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なりきりしよ
わあ(・∇・)
『……大丈夫ですか?』
「え……あ……はい……。」
頭の上から声がする。
ふと顔を上げると、超美人の女子高生が
俺に微笑みながら声をかけている。
───道路の真ん中で。
俺─佐伯凪は今
超美人の女子高生に横抱きにされている。
もう一度言おう……。
───道路の真ん中で。
なぜこんな超美人に、
横抱きにされているのか。
あれは─数分前のこと。
「寝坊した……!!」
スマホの時間は8時15分。
ありえない…、今日で3日連続遅刻。
凪は慌てて家を出る。
手にパンを持ちながら………。
「うわ……遅刻だ…!!」
こんな時にかぎって車が渋滞。
歩道も学生や会社員がたくさんいて
混雑している。
息を切らしながら走っていると─
幼い幼児が道路に転がっているボールを
取ろうと、飛び出した。
幼児を助けようと咄嗟に道路に飛び出す。
車に引かれそうになる幼児。
(間に合え…!!)
凪がそう思った時だった─。
──え?
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
今、目に映っている光景…それは─。
車と車が衝突事故。
そして、俺の目の前には謎の女子高生が。
腰まであるサラサラな黒髪。
青いチェックのブレザーの制服。
「え……は…!?」
『……ふふ。』
彼女は振り向き微笑みながら俺に話しかけてきた。この笑みが逆に怖い。
衝突事故をおこした車から一人の男性が
こちらに向かってくる。
何だろう、と首を曲げると
突然俺の襟元を掴んできた。
「え………!?」
「お前が金払って弁償しろ…!!!」
え?……弁償!?
「弁償って…貴方が悪いんですよ?」
「……は?」
俺の襟元を掴んでいる手をどかそうとする
彼女。
「後少し遅かったら、あの女の子が…
亡くなっていたんですよ?」
「は?知らねぇよ…!」
「いい大人が…全く…。」
「この女………!!」
彼女に掴まれている腕を振り払い、
彼女に拳をむける男性。
何してんのーー!!?、と
心の中で叫びまくった。
酷く驚き、なんとか彼女を守ろうと
ばかり考えていて頭をフル回転する。
でも怖くて足が動かない。
男性の拳は彼女の目の前。
彼女はピクリとも動かずただ
その場に立ち止まる。
今にも、拳が顔に当たりそうなのに
クスッと笑みを浮かべ……………
視界から彼女が消えた──。
「消えた……!?」
え!?
どういうこと!?
でも、今確かに消えた!!!?
「全く……こっちですよ?」
声がする方向に振り向く時には
男性は彼女の蹴りをくらい地面に倒れた。
「ふふ。今度は貴方がひかれますね。」
いやいや…その台詞怖いって!!?
何!?少しサイコパスな台詞!!!
この女子高生……何者!!?
「ははは………凄い……。」
凄すぎるって………。
「ふふ。」
彼女に蹴られた男性は、
なんとか立ち上がりなぜか俺を睨んでいる。
何で俺を睨むの!?
え!?は!?
「病院行かれた方が……いいと思いますよ?」
────はい?
たった今、この男性を蹴った本人が
そう言った。
何であんたが言う!?
蹴った本人が!?
今言う!?
まぁ可愛いからいいんだけど!!
いや…何考えてんだ!?
………待て!!
遅刻する!!!!!!!!
俺は今学校に行く途中だということを
思いだした。
「ち、ち、遅刻だぁ!!!」
“遅刻“という言葉に彼女も反応する。
「小僧………女………待て………。」
「すみません。私も遅刻してしまうので。」
そこ?
「失礼します。あぁ後片付けはご自分で。」
後片付け──とは。
衝突事故、怪我、その他のことだろう。
「ふざけんなよ……!」
男性はポケットから刃物を取り出す。
えぇぇぇ!?
今このタイミングで!?
てか……遅刻……ぁぁぁぁ…!!!
「……………馬鹿なお方。」
彼女はそう言うと、
突然俺を横抱きにして宙を舞い
男性の背中の上に着地した。
男性はうつぶせの状態で背中には
俺を横抱きにしている彼女が乗っている。
大丈夫かな……この人……。
『大丈夫ですか?』
「え……あ……はい……。」
『怪我がなくて良かったです。』
にこりと微笑む彼女。
いや……むしろ……この人が怪我を……。
言わないでおこう……。
「あの…離してくれませんか?」
『………あ、すみません…!』
「が…学校……!!!」
『あ………。』
凪は真っ先に学校へ走り出した。
全速力で。
その姿をずっとただただ見ている女子高生。
「………………。」
もう二度と会うことはないと思っていた。
チャイムがなる1分前……。
なんとかぎりぎりセーフ。
凪は慌てて教室に入り自分の席に着く。
「ふぅ……間に合った。」
窓の外をぼんやりと眺めている。
自然豊かないつもと変わらない風景。
何だったんだろう…あの女子高生…。
でも、ウチの高校の制服だったよな?
あー、もう考えるのやめよ……。
もう…朝礼始まるし………。
8時30分、時間通りに担任の先生が
教室に入ってくる。
ん?
「皆さん、初めまして。」
「今日からこのクラスで勉強することに
なった、夜桜さんです。」
「夜桜美麗と申します。」
え……え……え……!?
さっきの女子高生!?
え、ウチのクラスに!?
彼女──夜桜さんが転校してきた。
さっきまで、俺と一緒にいた人。
とにかく謎の女子高生………。
ラッキーなことに凪の席は一番後ろ。
なるべく目立たないように努力している。
「一番後ろの席が空席ですね。」
何か嫌な予感……。
「あそこが夜桜さんの席ね。」
「分かりました。」
いやいや……おかしいって!!!
先生!?
聞いてますぅ!?
夜桜さんは、俺に微笑みながら
耳打ちする。
ななななな何!?
『宜しくお願いします…凪君。』
何で俺の名前知ってんのーー!?
怖い怖い!!
謎の女子高生、夜桜美麗さん。
一体何者なんだ───!?