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打ち上げが終わって、みんながそれぞれタクシーや電車に分かれて帰っていく中、内山は人ごみからちょっと離れて、ひとりで歩いていた。
夜風が頬に当たり、さっきの入野との距離を思い出して、まだ胸がざわざわしている。
内山昂輝(心の声):
(…なんで、あんなにドキドキしたんだろう…。あの人、からかってるだけだってわかってるのに…)
そんなとき、不意に背後から声がした。
入野自由: 「内山〜、一人で帰るの?」
内山昂輝: 「っ! 入野さん…」
入野自由: 「電車一緒っぽいから、ついてきた。……ダメだった?」
内山昂輝: 「い、いえ…別に、ダメじゃ…ないですけど…」
(少し俯いて歩く)
しばらく無言で並んで歩く。人も車も少ない、静かな夜道。
その沈黙を破ったのは、入野の小さな声だった。
入野自由: 「さっきは、ごめんね。冗談、ちょっとやりすぎた。」
内山昂輝: 「……はい。ちょっと、びっくりしましたけど。」
入野自由: 「怒ってる?」
内山昂輝: 「…怒ってないです。ただ…慣れてないだけです、ああいうの。」
入野自由: 「ふーん…。なんか、意外。」
内山昂輝: 「え?」
入野自由: 「内山ってさ、クールで冷静で、どこか無表情なイメージだったけど…ほんとは、めっちゃ可愛いんだな。」
内山昂輝: 「……!」
ふいに止まった足。振り向こうとしたそのとき、入野がふらりと一歩、近づいた。
入野自由: 「……触ってみても、いい?」
内山昂輝: 「え、なにを…?」
入野自由: 「――内山の、心。」
その冗談とも本気ともつかない言葉に、内山は思わず息をのむ。
内山昂輝: 「……っ、ほんと、からかうのやめてください…」
でもその声は、震えていた。拒絶でも嫌悪でもなく、戸惑いと、ほんの少しの期待と不安が混ざったような、そんな音。
入野自由: 「……ごめん。でも、俺、本気で言ってたかも。」
その一言が、夜の静けさに溶けていく。