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――あの絶望を、どう、表現しよう。
咳が止まらない。母が『またなのか』とこちらを睨む。
うるさい、うるさいとヒステリックに叫ぶ。
焦ると、もっと止まらない。
頬を打たれる。
髪を掴まれ、怒鳴り声が繰り返し耳を突き抜けてゆく。
涙が出て、鼻が詰まって、すると咳がもっと出る。苦しい。苦しいけど、早く平気にならなくてはいけない。すると、もっと止まらない。
ごめんなさい、と何度謝っても、お前のせいでと母親は繰り返す。
祖母は、敵にも味方にもならない。
柚と母が転がり込んできたことを疎ましく思ってはいるようだった。
それでも世間体を気にする人だったから。
祖母は外では優しい。柚にだって優しくする。
それは救いだった。