カレンさんからの事情聴取を終えて警察署を後にする。その道中、向かいから一人の女性が歩いてきた。
「久しぶり二人とも♪」
「うげっ!?な、なんでお前がここに……」
「たまたま見かけちゃったんだ。モールの中から警察の人と出るとこ」
「……はぁ。先に言っておくぞ?決してお前抜きで楽しもうとかの策略では無いからな?」
「それほんとォ?あのモールの近くに行った時人集りから聞こえたんだけど、なんでも戦姫会社を敵に回して争ってたとか聞いたけど?」
「そ、それは成り行きで……」
「成り行きで行き着いたのがこの楽しそうな惨状なのね?」
「お前から見れば楽しそうかもしれないが、俺やもっと酷い目にあってるリナからすれば笑えないっての…」
「そういえばリナが外にいるなんて珍しいね?何か変化あったって感じ?」
栗色の髪を背まで伸ばし、カジュアルな服に身を包んだ彼女は僕の友人の一人『ユウナ』言動からも察しがつくが見た目に反して、かなり高圧的な人で、彼女も戦姫を所持してるが聞いた話では武装もオラついたような、いわゆる戦闘狂みたいな人物だ。
もちろん悪い人では無いのは確かだが、こんな性格をしてるためか、彼女も友人が少なく苦労はしてるみたいだ。
「まぁ…ちょっとね?」
「ふーん……。それってこの騒動に関係ある?」
「むしろ僕が発端みたいなところあるかな」
「何それ超おもろそうな話じゃん!なら、こんなとこで立ちんぼはやめてうち来なよ!久しぶりにそこで話そうよ!」
「これ話していいのかなぁ……」
「まぁ、ここから出てくるの見られてる時点で黙秘は出来ないだろうな」
「じゃあ…仕方ない、か。」
場所を移し、やって来たのはユウナの自宅。彼女もリナと同じく既に独り立ちしており、今は都内のとあるマンションに住んでいる。
内装は失礼かもしれないが、意外と女の子らしい部屋になっていた。昔来た時の記憶だとどちらかと言えば、男部屋のようなシンプルでサッパリした感じが印象的だったが、今はサ○リオとかのキャラっぽい小さなぬいぐるみが置いてあったり、ちゃんと女のコらしい部屋になっていた。
「だいぶ内装変わったなお前……」
「な、なんだよ!いいだろ別に!?私だって女の子なんだよ!」
「ちゃんと女の子で安心したよ」
「んだよ!リナまでそんなこといいやがって!!」
このやり取りがとても懐かしい。半年ほど前まではこんなやり取りをしながら、誰かの部屋で鍋囲んでたり、しょうもないことしてゲラゲラ笑ってたり、そんなことがあったのにそれがもう半年ほど前になるとは…。時の流れは早いなって感じたけど、それは僕の心の中で留めておこう。
「んじゃ、早速話聞かせてよ!私抜きであれこれしてたおもろい話!」
「具体的に話してると多分時間が足りないから、重点を置いて話すね。」
「おう!よろしく頼むよ」
「まず、事の発端は僕が戦姫を拾ったことから始まって…」
「まったまった!!お前戦姫拾ったの?」
「うん。今疲れ果ててバックの中で寝てるけどね」
「戦姫って確か拾い物は法に触れないか?」
「グレーゾーンなんだよそれが。」
「どゆこと?」
「元の持ち主のデータは全部無くなってたから回収されるかも怪しいんだよな」
「だからグレーゾーンなのか」
「話を戻すね。それで、僕はその拾った戦姫のわがままを聞くことになる。それが戦姫大戦を行うこと。そして、あのモールで戦姫大戦を行い、たまたま居た近場の人間と対人を行い勝利するも、相手がミライソフトの人間だった。
装備差をものともしない僕の戦姫はその後ミライソフトの人間たちの中で天使創造計画に関係する戦姫として勝手に決め付けられて、さっき見たモール内で『一般人VS大手企業』をやってたわけ。」
「その戦闘結果は?」
「ここに僕らがいる時点でわかるだろ?」
「ま、そうよね。なんにせよここまでの流れは何となく分かったわ。
それで?リナはこれからどうするつもり?」
「あのモール内で天使創造計画を知ってる人物に会い、知りたいなら大会を勝ち進めと言われた。」
「出るのか?」
「まぁ、出るしか道はないかな…。僕の戦姫『カナ』が何者なのか知りたいしね」
「戦姫大戦を自分がやることは嫌ってるリナがまさかそんなこと言うとはね」
「なら、俺らも力になろう。今回のようなことも起きないとは断言できないからな」
「そうね。ま、私はそれ以上にそんな楽しそうなことから除け者にされるのは嫌だし!」
「意図してなった訳じゃないから…」
「けど、まずは大会云々よりもリナは戦姫の装備を整えないとな」
「それはそう。」
「アンタの戦姫が元気になったら連絡ちょうだいよ?お話したいしね」
「多分すぐ会えると思うぞ」
「かもね」