戦局が一変し、千早が手に入れた特級呪具の力で、呪術師たちの緊張が一気に高まった。だが、彼女が今手にした呪具はほんの一つに過ぎない。北海道には、伝説とも言える5つの特級呪具が存在する。これらの呪具は、ただの「道具」ではない。呪術師たちの命運をも左右する、まさに世界を変える力を秘めている。
その5つの特級呪具とは一体何なのか――。
死者を生き返らせることができる呪具。使い方によっては、歴史をも変える力を持つが、同時に呪具の使用には極めて大きなリスクが伴う。死者を蘇らせる代償として、呪力が暴走し、周囲の呪霊を一掃する可能性があるため、慎重に扱わなければならない。特にこの呪具の所有者は、過去に大きな事件を引き起こしたため、今もその行方を追われている。
この呪具を身に着けた者は、雷の力を自在に操ることができる。しかし、完全に使いこなすには、一定の精神的・身体的な強さが必要で、弱い心を持つ者は雷に飲み込まれてしまうことも多い。雷獣の首輪は、呪術界で破壊力を持つ呪具の一つとされ、持ち主の意思次第で雷の大暴走を引き起こす恐ろしい力を持つ。雷鬼のような術師でも、躊躇してしまうほど、その力は恐ろしい。
暗闇を操る呪具で、あらゆる光源を消し去り、視界を完全に奪う力を持つ。更に、暗闇に包まれた対象の呪力を吸い取る特性もあり、戦闘中に使えば敵を無力化することができる。しかし、この呪具の一番の特徴は、使用者が「暗闇に囚われる」と言われるように、長時間使い続けるとその影響を受けて精神的に不安定になるという副作用がある。過去、これを使った術師が闇に溺れ、最終的に行方不明となったと言われている。
時間を操る力を持つ刀。使用者が「天命」を切り開くと言われ、過去や未来を切り替えられるが、使う度に持ち主の寿命が縮まるという呪いがかかっている。この刀は、呪術界でも非常に古いもので、失われたとされていたが、最近になってその所在が再び明らかになった。過去の出来事を変えることで、未来にどれだけの影響を与えるのか、どのようにその力を使うかは所有者の道徳にかかっているが、時を扱うことには深い闇がつきまとい、誤った使い方をすれば世界が崩壊するリスクもある。
龍の力を宿した呪具。使用者の目が一瞬ですべての物質を透視する能力を与えるとされているが、その力を使う者には強大な精神的な重圧がかかる。目を通じて見えるすべての物事は、使用者の意識に深く刻み込まれ、長時間使うとその者は視覚的な幻覚に取り憑かれ、現実と虚構が区別できなくなることが多い。龍王の眼は、視界を「完璧」にする力を持っているため、最も危険な呪具と呼ばれており、過去には多くの術師がその力に飲み込まれて行方不明になったと言われている。しかし、この呪具だけは1000年以来使われていない。そのため、呪具効果が変わっている可能性が極めて高い。
これらの5つの呪具は、それぞれの力を持ち、使い手によっては世界を変えるほどの力を発揮する。だが、その代償も大きい。呪術師たちはこの力をどう使うかで運命が大きく変わり、最終的にはその呪具を手にする者の「心」が試されることになる。
千早が目指している呪具がどれに当たるのか、それはまだ明らかにはなっていない。しかし、彼女が手に入れようとしている呪具が「死者の逆転」や「雷獣の首輪」など、どれほど強力なものであっても、その使用には慎重を期すべきだ。
しかし、千早はそれを理解しながらも、最終的にはその呪具の力で戦局を変え、彼女の目的を達成するために動き出す。次にどんな事態が待ち受けているのか、呪術界に平穏は訪れるのか、それとも大きな混乱が巻き起こるのか。
その答えは、今まさに彼女の手の中に握られている。
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