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星の英雄 ゲズとリオン

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星の英雄 ゲズとリオン

16 - 第16話 「魂の檻と雷帝の記憶」

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2025年05月27日

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第16章:魂の檻と雷帝の記憶
アーカ=ヴェスの深奥――

雷帝ゲル=オルドの記憶が眠る場所へ向かうゲズ。

その空間は、彼自身の“心”を映す鏡だった。


空は灰色。地は割れ、見渡す限りの荒野。

そこに、もう一人のゲズがいた。



―試練の始まり―


「……お前、誰だ」


そう問うと、鏡のような“もうひとりの自分”が言う。


「お前の中の“恐れ”だよ。

お前は力が欲しい。でもその力で何を守れる?

誰も救えず、また――大切な人を失うんじゃないか?」


ゲズは唇を噛む。


過去の後悔、リオンを失った日。

誰も助けられなかった日々の記憶が、空間に浮かび上がる。


「お前は“英雄になりたい”んじゃない。

“英雄だったと思われたい”だけじゃないのか?」


ゲズの拳が震える。


「……ちがう……!俺は――!」



―雷帝の声―


空間に、低く重々しい雷鳴が響く。

次の瞬間、空から雷帝ゲル=オルドの魂が現れる。


その姿はゲズによく似ていたが、

目には炎のような雷と、深い静けさを宿していた。


「恐れを認めろ。それが“力の核”だ」


ゲズが叫ぶ。


「怖いよ!また誰かを失うのは!でも、それでも俺は――

 あいつらと一緒に未来を見たい!!」


その瞬間――鏡の“恐れのゲズ”が砕け、

雷がゲズの全身を貫く。



―覚醒・魂を断つ雷―


《ソウルスレイヴ》――覚醒。


雷の刃が、ゲズの腕に宿る。

それは剣ではなく、魂の意志を具現化した“雷の鎖剣”。


「これは、“魂を切る力”。

不死の存在の心核に届く唯一の手段だ」


雷帝がそう語り、霧の中に消えていく。



―その頃、セレナにも異変が―


ゲズの試練と同じ頃。

アーカ=ヴェスの別の間で、セレナは一冊の古文書を見つける。


開いた瞬間、彼女の瞳に――血のような光が宿った。


「セレナ・=ルクス。

あなたの系譜は、ルシフェルの“鍵”に繋がる」


「あなたの存在は、彼女の“不死の回路”と共鳴する因子を持つ。

いずれ、あなたの命が“彼女の器”として選ばれる可能性がある――」


セレナの身体が崩れ落ちる。

その手が、震えた。


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