた時‥かなり我々に馴染み深い方のジバニウムは量が減っていたように思えたが、しかし一方で新たなジバニウムは減っていなかったが‥あれは一体どういう事なんだ」

「私達の知らないところで、彼女や‥それ以外の新型ジバニウムを用いた研究は進んでいる‥という事なのか……何にしても恐ろしい事に変わりはないけど」ビターギグルとスティンガーフリンはコソコソ話で言葉を交わし合う。

「それにしても、随分その宮廷道化師にベッタリね、今日互いに出会ったばかりなんでしょ?人間自体の適応力もそうだけど、それが育ち盛りの子供となると尚更‥ほんと見てて感心するわ」バンバリーナは彼女を愛おしそうな様子で眺める。そんなバンバリーナ達など見向きもしないで彼女はビターギグルに夢中。

こうやって余暇に時間を過ごしていると、「食事の準備が出来たよ」バンバンから部屋から出てきた。どうやら、バンバンは食事の準備を先程していたようだ。

そして、バンバンはそれぞれに提供し、勿論彼女の分も。

「わあー!美味しそう!、これ、バンバンが作ったの?」レイラは自分の目の前に出てきた食事を目にしてそう言った。「ああ、そうだよ。とは言っても保管してあった食料に少し味付けをしただけさ、此処の皆んな野菜や果物、それら全て生で食べるけど、人間の君は生で食べると身体を壊すかもしれないからね」バンバンは明かした。彼もヒトゲノムが含まれている為にそういった人間と同様の動作もこなせる模様、知能もさることながらその出来はかなり上出来と言っても差し支えない。

「キャプテン、食事の準備が出来た。食べよう」バンバンはキャプテンと呼ばれるそのマスコットモンスターを呼んだ。と、テクテクと一頭身の何かがやってきた。

このマスコットモンスターこそがバンバンが言っていたキャプテンであり、名はキャプテンフィドルズと言ってゲノムはサル、ジバニウムの二つ。

ズとついてるのはキャプテンフィドルには色違い個体が複数居る為で、中にはジャンボジョシュのようにデカいシアンフィドルという個体も存在する。

ヒトゲノムが使われていないが為に知能も低く、コミニュケーションも出来ないがその代わりに短い手を上げたりして返事に応答する事は出来るようだ。

「わあ、凄く可愛い‥!」レイラは現時点で見かけたマスコットモンスターの中でも可愛さに溢れる見た目をキャプテンフィドルがしているからか、ついつい見惚れているみたいだ。

「じゃあ食べましょうか」ビターギグルはそう声をかけ、レイラ達は食事を摂る。「そういえば、こういう‥まあちょっと変わった物だけど、食べ物もちゃんとあるって事は……お風呂とかもあるの」レイラはふとそう思った。此処は異常さ際立つ場所と言えども、仮にも幼稚園な訳だしある程度園児や他の子供も過ごせるような環境は完備されていているから、ただ幼稚園とは擁護し難い広大すぎる程にデカいだけで。

「ああ、勿論あるよ。園児や預けられた子供が生活出来るような専用の物があったりしてね、それに此処で寝泊まりも自由に出来るから」バンバンはそう説明した。

バンバンだけ、何故こんなに此処の事について詳しいのかというと、それは此処の、このバンバン幼稚園のメインマスコットで、立場上で言うとバンバンは園長にあたる為全体をある意味取り仕切っていると言っても良いだろう。

「へえ、そうなんだ!お風呂も楽しみ‥!」レイラはすっかりバンバン達に対して怖がらなくなった。寧ろ、今は自ら少しずつ彼らの中に馴染もうとして、その中でも特にビターギグル‥彼とに相性が抜群のようだ。取り敢えずは食事を終えて、次は入浴になるようだけど、でも此処にそれらしき場所があるとは思えない。

「お風呂って何処‥?」「案内するからこっちへ来て、小さい子供でも安全に入れるように設備を整えてあるみたいだから」「うん!行く!」レイラはバンバンにそう返答し、彼女はバンバンに案内されるがままに着いていく。

そうして綺麗な木材の長い廊下を渡り、「ついた、此処だ」「おおっ〜!ボールが沢山ぷかぷか浮いてる!わあ〜い!」レイラはお風呂を見て大喜び。それに怪我の心配がない素材で作られており、安心だ。早速彼女は身体の洗浄をして、あとは浸かるだけ。と、レイラは「バンバン達は入らないの? 」そう言った。

「我々はそこに入れない、そもそも此処は子供専用の場所‥我々は見守る事しか許されない」スティンガーフリンは彼女を眺めつつ、そう答えた。本当なら彼女は此処でも、現在最もお気に入りであるビターギグルや、バンバン達にも傍に来て欲しいという寂しさ‥その思いが込み上げてきたが上がるまでは一旦我慢している事に。

と、数十分くらい湯船に浸かり、暫くして身体が火照ってしまう前に出て、風邪を引かないようにささっと身体を拭いて、幼稚園の職員‥つまりあの研究員らが用意したと思われる寝巻きに着替える。

「わあ‥!!、これ、凄く可愛い!」彼女は気に入った様子。

彼女が幼い女児という事を周知の上で招いた、だからある程度‥いや、実際は彼女の全てを手に掴んでいる事だろう、これまでの記憶や思い出、彼女の過さえ、全てを。

「あとは就寝の時間までゆったりしていると良い、君専用の部屋がどうやらこの部屋にもいつの間にか作られていたみたいだから、そこで寝ると良い」バンバンは色々と親切に彼女に教えて、流石は此処の看板マスコット且つ園長だ。

「わあーい!、嬉しい!! 」レイラはまたニコニコっと微笑んだ。ある程度の時間を彼らジバニウムによって作られたマスコットモンスターらと共にしたからか、もう寂しさなど無くなり無邪気な笑顔に溢れている。それにまだ親と離れてるのが怖いはずの年齢にいるのにも関わらず‥それにその両親とも永久的に会えないと宣言されたのにも関わらず‥そんな事など忘れたかのように彼女はにこやかな微笑みを浮かべる。「ふふっ」就寝までの暫しの時間はビターギグルやスティンガーフリンの傍にいって遊んでもらったして子供の彼女にとっては有意義な時間を過ごし、でもそんな楽しい時間ほど終わりは早くやってくる。

「もうそろそろ、就寝の時間みたいよ?それじゃあベッドに行きましょう」バンバリーナは部屋にある壁掛けの時計を見て、現在時刻的にもう子供はお休みの時間と思い、そう言った。

「あ、もうそんな時間なんだ、じゃ今日はもう寝ようかな」

レイラはバンバンに就寝時に寝る部屋に案内して貰い‥就寝用の部屋も案外広く、ベッドはまるでホテルに置いてあるような、一人だけで寝るにしては大きく、広いベッドだった。

「わあ〜い!あははっ!ふかふかだ〜、ふふっ」

「じゃあ、そろそろ電気も消すよ」

そうバンバンが言うと彼女は少ししょんぼりして、「う、うん……」と言う。

「どうしたんだい?もしかして、一人で眠るのは寂しいか 」バンバンがそう問いかけると、彼女は静かに「うん」と頷き、「一人で眠るのは‥まだ慣れてないから」

彼女がそうぼやいたので、そこでバンバンから一つ提案で、「じゃあ安心して眠れるように誰かを君の傍に連れてこよう」と。

彼女がそうして指名したのは【ビターギグル】だった。「私で良いのですか‥?」「うん!」

とレイラは微笑み、今夜は‥いや、今夜からビターギグルとと共に夜を明かす。

そうして寂しさが紛れ、安心した彼女はビターギグルの傍でぎゅっとくっついて熟睡。

その後、次の日の朝日はあっという間に登ってくる。

「…………ん、ふぁ〜〜」彼女はあくびをして、ベッドから目覚め起きて、「おはよう、ギグル‥」とレイラは彼に向けて言った。

すると、彼は道化師らしい笑い声を上げて、返事を返した。

新しい服に着替え、朝もまたバンバンが用意してくれた朝食を食べた。「どうだい、昨日はしっかり眠れたかい?」バンバンからそう質問され、彼女は嬉しげに微笑み、「うん!ぐっすり眠れたよ、それにギグルが傍に居たから寂しさも吹っ飛んだの」と答えた。

彼女はよほど彼の事が、ビターギグルの事を相当気に入っているようだ。

「そうか」

食事後、今日は何をしようか。此処からはもう出られない‥永久的にこの幼稚園という閉鎖空間での日々を強いられた彼女は一気にやることがなくなって毎回退屈な日々‥、でも今は徐々にではあるが、バンバンらとのコミニュケーションが今の彼女にとっての楽しさを引き出しているような気がする。

それと、まだ会った事のないマスコットモンスター達にも一先ず会って挨拶だけでもしておきたい、そう思っているのだが、此処より下には危険な存在が多くいると知ってしまった以上、また急に恐怖心が湧いてきた。

「うーん、今日は何して過ごそうかな〜、あ……ねえねえ、他のマスコットモンスターに……会いに行くのは‥駄目?」レイラは念のためバンバンらに聞いてみる、「行っても良いが……昨日も話したと思うけどこの下は危険が非常にあってね、君のその色んな人に会ってみたいという気持ちが理解出来ないわけではないけど‥」バンバンは相変わらず、拒む姿勢を崩さない。「そ、そうなの?、やっぱり、そんなに危険なの‥?」レイラは寂しげな顔でそう言い、「まあ、どうしてもと言うのなら、別に構わないが‥、それに奴らが直々に監視しているだろうし、下手には動けなくなってるけど、ちょっとだけなら下に君を案内してみるのもありだね」バンバンはそう言った。

何とか、バンバンからの許可を得てそれからビターギグルの二人が案内するようにして、その他のマスコットモンスター達は留守番という形で、とりあえず地下層の方に向かってみる事に。

「危険が沢山潜んでるって聞いたら‥怖くなってきたけど‥でもどんな子達がいるのかも気になる‥ 」バンバンファミリー以外のこの幼稚園に潜むマスコットモンスターには会った事がない為に心を躍らせる一方で、でもやっぱり此処から下は常に危険が潜んでいる事を知った上で、今から向かっている為に心も、不安になる。

「そんなに不安にならないで良いですよ、私とウスマンさんが傍についていますから」ビターギグルはそっとレイラの手を握り、また広い敷地内を歩き回り‥大移動。

「ありがとう‥!ギグル! 」レイラはギグルにニコニコっと微笑み返した。「とりあえずは少し降下する程度で良いだろう、それより下の地下層は子供の君にとっては危険な場所だからね、宮廷道化師も彼女離さないように確り握っておいてくれ、彼女に何かあったらいけない」バンバンはかなり彼女の事を気にかけ、怪我や負傷を負う可能性が十分にある事から、慎重の姿勢を見せる。

広大な施設内を歩いていると、「あれ……なんか見えてきた!え?何これ‥?」レイラが目にしたのは何やら異質な乗り物のような物で、一眼見ただけではこれが一体何なのか、


「ああ、これが下に降りる為の唯一のエレベーターだよ、これしか此処はなくてね、大丈夫。安全設計には、なってるからなにか大きなものが襲ってこない限りは壊れないよ」バンバンは言う。「これが……ですか、見た事ないですね〜何せ私は最初から下のエリアに居たので地上階の事や他のところなんて全く知らない」ビターギグルは言った。

そう、とある保安官からこうして追い出される前までは彼は地下の空間に存在する【王国】と呼ばれる場所に居た。

だから、ビターギグルにとってこのエリアはあまり見た事がない光景な訳だ。「そうか、君もこれもこれは初見か、なら丁度良かった、良い体験の機会になるね」バンバンはそう言って、此処でもカードキーを使い、エレベーターを稼働させると、徐々に降下し始めた。

そうして、遂に地下層に足を踏み入れる事に…………


未知の領域に、ワクワクと不安が複雑に入り混じる……。


幼稚園の不気味な怪物達と幼き少女

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