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まじでいいお話!!😭 最後の「またねが叶うことなく」の部分が自分的に1番 感動した!! このお話は号泣案件だよ!! みこのこういう系のお話もいいよね!! 次のお話も待ってるね!
※短い、オリキャラ、在り来り、死ネタ※
※台本にどうぞ※
肩を並べて深く喜んだ
今までの苦悩や努力を、喜びに、
感情を全てだした。
時に涙を流す奴もいた。
高校三年、サッカー部所属、瀬谷 圭。
この夏、試合はもう最後。
来年の夏にはきっとサッカーとは無縁の生活を送っている。
最後に勝ててよかった、そう胸元に置いて目を伏せた。
マネージャーの佳奈は目尻の涙を人差し指で拭って、おめでとう、と一言添えて水を全員に手渡した
試合会場にあった熱気がやっと無くなった時、
いきなり佳奈は俺の手を自身の手に取った
困惑で返すと 佳奈の瞳は涙で歪んだ
次々に流れ出てくる雫は俺の膝にポタポタと落ちた。
突然佳奈が口を開いたかと思えば
「まだ……実感、湧かないやぁ……、」
そう力無く、涙に混じった吐息と共に言った。
なにが、と問いただすと
また佳奈の目からは透明の物が流れた
「瀬谷くん……部活ではお別れだね……、」
佳奈は座り込んで俺の手を額に押し当てた、
「まだ、圭の蹴り見たかったなぁ………」
そうひとりごちた佳奈が俺を下の名前で呼んだのは小学校以来だった。
昔から泣き虫な佳奈は俺を見るなり、
意地悪な奴、と言っていた
サッカー部の退部から一週間経った。
今でも胸が苦しくなる。
これが、名残惜しさからなのか、いわゆる恋というやつなのか、もしくは、心臓が悲鳴を上げているのか、分からなかった。
そう、総合病院の前に立ち、ふと思った。
今は月に一度の通院でこの命を繋ぎ止めている、
大好きだったサッカーを辞めたのも、
心臓が弱っているからだ。
心臓病で命からがら俺を産んだ母の遺伝で元から
身体はいい方ではなかった。
俺を産んですぐ発作を起こして死んだ母の代わりに生きていたけど、もう潮時なのか、
病院に行く度胸が打ち付けられた。
次第に学校にも行かなくなった、
ついには医者の口から入院の言葉まで聴くようにもなった。
俺の身体は着々と死へと歩み寄っていた。
入院生活から二日経った時、病室の扉がノックされた。
ゆっくりと開かれた戸の隙間から見覚えのある大きな瞳が見えた。
「久しぶり。瀬谷くん。」
そう言ったのは少し髪が伸びた佳奈だった。
困惑で言葉が出なかった。
そんなことをしてる間に佳奈の後ろから
よっ、と軽い口で言ってきた。
どちらの顔も懐かしい。
佳奈が連れてきたコイツは
サッカー部のエース、北本 健二。
俺の相棒だった。
「最近どう、?」
様子を伺うように言った佳奈は、薄らと目尻が光っていた。
今まで俺はただの不登校という風になっていたらしいが、入院となると話が変わるらしい。
入院と聴いて佳奈はきっと俺を心配したのだろう
ごめん、黙ってて、そう質問に答える様子もない返事をして事を閉じようとした。
「なぁ、サッカー、まだやりたかったか、」
いつもヘラヘラしている健二も今日は違った。
質問にどう答えたらいいのか分からず俯いて黙り込んだ。
冷や汗が額に滲んで、体温が向上したのを感じた。
「あぁ。俺部活あるから。まあ、また来る。」
健二はそう言って痺れを切らしたのか病室を出ていった。
沈黙が流れて、健二が出ていってから1分程だった時、佳奈は気まずくなったのかショートバックを手に持って病室をトボトボと出ていった。
それでも佳奈は去り際に、またね。と呟いた。
水色の鮮やかに光るワンピースの裾がふわっと
なびいて、彼女の足音が遠のいた。
できることなら最期くらいは下の名前で呼んで欲しかった。
できることなら素直になりたかった。
できることならもっとサッカーをやっていたかった。
できることならもっと生きていたかった。
でも、俺の心臓は待ってはくれなかった。
佳奈のまたねが叶うことはなく、俺は眠りについた。