テラーノベル
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#独占欲
#ワンナイトラブ
翌朝。まどろみの中で目を覚ますと、すぐ隣に陽一さんがいた。
静かな寝息。無防備な横顔が、すぐそこにある。そっと手を伸ばし、彼の腕を抱きしめる。昨夜のぬくもりが、まだ肌の奥に残っている気がした。
(……本当は、私の方がずっと怖かった)
追い詰められた彼が、このまま私から離れてしまうんじゃないかって。
(……ちょっと大胆すぎたかな)
昨夜の露天風呂での情熱を思い出して、頬がじんわり熱くなる。
「……ん」
彼が微かに身じろぎして、まぶたを開けた。
その瞬間、私は彼の上に乗るようにして、ぴったりと抱きついた。
「おはよ。今日まだ、大事なことしてないよ?」
「なにを……?」
「『おはよう』のちゅー」
頬にそっと両手を添えて、軽く唇を重ねる。すぐに離れるはずだったのに、名残を惜しむようにもう一度触れてしまう。
彼は照れたように視線を泳がせた。
私はくすっと笑って、そのくせっ毛をくしゃくしゃとかき回す。
やっぱり、陽一さんの全部が可愛い。
私を包み込む腕も、大きな手も。でも一番可愛いのは――
昨日、「牡蠣フライとうなぎ」を自分から注文して、食後に
「……頑張って食べたよ」
って、少し俯きながら報告してくれるようなところ。
(……本当に、かわいい人。この人の良さをもう誰にも教えたくない)
彼の首筋に顔を寄せて、そっと息を吸い込む。
ほんのり残る汗の匂いに、胸がじんわりと満たされる。
(……ああ、もう。一生推せる)
確信とともに、彼をさらに強く抱きしめた。
「ねえ、朝食までまだ時間あるし……」
「ちょっとだけ、イチャイチャしたいな♡」
「えっ……。あ、うん。いいよ」
少し戸惑いながらも、ちゃんと応えてくれるところも、やっぱり好き。
***
結局、僕たちは――
朝食のラストオーダー5分前に、旅館の長い廊下を走ることになった。
「……ちょっと待って」
彼女が、ぴたりと足を止めた。
「え?」
顔が、さっきよりも明らかに赤い。
「……ちょっと、今……走るの無理」
「なんで?」
視線を逸らしたまま、彼女は小声で言った。
「……いいから、先行ってて」
「あ、うん……」
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