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贖罪

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贖罪

1 - 第1話

♥

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2023年05月05日

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夜中の一時

『〜〜〜 。』

隣から呻き声が聞こえる。

(またか。)

またというのもこれが初めてのことではない。ほぼ毎日と言っても過言ではない程繰り返されるこの独り言に俺は慣れてしまった

(今は…一時か。昨日より遅いな)

『……ぅ。あッ……なさ』

『 ごめ…な………ルスごめ…な…〜』

(もういない弟に贖罪なんてしたって意味ねぇのにな。)


こいつが来てもう一週間が経った。

声の持ち主はDusttaleのサンズ、murderだ。murderと言うのはアイツが俺にそう呼べと言われたから言ってるだけだ。

俺とこいつはまぁ色々理由があって一緒に暮らしているんだが寝ると毛布を深く握りしめ独り言を呟くもんだから困ったもんだ。

何故一緒のベットで寝ているかって?実はな、こいつをここに留めた初日、ソファで寝てもらおうと思ってたんだ。でもコイツはソファの前に突っ立たまま寝ようとしなかったんだよ。初めはマスタードのシミとか骨汗染みたソファが汚いから使いたくないかと思ってたんだがそうじゃなかった。コイツは眠ると悪夢を見ると言っていた。だからコイツは眠らないらしい。と言っても途中途中コクリコクリと居眠りしそうだったから眠気がないわけじゃないらしい。

そこで俺はコイツを寝つけさせるために仕方ねぇけど一緒のベットで眠ることにした。同じサンズだし間違えが起きることは無いだろ。優しい俺はMercyした。初めコイツは困惑してベットの上にも乗らない様子だったが最近は少し抵抗感はあっても素直にベットの中に入ってくれる。

だが問題はその後だった。スゥスゥと寝息を立てる様子を見てなんだ、普通に眠れるじゃねぇかと安心した俺もコイツの隣で眠りについた。

そして12時辺りをまわった頃

『っ…ヴ……めなさ』

隣から聞こえる呻き声で起きる。

「おい!起きろ!!」

呻くコイツが苦しそうだったから起こした。ハッとした様子で飛び起きたコイツは汗水垂らしながら片目に魔力を宿らせ怯えるような目つきで俺を見た後毛布を深く被りガタガタと震え出した。

それから俺はどうにかしてコイツが安眠出来るように安眠グッズとか睡眠薬とか色んな手を使ったがどれも意味はなかった。それどころか最近は寧ろ悪化している気がする。

ベッドに入って眠ったかと思いきや独り言のような呻き声や懺悔の言葉が聞こえる。

もう、ウンザリだった

と言っても今更見捨てる訳にもいかずに1週間が経った。

チラリと隣を見る。

未だに自らが葬った亡き弟に懺悔や謝罪を繰り返すこいつにイライラする。

「おい」

『ゔっ……ごめ………次はもっと…上手く…』

こいつの眼中に俺は全くいないのが無性に悔しくてイライラした

「オイッ!!!!」

大声を出すがこちらには一向に気づかずブツブツと呪いのように言葉を繰り返す。

「……」

いつもならここで諦めて寝る。

でも今日はそうしなかった。

「お前の弟は、」

弟というワードに反応したのかコイツの肩が一瞬ピクリと動く。

「お前の弟はもういない。死んだんだよ。」

そう言うとコイツの顔はなんとも言えない顔を見せた。

『う…そだ。』

「嘘じゃねぇ。お前が見てるものは幻覚だ」

『違う…違う……パピルスは幻覚なんかじゃない…パピルスは…』

違う、パピルスは、と肩を震わせながら頭を抱える

(あとひと押し、って所か)

「弟……パピルスは─────

アンタが殺したんだ」

次の瞬間、俺は重力魔法で体の自由を奪われコイツに馬乗りされた

骨攻撃の準備をしながら俺の首を締めようと手が添えられる

『これ以上喋るな』

「お前は薄汚い同胞殺しだ」

『 …黙れ』

手に力が込められる

「ゲホッ…んで、…俺を…殺す、のか?」

余裕ぶってるが正直苦しい。俺より細くて頼りない体を退かすこともできるがしなかった。

コイツに殺されるなら別にいいな、なんて思っちまったら最後だ。俺もこいつと一緒にいて狂っちまったのかもしれねぇ

そしてこいつの素性が知りたかった

「俺”も”EXPにするのか?」

その言葉にスイッチが入ったのか完全に手に力が込められ徐々に意識が朦朧とする。

(ごめんな…ボス)

自分のパピルスに言葉だけの謝罪をする。アイツなら立派なロイヤルガードになれるだろうと、人任せなことを考えながら目を閉じる。


しかしいつまで経っても俺が塵になることはなかった。

目を開けると目の前にいるコイツは俺の首から手を離して馬乗りになったまま俯いていた。

『 グスッ……』

よく見たら泣いていた。…は?泣いてる?


アイツが?


『 ごめん…いや、悪かった。俺…アンタに良くしてもらってたのにこんな事…して』


待て待て。頭が追いつかない。


『 ……もう出ていくよ。今まで世話になった、ありがとうな。』

そう言ってここから離れようとするコイツを無意識に掴んでしまった。

(今離したらもう二度と会えない気がする)

なんとなくそう思ったから。

『 …離してくれ。』

「……」

『 なぁ。』

「…悪いな。お前を離す訳には行かねぇんだ」

『 …あぁ、大丈夫だ。俺はすぐここから出てくから。アンタの世界の住民に手は出さな──。』

「そういうことじゃねぇ。」

『 !!』


俺の上にいるmurderを抱きしめるように包み込む

『 …フェル?』

…なんで抵抗しないんだよ

「俺の側に居てくれよ、なぁ…murder。」

『 俺は……アンタを殺そうとした』

「お前に殺されるなら悪くないって思ったから抵抗しなかった。」

『 …でも俺は、俺は薄汚い同胞殺しなんだろ?』

「それはこっちの世界で関係ない」

「…………」

『 ………なぁ、もう分からなくなっちまった。』


『 俺は、アンタにとって必要か?』

「…あぁ。お前に骨抜きにされちまったからな。」

『 へへっ…そっか…ハハッ』

やるせない笑顔を見せるコイツをもっと知りたい。

絶対に逃してやるものか


*かたく けついを だいた

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リア友リクです(๑•̀ㅁ•́ฅ✧

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