葬儀の後、俺は美咲の遺品を受け取った。
ノート、財布、携帯電話。
どれも確かに“彼女のもの”のはずだった。
しかし、スマートフォンの中の写真フォルダを開いたとき、背筋が冷たくなった。
そこに写っていたのは、見知らぬ部屋の中で笑う“美咲”。
だが、部屋の壁に貼られたカレンダーの日付は、事件が起こる二年前だった。
その頃、美咲は地方の大学に通っていたはずだ。
おかしい。
さらに不気味だったのは、写真の右端にぼんやりと写り込む人物。
髪を後ろで束ねた女性。
その顔に見覚えがあった。
――黒川梨沙。
死んだはずの彼女が、妹の写真の中にいた。
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