ルバーブ城のとある門番はあくびをかいていた。
今日は暖かい日差しで昼寝にもってこいの昼だった。
「しっかし暇だな~‥」
そんな小言をもう一人の門番は叱咤した。
「おい、しっかりしろ。誰かが入ってきたらどうする気だ?」
「どうせ来ないって‥」
「‥‥‥」
「どうした?」
「‥‥なんか馬音が聞こえないか?」
「馬音?」
2人が門に近づき、耳を澄ませたとたんにいきなり馬が突進してきて、門番は吹っ飛ばされ、門が荒ただしく開かれる。騒ぎを聞きつけ、他の門番達がやってくる。
「何事だ!」
砂ぼこりから現れたのは、馬の馬でぐったりしている男だった。
「まさか!ヴィッツ様!?」
「何故そんなお姿で?!」
「とりあえず治療を!」
一人がヴィッツに近付くと、ヴィッツがもの凄い勢いで門番の服を掴む。
「早く‥‥王子の‥‥所へ‥」
「ですが!」
「早く!‥‥時間がない‥‥!」
「‥‥わかりました。」
しばらくしてヴィッツはルキア王子の所に通された。
「ヴィッツ!!」
ルキア王子が駆け寄る。
「お前ほどの男が‥‥!」
「すみません‥‥お役にたてず。」
「もうよい。喋るな‥な?」
内容は散々だった。
城の周りをうろちょろしていた不届き者を討伐に行くだけの予定だったのに‥‥‥
8人の屈強な精士兵達は全員やられ、肝心の不届き者達には逃げられてしまい
ヴィッツは内臓をやられ重症だった。生気の失せた青い顔は普段のヴィッツとは程遠かった。
「ヴィッツ、言え、誰にやられた?」
「‥‥」
「おいまさか‥‥」
近くにいたスロバキアも驚愕といやな顔をした。
「ああ‥‥ロウ王子だ」
2人は絶句した。しかしあり得なかった、いくら狼の剣号を持つあいつ
でもヴィッツにこんな傷は負わせれるはずが無い‥‥
「ぐはっ!」
ヴィッツが苦しそうに血を吐き出す。白い包帯はどんどん赤色に染まる。
「しっかりしろ!ヴィッツ!!」
「医師を連れてこい!!早く!!」
ヴィッツがベッドをかきむしり、ルキア王子の服を引き寄せる。
「ヴィッツ?」
「王子‥‥私は恐らくもう助かりません‥‥。」
「そんなはずは‥‥」
「あの男には仲間が居ます。」
「何?」
「誰だ!?」
「‥‥獅子です。」
「?」
「獅子?」
震える歯で懸命に王子に伝える
「髪は黄金純金、炎の瞳、双剣使いで、歳は13ぐらい‥‥。」
「ちょっと待て、まさかそいつにやられたのか?」
「はい‥」
「嘘だ!ヴィッツがそんな奴に‥‥」
「私はそいつに内臓を食い破られました。」
「なっ!」
目が虚ろになり目蓋がゆっくりと閉じていく。
「王子‥‥お気お付けて‥‥どうか‥獅子を‥私の仇をうってください‥‥」
手の力が弱くなり、服から滑り落ちる。
「待て!ヴィッツ!!いくな!」
「さようなら‥‥ルキア王子‥‥我が国の‥‥き‥ぼ‥う‥私は‥‥お先に‥‥」
それが大四剣豪、ヴィッツ・バルセロナの最後の言葉だった。
ルキア王子はしばらく遺体に抱きついていた。
ヴィッツは小さい頃からずっとそばにいてくれた、父より愛してくれた。ただ1人の戦士。幾度と無く命を助けられた。それは臣下としての勤めだったのかもしれない。しかし己の唯一の友だったし、父より父だった。あの暖かい手も豪快な笑い声も二度と聞こえない。
「くそ‥‥くそくそ‥!!ロウ‥‥獅子‥‥必ず‥俺の手で息の根を止めてやる!!」
遺体は丁寧に葬られた。
感じる‥‥あの子はここにいた。だとしたらあっちかな?
てくてく
わぁでっかいお城。
ふむふむ
そこにいるんだね?
たたたたっ
今会いにいくよ
ふふっ
ネメア
コメント
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復讐は膨らむばかり‥