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それからと云うもの、寝ても夢は良いものでは無く、眠れる事が少なくなった。




確りしっかり食事も取るのだが、食欲が無い。


普段よりも少なくしている。



鏡花ちゃんには、「これも食べて良いよ」と、分けてあげて誤魔化している。


鏡花ちゃんは目を輝かせて、ありがとうと云って食べているので、一石二鳥だと思う。



仕事中も、この間の任務で云われた言葉と悪夢で云われた言葉、フョードルに云われた言葉を考えて仕 舞い、集中出来ない。


それ等の所為なのか、ミスが多くなって仕舞う。



この間、探偵社にクレームが入ったそうだ。


ミスをして仕舞った責任感と恐怖で、頭が真っ白になり、ぼーっとして仕舞い、内容は殆ど覚えて居ない。


けれど、それで国木田さんに凄く叱られた。



…嫌われて仕舞っただろうか。



本当に探偵社は僕のことを穀潰しだと云って棄ててしまうのだろうか。



_探偵社員と云うだけで、役立たずだね。君は


そんな事、最初から判っていた。



_役に立たない穀潰しは社に要らん


やっぱり変われないんだな。僕は。



_そんな事も出来ないの?役立たず


ごめんなさい。役立たずでごめんなさい。


_貴方なんかに守られなくても平気


そうだよね。“僕なんか”…ね。



怖い。怖い。怖い。 また独りになるのが、孤独になるのが、怖い。


あの冷たい目は、手は、地面は、風も、夜も、もう…厭だ。





お願いだから棄てないで。


僕を、孤独にしないで。








_武装探偵社。


今、社内で仕事をしているのは、太宰、国木田、乱歩、与謝野、と云ったところだ。


仕事をしている、と云っても、真面まともに仕事をしているのは国木田だけだが。



しんと静かな空間に、駄菓子を口に運び乍ら、乱歩が一言。


「皆んな、敦の変化には気づいてる?」



一気に乱歩に視線が集まり、仕事をしていた国木田の手も止まった。


数秒の沈黙の後、太宰が口を開いた。


「敦君、最近ミスも増えたし、ぼーっとしてるし、なんだか避けられてる感じがありますね」


「そうだな、俺も薄々怪しんでいた」と続けて国木田が云う。


そして与謝野も、「戦った後の怪我も増えたな。最近は慣れてきて少なくなってきたと思ったのにねぇ」



少しの沈黙。



「明らかに可笑しいね」と太宰。


「だが、今までは何もなかったぞ?」


「敦を不安にさせる何かがあったんだ。当たり前だろ」と乱歩。





「“そのきっかけは、見当ついてる。”」











「少し前の敦の仕事の依頼人、敦君と同じ孤児院育ちだった」


そこから敦がその依頼人と孤児院時代、悪い関係だったこと、その推理を始める。


乱歩は当たり前のように、説明が面倒だと云わんばかりに、スラスラ話す。


きっとあれは、怯えているのだろうと。



「…きっとこんな感じだろうが、……」



そこで遮られた。


ガチャ、と音が鳴ったかと思えば、背の小さい和服の少女と、麦わら帽子の少年。


鏡花と賢治であった。



「帰りましたー!!いやぁ都会って本当に素晴らしいですね!」 と元気な声と、「帰りました」と控えめな声。


そして乱歩が鏡花に問うた。


「鏡花ちゃん、敦君、寮で何か変わった事はない?」


「…彼の人は、最近は食べ物を全部食べてくれないし、なんだか寝つきが悪そう。魘されてる。」


「ありがとう」



そして、与謝野が「休みを取らせたら如何だい?」


「ミスばかりしていては敦君はもっと自分を責めそうだよねぇ…」


全く困ったものだ…と太宰。


「その場合は敦の分の仕事は太宰がやれよ」


「何でさ!」


「貴様の仕事が敦に回って居るんだからな!!」


「ゔっ……」



そんな何時もの太宰と国木田の会話。


に加わり乱歩も割り込んできた。



「国木田も敦に云い過ぎだし怒鳴り過ぎだぞー」


「ゔっ…」



そして直ぐに切り替えて、乱歩が云う。



「休みを取らせる事には賛成だけど、敦の不安を無くす為、それを話す環境を作りたい。太宰」


「はい」


「お前に任せた。なんだかんだでお前なら敦からの信用があるだろう」


「判りました」



その会話をしている最中、国木田の顔が歪んでいたのは、また別の話。











「ところで、そもそも孤児院に悪い関係にあった人材が依頼の物を受け取りに来たのは、上司が来れなくなり、代理で来た為だ。」


そう乱歩が云う。



_裏で誰かが動かして居る。



_敦を利用する為に。













武装探偵社に仕事から帰ってきた敦と谷崎。


敦は少しヘマをして仕舞った様で、落ち込んだようだった。


そして、太宰は敦に云った。



「敦くーん!!明日 君、休みを取って良いそうだよ!」


「えっ、本当ですか」


「うん、だから私と何処か行ったりでもしよーう!」


「…判りました」



少し、元気がない様であった。











中島敦side


また仕事でミスをして仕舞った。


僕は、足手纏いでしかなかったのではないかと、そう思うと、不安になる。


「大丈夫」と云われても、それがまた何かに変換され、胸が苦しくなる。



そう落ち込んで帰ると、「明日は休み」だと伝えられた。


元は非番じゃない。



やっぱり僕が居ると仕事が確り出来ないのだろうか。


そう考えて仕舞う。



そんな筈はないのに、こう考えて仕舞う僕がきらいだ。


いや、若しかしたら本当に_。



…横に首を振る。


違う、違う、と自分に云い聞かせる。



きっと……棄てたり、しない……。





その日、帰りに、空に浮かぶ月は、光はあるが霞み、もの寂しく感じた。


孤月であった。


それは、少し自分を表して居る様な気がした。









太宰side



「最近敦の様子が可笑しい事」。


それには薄々気づいて居た。



敦君は単純だ。

探偵社員になって、数ヶ月が経ち、組合ギルド戦、共喰い等、色々活躍し、慣れてきて居るだろう。


だが、彼の過去は彼にとって地獄でしかない。


敦君の性格、そして今までの教育上、きっと“人に頼る”が出来ない。


自分の問題だから、迷惑を掛けたくないから、と一人で解決しようとする。



その儘では敵の計画に呑まれる。



それじゃあ拙いまずい



だからきっと乱歩さんは、相談をさせる環境、そしてもう一つ、敦君を一人で行動させない為に、私に敦君の傍に居させる事にしたのだろう。




早めの時間に行った方がいい。




そう考え乍ら、夜を過ごした。













敦君の寮へ向かった。


朝、普段の私なら自殺関係の事をしているであろう時間。


探偵社員が仕事に着く時間、いや、それよりも前に。



鏡花ちゃんも仕事だ。


敦君は一人で居る筈だ。



上司であり、彼にとって恩人の私が、たーっぷり相談に乗ってあげよう!


そんな事を思い乍ら、彼の寮の掛けられている鍵を器用に開け、「敦くーん!元気ー?」と云い乍ら入った。


彼の事だ。私が鍵を簡単に開けて勝手に入ったら、物凄く驚いて、不法侵入だとか、呆れ乍らツッコミでもするだろう。



だが返事はなかった。



静かな部屋に、少しの家具が置いてあるだけ。


人影は見つからない。







一足遅かったか。








_敦君は居なかった。


この儘では拙いまずい


そう悟った。














あとがき



この話書くといつも3000文字近くいきます。


読むの大変ですよね。すいませんねほんとに。



ところで本当雑談になるのですが、文ストカフェ行ってきましたー!!


席も当たりだったし、メニューのご飯も意外と美味しかった!


そして缶バッチ4個買って推しが出た!!


10個買って推しが出なかったときはただ運が悪かっただけ…うん。


アクスタ箱買いしたけど、置く場所作るのめちゃくちゃ大変だった。


めっちゃ場所とるやん。



じゃ、ぐっどばーい。

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